長いアプローチを楽しむ「狭山池博物館」

長いアプローチを楽しむ「狭山池博物館」

狭山池は日本最古のため池

狭山池博物館は大阪狭山市にあります。わざわざ”大阪”と付いているのは埼玉県狭山市と区別するためなのでしょうか。検索したら同じ疑問を抱いている人はすでにいましたが、正確なところは分かりません。

敷地は日本最古のため池である狭山池に近接しています。設計は安藤忠雄さんです。建物のボリュームは池や堤防、そして植樹された木々の自然豊かなランドスケープに対して主張しすぎないことが意図されています。

このロケーションで横幅のある建物に更に高さがあると反自然的な印象を与えてしまいますから、景観へのこうした配慮は必要不可欠です。

長い長いアプローチの過程で享受するもの

エントランスにたどり着く行き方は何通りかあります。狭山池側からの道のりとしては一度地階へ下り、池の水が利用された滝が生み出す特有の「場面」を存分に堪能しながら、最後にはらせん状のスロープを登っていくという、長いながらもそれを感じさせないシームレスで先が見え隠れするコースで館内に入るまでにすでに満腹状態になります。

滝はこの建物のメインの場所でありますが、写真で見る「感じ」と全く異なるのが強烈に脳に焼きつきました。

まず音が遥かにでかいのです。
「ザー」の濁点が2倍になったくらいで、辺りの音が全てかき消されます。

そして臭いんです。
この臭さは池の水の匂いなのですが、臭いならまだしも滝だから横の通路を通っているときにその水が飛び跳ねてくるのです。

おかげでこの「場」の強さは異常です。やはり記憶に残りやすいのは視覚にその他の情報、今回であれば聴覚と嗅覚が働き付加された時だと思いました。

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リアリティのある展示物

屋外のアプローチに引けをとることなく、 館内の展示物も素晴らしいです。以前の「堤」と「東樋」と呼ばれる水を運ぶ木でできた装置が実物大で移築されています。だから建物もある程度の高さが必要になるのだと納得できます。

堤の決壊を防ぐために葉っぱと土を交互に層にして作られていたり、人力で池の水を供給できるように汲みあげる装置が作られていたり、テクノロジーに代替されてしまっている今では第一には浮かんでこないであろう知恵が館内にはたくさんありました。

建築行為の前と後を繋げていく

安藤さんはここの建築とともに、狭山池の堤防の植樹もプロジェクトの一環として進めています。そこは春には桜が満開になり、狭山池を彩ります。

その桜の咲いた時に「ラバー・ダック」が池に遊びに来ていたこともあるのだそうです。(巨大なアヒルのバルーンを水に浮かべるプロジェクトが世界中であり、大阪には毎年出現しているそうです)狭山池に来たら必ず見たいなと思っています。

大阪の安藤建築では「住吉の長屋」とか「光の教会」が一般的に代表作ですが、私がオススメするとしたらこの「狭山池博物館」です。ここでは時代の蓄積とランドスケープの清々しさを池を中心にして体験できます。

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