街の経済効果を生む拠点的建築「ビルバオ・グッゲンハイム美術館(Museo Guggenheim Bilbao)」

街の経済効果を生む拠点的建築「ビルバオ・グッゲンハイム美術館(Museo Guggenheim Bilbao)」

はじめに

スペインの街ビルバオにあるビルバオ・グッゲンハイム美術館に行ってきました。この美術館は1977年に開館し、建築家フランク・ゲーリーの代名詞とも言える建物です。

【交通手段】
・ビルバオはバルセロナやマドリッドから飛行機で行く方法が簡単で、かつ1時間ほどで着くのでおすすめです。私はバルセロナからLCCで4000円程度で行くことができました。

建築が発信するビルバオ効果

ビルバオはスペイン北部の海に面した工業都市です。フランク・ゲーリーの設計したこのビルバオ・グッゲンハイム美術館は、そんな工業都市のコンテクストに応えたチタンの外装の複雑な建物形態が注目を集めています。

ビルバオはこの美術館が完成したことにより観光客が増え、大きな経済効果を生んでいます。そんなビルバオ・グッゲンハイム美術館が発信拠点になったこの経済効果はビルバオ効果と呼ばれています。それは建築が街そのものの雰囲気を変えていく事例としてのプロトタイプであると言えると思います。

美術館のロケーション

中心市街側からのアプローチ

ビルバオ・グッゲンハイム美術館はビルバオの中心市街地の北側にあり、ネルビオン川沿いに建っています。市街地側からのアプローチを取ると、敷地の高低差もあり迫力が抑えられたボリュームとなっているのですが、その反対側のネルビオン川の方から見ると盛大に解き放たれた形態が現れます。

美術館のすぐ横にはサルベ橋という赤い主塔を持つ斜張橋があるのですが、そこからのアングルが美術館と川と街を全て俯瞰で感じられるのでおすすめです。

Advertisement

花びらのように捻れた建物

フランク・ゲーリーの設計は「脱構築主義」と呼ばれており、従来の箱的な建物から離れたより動きや浮遊感のある建物であることが特徴です。

そのある意味表層的であると言えなくもない建物には賛否両論がありますが、このような建物を作る場合には敷地周辺の環境がどう関与してくるかという点が最も重要になってくると思っています。

つまり周辺の密度からセットバックして余白を取れているかということです。その余白が建物の主張の強さを和らげてくれ、今回では川や親水的な遊歩道、広場が余白となっています。その結果ビルバオ・グッゲンハイム美術館はそのアート的な構築の強さを街に向けて発信しやすくなっているのだと思います。

絡み合う3つの素材

ビルバオ・グッゲンハイム美術館のファサードは大きく3つの素材から成ります。

まず第一に全体に動きを与え、光を鈍く反射する「チタン」、第二に角ばったボリュームとして安定感を与える「ライムストーン」 、そして最後にボリュームの間から光を内部に届け、内外を接続する「ガラス」です。これらの素材が絡み合うことにより、この美術館が構成されています。

【チタン】
・チタンは耐候性、耐食性のある性質を持ちます。その表面に酸化被膜を形成するためです。更には強度や比重、熱膨張の面でも優れた性質を持っているため、恒久的な建築物、例えば美術館の他には寺社建築にも使われています。
・またイニシャルコスト(初期費用)が高くなりますが、その後のメンテナンスが不要なため、長期で考えた際のランニングコスト(管理費用)は低くなるというメリットがあります。

【ライムストーン】
・ライムストーンは炭酸カルシウムを主成分とする石灰岩です。有名な建造物ですと、エジプトのピラミッドもライムストーンで出来ています。
・内外装に使われる素材で、耐久性・耐食性があります。近年ではキッチンや浴室、暖炉などにも使用される素材です。

Advertisement

複雑な形態が処理される屋内

美術館の中に入ると、そこは曲がったり捻れたりする形態のせめぎ合いが見られます。そのせめぎ合いを縫うように階段やエレベータのシャフトや、渡り廊下があります。

そして外に面する箇所はガラスで処理されていて、単一的ではない光を内部に届かせています。内外装とも同一素材を使っているため、その境界は非常にシームレスで曖昧なものになっています。

どこを内外の境界にしてもいいような冗長性を作り出せる点において、フランク・ゲーリーの設計する形態の動きは効果的であると感じます。

おわりに

一度は見に行ってみたかったビルバオ・グッゲンハイム美術館を体験することができましたが、建築の価値は今後テクノロジーが進化しても”そこでしか得られない”という点にあるのではないかと思います。

今後の世界は益々作る側と体験する側に二分されていくと言われています。両者の序列はありませんが、作る側を選択する以上、誰よりも体験してそして頭で考えていく必要があると感じました。

建築カテゴリの最新記事