ランニングで橋を学ぶ《隅田川テラス②》

ランニングで橋を学ぶ《隅田川テラス①》の続きです。

隅田川マップ

蔵前橋

蔵前橋(完成1927年)は上路形式の3径間アーチ橋です。そして両端にヒンジがあるので、「2ヒンジソリッドリブアーチ」です。アーチリブは10本もあるそうです。吾妻橋とも似ています。現在(2018.12)は改修中です。

鉄道橋(総武本線)

浅草橋駅・両国駅間の総武本線の鉄道橋は3径間の橋で、中央径間がアーチ橋(ランガー桁橋)、両側が桁橋(箱桁)になっています。また、ゲルバー桁橋でもあり、中央径間が定着桁でそれに対して両側径間の桁橋が片持ち梁となっています。

どうやらこの橋が日本で初めてランガー桁を採用した橋だったそうです。ちなみにランガー桁橋とはアーチリブが圧縮のみを負担して桁が曲げ・せん断・引張を負担するものです。なのでアーチリブの断面は小さくできます。

柳橋

柳橋(完成1929年)はアーチ橋です。構造上の形式は「ソリッドリブタイドアーチ橋」です。最初はローゼ桁橋かと思っていました。ここの見分けはなかなかに難関です。

ソリッドリブタイドアーチはアーチリブが曲げ・せん断・圧縮を負担して、タイが引張のみを負担します。対してローゼ桁はアーチリブと桁の両方が曲げ・せん断・軸力(アーチリブは圧縮、桁は引張)を負担するものです。

両国橋

両国橋(完成1932年)は3径間の桁橋です。またゲルバー桁橋となっていて、両側径間が定着桁で中央径間が吊桁となっています。そういえば言問橋もゲルバー桁橋でした。

新大橋

新大橋(完成1976年)は斜張橋です。ここまで南下してくるとやっと斜張橋が見られました。ハープ状ケーブルの斜張橋で主塔は独立柱が2つ並んでいます。主塔間の水平部材も無く、これだけ部材を削ぎ落としても成り立つということに驚きです。

萬年橋

萬年橋(完成1930年)はアーチ橋です。ここは白鬚橋と同じくブレースドリブです。構造形式は「ブレースドリブタイドアーチ」となります。これだけ橋桁が薄ければタイドアーチかなと推測しやすいです。

清洲橋

清洲橋(完成1928年)は3径間の吊橋です。両脇のメインケーブルが補剛桁に接合されているため、自碇式の橋であることが分かります。またメインケーブルにはアイバーが使われていることも特徴です。アイバーというのは平らな板で両端に接合するための穴が空いているものです。現在(2018.12.5)は改修中です。

隅田川大橋

(no photo)

隅田川大橋(完成1979年)は3径間の桁橋です。ここの桁は連続桁になっています。連続桁というのは一本の桁の途中に橋脚が設けられているものです。なので構造形式は「3径間連続桁橋」です。上部に架かる首都高の高架と一体として架けられた橋のようです。

永代橋

永代橋(完成1926年)は3径間のアーチ橋です。中央径間がソリッドリブタイドアーチで両側径間が吊桁となっているので「ソリッドリブバランスドアーチ橋」になります。現在(2018.12.5)は改修中です。

バランスドアーチ:アーチの両側の径間にもアーチや桁の径間を有するもの

相生橋

相生橋(完成2000年)はトラス橋です。”あいおいばし”と読みます。また3径間であり、斜材の向きが橋脚で切り替わっていてプラットトラスであることが分かるので、「3径間連続プラットトラス橋」です。6車線も通るので、トラスが3列あります。

中央大橋

中央大橋(完成1994年)は斜張橋です。ファン状ケーブルの斜張橋で、主塔はA型の分類でいいのかそれともX型というものがあるのかは不明です。夜景として見た中央大橋はとても澄んだデザインで見ごたえがありました。

まとめ

ランニングをしながら隅田川に架かる橋を見ていきました。これだけ数があると非常に勉強になります。橋というのは物流上必要不可欠なものですが、運ぶのは物や人だけではなく文化や記憶など、人間としての文化活動になくてはならに都市のノードであると思います。機能はさることながら、工学と芸術で成り立ち歴史と未来を繋げられるのが橋の魅力だと思います。これからも橋に目を向けていこうと思います。

かもめ

暖かくなってくると”かもめ”が隅田川を飛び回ります。橋に糞を落としまくりますが、可愛らしいので憎めないです。かもめが川の上を飛んでいると、今という時間は流れているんだなと感じます。そんな「水(川)=時間のメタファー」を空間単位に拡大してくれるのが”かもめ”なのかもしれません。とふと思いました。

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