ホテル街に霊園、ディープな街、鶯谷の調査|現状を知り将来の鶯谷を考える

ホテル街に霊園、ディープな街、鶯谷の調査|現状を知り将来の鶯谷を考える

山手線の駅「鶯谷」。名前を聞いてよい印象を持っている人は多くはないはずです。

なぜなら駅前はラブホテル街だからです。

しかし深く知ってみれば違う側面を見られるのではないかと思い、調査してみました。

街の基本情報から、都市計画的な視点まで、建築ブログならではの切り口も加えて読み解いていきます。

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はじめに「鶯谷とはどんな街?」

歴史的背景を知る

鶯谷は昭和時代には上京者のための旅館街・歓楽街として栄えました。その名残は現在も存分に見受けられます。

駅周辺は江戸時代には寛永寺領であったため、近くには多くの寺院が現存しています。寛永寺は重要文化財に指定されており、山手線の内側(駅南側)、上野桜木エリアにあります。

そして俳人として有名な正岡子規1867-1902)が根岸2丁目に住んでいました。正岡子規の家は子規庵として再建され、見学をすることが可能です。駅から近いのでおすすめです。

山手線という利便性の良さ

鶯谷は山手線の中で1日の乗降者数が最も少ない駅です。隣駅は日暮里と上野という乗換駅です。

鶯谷には山手線と京浜東北線が止まりますが、隣駅の上野に行けば、常磐線や上野東京ライン、日比谷線、銀座線、京成線、そして新幹線という多くの路線の乗換駅になっているので、様々な方面へのアクセスが容易です。

そして鶯谷駅の東側には徒歩10分ほどのところに日比谷線の入谷駅もあるので、そちらの利用も十分に可能です。

駅周辺の様子

北口側はラブホテル街が広がっており、その先の言問通りという大通りを渡ると住宅街に入ります。

南口側は寛永寺の霊園があり、その先に東京国立博物館、上野恩賜公園というように文化施設が多くあるエリアとなります。

北口は歓楽街、南口は霊園という、ここまで対照的な要素が隣接した駅というのも鶯谷のディープさを物語っているように感じます。

世間のイメージと現状

中央の高い灰色の建物がランダバウト

世間的なイメージでいうと、鶯谷は夜の街(ラブホテル)という好印象とは言い難い特色があるかと思いますが、近年は外国人観光客の増加により鶯谷においてもホテル需要が増えています。

それによりラブホテルのビジネスホテル的利用や、最近では20201月に「ランダバウト(LANDABOUT)」という観光客向けの全169室のホテルが鶯谷駅徒歩3分の場所にできました。

上野や浅草という屈指の観光地、そして情緒あふれる谷根千エリアに近いという立地上の利点はかなり大きいと思います。

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鶯谷に住むことを想定する

山手線は住みたい沿線ランキング(関東)で断トツの1位です。(※スーモ2020年版より)

山手線は非常に利便性が高いので納得がいきます。そこで仮に「鶯谷に住むとしたら?」と想定し、調査していきます。

中古マンションは安い

中古マンション価格を比較すると、単身者向け、ファミリー向けの双方において、山手線沿線で鶯谷が一番安いです。(※スーモ2020年版より)

しかし賃貸相場を見てみると、1位という訳でも無く、10位という結果です。鶯谷周辺を歩いて思ったのは、駅周辺に住宅が少なく、日暮里や入谷に近付くと増えていくということです。

鶯谷駅を最寄りとする新築マンションも売り出されていますが、販売広告を見ても、鶯谷駅に近くても日暮里駅徒歩分というワードが先に来ていたりして、鶯谷というワードはなるべく避けているように感じました。

普段使いのスーパーは申し分ない

日常生活で欠かせないスーパーマーケットについては、まず駅徒歩2分のところに業務スーパーがあります。

少し範囲を広げると、マイバスケットいなげやがあり、日暮里駅と同程度の充足具合ですが、新たにライフ東日暮里店が駅徒歩5分のところに20213月にオープン予定ですので、将来的に日暮里以上の充足度になりそうです。

これらから鑑みて、鶯谷は穴場であるような気がしてならなくなります。

都市的な視点で捉える

このブログは一応建築ブログという立ち位置なので、少し都市的な視点で捉えてみようと思います。

再開発の可能性

まず気になるところが、駅前の再開発の可能性についてです。現状はラブホテル街ですが、再開発が進めば街の様子は一気に変わります。

ちなみに鶯谷のような雰囲気も持っている、2駅隣の西日暮里では駅前再開発(舎人ライナー側)の計画があり、2026年に竣工予定で約1000戸もの住戸が入ります。

ということで鶯谷周辺を調べてみましたが、まだ都市計画決定に至る再開発はありませんでした。

第一種市街地再開発の場合、「都市計画決定事業計画決定権利変換計画決定」というフローを経て着工となります。

しかしその5年・10年とかかる市街地再開発のその初期段階の動きも見られないことから、起きるとしてもまだまだ先のこととなりそうです。

駅前の老朽化した建物が多く、細い道が多い様相には再開発の必要性を感じましたが…

将来的な方向性「都市再開発の方針」

もう一つ、都市再開発の方針から読み取ります。

都市再開発の方針とは、都市再開発法に基づく、再開発の方針を定めるマスタープランです。鶯谷の場合は台東区の定める、このマスタープランに沿って物事は進んでいきます。

その中で都市再開発法の定めによる「2号地区(再開発促進地区)」に該当するかが重要なポイントです。

調べてみると鶯谷駅北口は、2号地区には当たらず、「1.5号地区(再開発誘導地区)」でした。

2号地区に該当していたのは、根岸3.4.5丁目(言問通りを渡った先のエリア)であったため、台東区的には駅前よりも住宅エリア、或いは大通り沿いに力を入れたいという方針が読み取れます。

都市計画情報を閲覧してみる

仮に北口で建替を行うとして、現状の都市計画がどうなっているか調べてみました。

【都市計画情報】
商業地域、容積率
400%、建ぺい率80%、防火地域、景観計画(下町景観形成地域)、高度地区なし、地区計画なし、

駅前にしては容積率が低いです。しかし言問通り(大通り)側に出ると600%となります。

言問通り側には前述の観光客向けホテル「ランダバウト」が最近できましたが、容積600%の上にさらにホテル用途における容積率緩和を使い、それ以上の容積で建てていると思われます。

なのでホテルやマンションを新築するのであれば、駅前よりも言問通り側の方が事業者的にメリットがあるということになっています。(それを誘導しているのか、駅前には手をつけられないのかは分かりませんが。)

また地区計画もなく、台東区では「東上野四・五丁目地区、御徒町駅周辺地区、秋葉原地区、浅草六区地区」の4つのみが現在指定されています。

これらから推測するに、駅前が更新されるのはまだまだ先のこととなりそうです。

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おわりに「近隣駅に学ぶ駅前構造」

調べてみても実際に歩いてみても、鶯谷はなかなかにディープな街であることが伝わってきます。

近くの日暮里や西日暮里を調べてみても、再開発はあっても「夜の街エリア」は俄然として残っています。鶯谷の未来もそのような駅前構造になるのでしょうか。

ただし、日暮里は夜の街エリアと再開発エリア(マンション)が並列の関係で、ペデストリアンデッキでマンションと駅が繋がっています。

西日暮里も同じようにデッキで駅と繋がる計画です。それらはまるで夜の街エリアを避けた動線を新設するかのようでもあります。

では鶯谷の言問通り側で再開発が起きる場合、「駅夜の街エリア再開発エリア」という直列構造になってしまいます。

それはそれで面白いですが、別ルートを作らないと再開発エリアの市場価値に影響しそうです。そんなことを考えさせられました。

ただ、単身者にとっては夜の街であろうと立地重視の部分が大きいかと思いますので、鶯谷が穴場スポットであることは間違いなさそうです。

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