2019-04

建築

技術、場所、時間の翻訳の上に成り立つ「内藤廣建築」まとめ

はじめに「尊敬する建築家」 私は「好きな建築家は?」と聞かれることがあったら、迷わず内藤廣さんの名前を挙げています。 いくつもの建物を見て、何人もの建築家の本を読んでみて、内藤さんの考え方が自分に一番響いてくるものがあるのです。 建築家とは奇抜さや前衛さが個性なのかと思っていた頃に、建築とはどういうものであるのかを教えてくれたのが内藤さんです。 東大で教鞭をとっていた頃に行なった講義の内容を書き起...
建築

明快な構造とコミュニケーションが発生する一体空間「公立はこだて未来大学」

はじめに「バスで大学へ向かう」 2019年4月に北海道の函館に行ってきました。 目当ては観光名所である五稜郭、というより公立はこだて未来大学でした。2000年に開学した比較的新しい大学で、情報系の学科のみあります。設計は山本理顕さんです。 山本理顕さんは、建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を2024年に受賞した建築家です。丹下健三さんから始まり、日本で9人目の受賞者です。 大学は横津岳の麓に...
建築

向こう側を感じるワンルームの空間「福井県立図書館・文書館」

はじめに 2019年4月に福井県に行ってきました。 福井ではこの槇文彦さんの設計した福井県立図書館や、黒川紀章さんの設計した福井市立美術館、内藤廣さんの設計した福井県年縞博物館を見ることが目的でした。 そしてこの福井県立図書館は、以前に槇さんの作品集を読んだ時に一番惹かれた建物でもありました。 ※内観の写真は撮らせて頂くことができましたが、ネット掲載は禁止でしたので、記事内の写真は外観のみになりま...
建築

自己完結性と境界の明滅「金沢21世紀美術館」

はじめに「金沢をサイクリングで廻る」 2019年4月に石川県金沢市に行ってきました。 金沢は観光地として見所が沢山あり、建築というジャンルで切り取っても見て楽しめるところが沢山あります。 1日の中でなるだけ多くの建物を見るため、小回りの効く自転車をレンタルして廻ってみました。 そうすると自分の頭の中で街の様子が平面的に整理されていき、街という関連性の中で建築と向き合うことができるという利点もあると...
建築

湖に向けた情緒的な軸線「福井県年縞博物館」

はじめに「JR三方駅から湖の方へ向かって」 2019年4月に福井県に行ってきました。福井県の若狭町に最近できたのがこの福井県年縞博物館で、設計は内藤廣さんです。 ※実は若狭町の水月湖で採取された年縞(堆積物による縞模様)が7万年以上のデータを持っていたため、それが”世界標準のものさし”になったということで建設された博物館なのです。 北陸を中心に周遊する旅を電車でしていたため、年縞博物館には最寄の三...

青春18きっぷで廻る、北陸地方10日間建築旅の記録

はじめに「春の旅」 2019年3月末から4月にかけて、北陸地方を中心とした建築旅に行ってきました。それまで北陸はあまり行ったことがなく、初めて行く県が多く、見たい建物も沢山ありました。 春という旅のしやすい気候の中で、晴れている日も多く、快適な旅を送ることができました。春というのはなんだか目に映る景色が少し違うような気がするのです。 それをなんと表現したらいいのか分からないでいたところ、村上春樹さ...
建築

思索するための回廊と庭「鈴木大拙館」

はじめに 2019年4月に石川県に行ってきました。建物見学をメインとした旅ですが、石川県には見るべき建物が沢山あります。金沢市然り、かほく市、加賀市にもあります。 中でも金沢市は、金沢21世紀美術館と、この鈴木大拙館が有名です。 鈴木大拙館の設計は谷口吉生さんですが、金沢では谷口吉生さんとその父、谷口吉郎さんの記念館が建設中で、そちらも見ることができました。 表側と裏側でかなりレベル差のある敷地で...
建築

その場所に恒久的に存在する建物のデザイン「安曇野市庁舎」

はじめに 2019年4月に長野県安曇野市に行ってきました。安曇野にある内藤廣建築と言えば、安曇野ちひろ美術館、そして安曇野市庁舎です。 しかし、美術館に行くということに気持ちが入りすぎて、恥ずかしながら市庁舎もあるということをすっかり忘れていました。 なぜ気がついたかというと、美術館に行き受付の方と話をした際に、「建築でしたら、この後はやっぱり市庁舎に行くんですか?」と聞かれたことがきっかけでした...
建築

回遊性とシークエンスのある内部構成「富山県美術館」

はじめに「新たな美術館へ」 2019年4月に富山県に行ってきました。 富山県美術館は2017年に開館した美術館で、設計は内藤廣さんです。開館当時からずっと行きたいと思っていました。 この富山県美術館が開館するということは、前川國男さんの設計した富山県立近代美術館が閉館するということでもあり、それは少し悲しくもありました。 富山県美術館は2016年の富山県立近代美術館の閉館にあたって2013年にコン...
建築

素材が作る空間と価値「TOYAMAキラリ」

はじめに 2019年4月に富山県に行ってきました。 4月の初めとはいえ雪が降ってきたときにはさすが北陸地方だなと実感させられました。 富山駅から徒歩20分ほど南下し、富山城の先にTOYAMAキラリはあります。 隈研吾さんが設計した複合施設で、中には美術館・図書館・銀行・カフェなどが入っています。 富山のエレメントが現れる外壁 雪が降り視界に寒々としたベールのかかった日ではありましたが、TOYAMA...
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