南仏の街マルセイユで見る現代建築4つ《フランス旅》

南仏の街マルセイユで見る現代建築4つ《フランス旅》

はじめに

マルセイユの漁港

フランスの街マルセイユにはル・コルビュジェの設計したユニテ・ダビタシオンを見ることを第一の目的にして行きました。せっかくなのでほかの建物も見てみようと調べてみると意外と現代建築も結構ありました。

もちろん歴史のあるカテドラルや街並みを見ることも楽しいですが、その文脈の中で立つ現代建築を見ることも楽しいです。たくさん見ていると、現代建築が過去の建築物の持つ時間的価値に勝つのは難しいですが、新たなその場所の風を吹き込んだ価値を作り出すことはできると思うようになりました。

新しく作られるものはどこにでも存在できるものでもあるように見えてしまうのが理解する上での関門なのですが、その現時点までの”現在-過去”のベクトルを”現在-未来”のベクトルで見てみると、残る建築が見えてくるように思います。

それはつまり現時点でできるベストを出すということで、変化する場のコンテクストを読むのか、それとも地産の技術を使うのか、残す方法は大いにあると思います。それではマルセイユの現代建築を紹介します。

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FRAC(FOND Regional D’Art Comtemporain)

FRACはガラスパネルが角度を付けながら貼り付けられ外装デザインとなっています。このようなパネルという物質の分解と集合のようなデザインはマルセイユでは他に見受けられませんでした。設計は日本の建築家・隈研吾さんなのですが、もはや隈さんのアイデンティティが顕著です。

展示空間で特徴的なのは屋外テラスが2つあることです。一つはファサードとなっている中層部分のテラスで、街に対して凹んでいます。そこからは大通りの軸線を望めるのですが、外装のガラスパネルが視野を切り取る縁取りの一つとなっているのが面白いです。

もう一つは建物に囲まれたテラスです。住宅のベランダが周りに面するので生活感が滲んでいます。この二つのテラスは敢えて違う特著を持つように設計されたのではないかと思いました。

FRACについては別記事にて詳しく紹介しています。

光を受けるガラスパネルのファサード「FRAC(FOND Regional D’ Art Comtemporain)」

MuCEM(Musée des civilisations de l’Europe eat de la Mediterranee)

MuCEMはマルセイユの港にあります。設計はフランスの建築家ルディ・リコッティ(Rudy Ricciotti)です。ルディ・リコッティといえば、パリにあるコルビュジェのアパートから望めたラグビー場(Stage Jean Bouin)を設計した人でもあります。(コルビュジェのアパートは素晴らしく、別記事でも紹介しています。)

美術館はスチールでできた不規則な紋様のファサードが特徴的で、建物を覆っています。建物外周には外部通路がスロープ状にあり、各階の展示室や屋上テラスを繋げています。また、外側のスキンを通過して作る光の当たり方に変化が生まれていて美しかったです。

LA MARSEILLAISE TOWER

LA MARSEILLAISE TOWERはフランスの建築家ジャン・ヌーベルの設計です。色の使い方がバルセロナのAgbar Towerをイメージさせます。遠くから眺めるとカテドラルとこのタワーが目立ちます。

建物はかっこいいですが、このマッシブなボリュームは景観に調和していませんでした。といっても今後その周辺に高層ビルが立ち並んでくるのであれば違和感は減るのだろうと思います。足元に行ってみるとピロティの天井に青い小さな振り子がたくさん配置されていてゆらゆらと揺れていました。

L’Ombriere de Norman Foster

L’Ombriere de Norman Fosterはイギリスの建築家ノーマン・フォスターが設計しました。マルセイユの有名な漁港前の広場にあるのですが、建物と言うよりはアートに近く、抽象的な存在です。鏡になった柱と庇のみです。

それは何の役割なのか、というよりはそこにあった記念碑がたまたま大きな庇を有するものであったかのように佇む建物です。

おわりに

現代建築でデザインとして個性を加えようとすると、既存の街に対しての異種的文脈としての反発が起こりやすいです。なのでそういう時にどうするかというと余白をしっかりと設けます。

そうすればその余白、つまり緩衝領域がその位相を解消してくれます。そうすると現代建築が場に馴染んできます。特にフランスなど都市計画の中としての建物が景観を作る中ではよりそのように思いました。

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