はじめに「ヌサドゥアエリア」

バリにあるThe Ritz-Carlton, Baliに行ってきました。
バリの東海岸、ヌサドゥアにあるホテルで、ヌサドゥア周辺のホテルは300室を超えるような大規模なリゾートホテルが多いのが特徴です。
「政府の要人が来たり、ビジネスでの利用もヌサドゥアで行うことが多い」とタクシーの運転手から教えてもらいました。
今回、The Ritz-Carlton, Baliに宿泊してきましたので、宿泊者として、そして建築士としての視点で敷地の使い方の観点など紹介していきたいと思います。
敷地内を分断する崖の使い方

ヌサドゥアはインフラがある程度整備されているエリアです。
敷地に到着するまでに、ヒルトンやケンピンスキーなど、名だたるホテルも現れ、その最後にリッツカールトンが現れました。
セキュリティゲートを抜けてからアプローチが長めだったのですが、これはこの敷地の特徴を表しています。
- ホテル敷地入口
- セキュリティゲート
- エントランスアプローチ
- 車でのアプローチ風景
敷地図を見ると分かりやすいですが、縦に長い長方形の敷地になっています。

Resort Map 【参照】https://www.landmark-fine-travel.de/hotels/asien/indonesien/bali/the-ritz-carlton-bali/
長いアプローチを経て車寄せに着くと、大きなロビー棟があります。
- ロビー(短手)
- ロビー(長手)
ロビーからのリゾートの眺めは圧巻でした。
とても高い位置から海を見下ろすダイナミックな構成となっていました。

ロビーからの眺め
この敷地の特徴は、中央を分断する崖により高低差が大きく付いているところです。

崖下から崖上を望む
そして、その前後関係をどのようにデザインしているかが、見どころです。
隣のケンピンスキーと比較すると面白いのですが、リッツカールトンの場合、崖の手前(崖上)にロビー棟を配置し、そこにはファインダイニングとMICE機能があります。
- 崖上のMICE前の庭
- 崖上のファインダイニング
それはあくまで「パブリック棟」としての役割であり、ゲストルーム棟は別に崖下に設けられています。
そのため、ロビーから崖下へは先端に張り出したエレベーターにより降りることになります。
- 張り出したエレベーター
- エレベーターへ続く通路
そうして上から見えていたリゾート空間に足を踏み入れることができます。
崖はなるべくそのまま残しているので、植生の荒い部分もそのまま残っていました。
「対してケンピンスキーは・・・」と比較していくと面白いのですが余計に話が長くなりそうなので、ここでは割愛したいと思います。
ゲストルーム棟までのバギー移動
エレベーターで崖下に着いてからは、蛇行した歩廊を歩いていきます。
その歩廊には猿が現れることもありました。
- 崖下の通路
- 通路に現れた猿
しばらく歩くと正面にラウンジがあり、右側にあるバギーステーションから送迎してもらえるようになっています。
- ラウンジ外観(昼)
- ラウンジ外観(夜)
- ラウンジ内観
- バギーステーション
今回宿泊したのはWING3のゲストルーム棟です。

ゲストルーム棟 WING3
バギーにて1階の寄り付きに到着し、エレベーターにて5階の客室へ向かいました。
- 車寄せ
- ゲストルーム棟エレベーター
スタンダードが100㎡の客室
オープンエアの客用廊下を通り、突き当たりにあるのが今回宿泊したジュニアスイート(100㎡)の客室です。

客用廊下
エントランスを見ると、玄関部分でコネクティングにできる仕様になっていました。
- コネクティングドア
- コネクティングドア内側
客室は玄関側に水回り、奥にベッドルーム、外にテラスがあり、ゆとりのある広さでした。
- 客室ドア
- 化粧台(客室ドアの対面)
- トイレ
- 洗面台
- 浴槽
- ベッドルーム(通路より)
- ベッドルームの右手より
- ベッドルームの左手より
- ベッドルームの正面より
- ダイニングとテラス
結構縦長の客室なので測ってみると12mほどありました。
100㎡の客室ですが、流石に縦長すぎるなと感じました。
ただ、角部屋ということもあり、妻面に窓が付いていたのは唯一の救いでした。
- 妻面の窓
- 窓からは海も見える
水回りはガラス戸でスライド式で色々と仕切れるようにはなっていましたが、方立の納まりなど、全体的に内装グレードはリッツカールトンではないなという感じではありました。
- ガラスのスライド戸(廊下)
- ベッドルームと仕切った様子
そしてテラスには猿が現れました。
これは事前に聞いてはいましたが、なかなかレアな体験ができたと有り難みがありました。

テラスの猿
プールバーとチルタイム
敷地の先端中央にはプールがあり、その左側にプールバー「Breeses Tapas Lounge」があります。

プールバー
夕刻の心地よい時間になってきたので利用しました。
この時間に海の近くで過ごすことは、リゾート感を一番味わえるものだと思っています。

カクテルを注文
カクテルを嗜んでいると、生演奏、生歌が始まりました。
洋楽を中心に歌っていたのですが、途中で「どこから来ましたか?」と聞かれたので日本と答えると、少し話合いがなされた後、日本の曲を2曲歌ってくれました。
曲のチョイスも素晴らしかったですし、何しろバリという離れた地で日本の曲を聴きながらサンセットのチルタイムを過ごすという経験はかけがえのない思い出になりました。

素敵なサンセットの時間
正直、ホテルの建築やインテリアに少し物足りなさを感じていましたが、このような体験があって、本当に滞在して良かったという気持ちにもなりました。
これがホテルという建築の特殊性だと実感しました。
どういうサービスで満足させるかという仕掛けがたくさん作れるからです。
決して建築・インテリアといった見た目だけではないというのを実感した瞬間でしたし、広義での「デザイン」にはこのサービスまでがデザインとも言えるのかもしれないと思いました。
器具の充実したジム
ジムはバギーステーションの向かいにスパと共に独立棟として設けられています。
2階がスパエリアで、ジムは1階にあります。

階段を下りジムへ
ジム用のレセプションも存在し、そこで利用時の登録がありました。

ジムレセプション
ジムの中はこざっぱりとしていましたが、器具は充実していました。
- ジム内観(入口側より)
- ジム内観(奥側より)
- ジム内観(フリーウェイトエリア)
ラグジュアリーホテルであれば内装のグレードはここまで下げないでほしいなというのが感想です。
ですが、ゆとりある空間でしたので十分にトレーニングは行えました。
少し離れたところにはヨガ室もあり、こちらも広かったです。

ヨガ室
スパを体験
今回はスパの見学だけではなく、実際にボディマッサージを受けました。
「予約した際に40分前に来てジャグジーやサウナを先に利用してほしい」と言われたので早めに行きました。
- スパ外観
- スパレセプション
スパレセプションにて予約の旨を伝えると、レセプションの裏手にあるソファに案内され、そちらでウェルカムドリンクを飲みました。
- スパのリラクゼーションスペース
- ウェルカムドリンク
そしてサウナやジャグジーのあるエリアへ行きました。
ロッカーやトイレ、シャワーも充実しており、サウナもジャグジーも満足いくまで利用しました。
- ロッカー
- 大浴場
- サウナ
その後外に出ると、セラピストが待ってくれており、トリートメントルームへ案内されました。
- ヴィラタイプ外観
- ヴィラタイプ内観
スタンダードルームはスパレセプションの上階にあるため階段を上りました。
部屋にはトイレとシャワーも備わった更衣室もあり、そちらで更衣を済ませてベッドのある方へ行きました。
- トリートメント室
- 更衣室
- シャワー室
まずはフットマッサージから始まります。そして好きなオイルを3種類の中から選び、それを施術に使ってもらいます。
ベッドにうつ伏せになり、鐘の音と共に施術がスタートしました。
うつ伏せ、仰向けで全身をマッサージしてもらい、まどろんでいるとあっという間に終わってしまいました。
いつもスパを受けている時はまだ終わらないでほしいと思いながら大半の時間を過ごしてしまっています。
残酷にも癒しの時間の終了は訪れ、レセプションの裏のソファにて、施術後の温かいお茶とクッキーをいただきながら余韻を楽しんだのでした。

スパ後のお茶とクッキー
海を間近に望むファインダイニング
The Ritz-Carlton, Baliには全部で6つのレストランやラウンジがあります。
プールに対して、先述のプールバーと対照的な位置にあるのがファインダイニング「The Beach Grill」です。

The Beach Grill
こちらはビーチに近い位置にあるので、リゾートの心地よい雰囲気を存分に感じながら食事のできる場所です。

ビーチの雰囲気を存分に感じられる
天気が良かったので窓は開けられ、オープンエアのダイニング空間となっていました。

オープンエアで気持ちの良い空間
そして料理はどれも絶品レベルでした。
大盛況のオールデイダイニング
朝食はラウンジの下階にあるオールデイダイニング「Senses」で頂きました。

Senses
テラス席もありましたが、朝日が暑かったので室内で頂きました。
横長の平面形状で、窓に面している部分が多いはずなのですが、壁が多いため室内は割と暗く、そしてどこか狭さも感じられました。

意外と暗めに感じた室内(写真では明るそうに見える)
朝食はビュッフェ形式でライブキッチンもあり、料理は充実していました。

充実しているフード
別日には隣のケンピンスキーに食べに行きましたが、朝食会場としてはそちらの方が明るく魅力的でした。建築もまた素晴らしかったです。
朝食は明るいところで食べたいものだと改めて思いました。
- ケンピンスキー外観
- オールデイ外観
- 明るい室内
- 料理も充実
充実したMICE
The Ritz-Carlton, Baliの特徴として、MICEが非常に充実していることが挙げられます。
日本からもこちらで挙式を行う人もいるくらいメジャーな場所で、チャペルもあります。
- チャペルへのアプローチ
- チャペル外観
大人数での披露宴や会議などが行えるバンケット、そして会議室も充実しています。
- ホワイエ
- ミーティングルーム
- バンケット
- MICEエリアの階段
それらはロビーの下のフロアにあります。図面もあったので載せておきます。

ロビー下のフロア図面
【参照】https://www.ritzcarlton.com/en/hotels/dpssw-the-ritz-carlton-bali/events/
宿泊客用の車寄せの横に団体客用の車寄せがあり、その横にさらにMICE用の車寄せもあるという充実ぶりです。
- 団体用車寄せ
- MICE用車寄せ
2層構成で、このホテルにおけるかなり良いエリアをMICE用途として配置しています。

MICEエリアの庭
宿泊した際には中国人による結婚式が60人規模で開かれており、パーティはオールデイレストラン前の大きな芝生にセッティングして行われていました。
気候が良かったため、外でのパーティは最高だろうなと思いました。
ガーデンヴィラを見学

今回宿泊しなかったヴィラを見学させてもらいたいと言ったところ、ガーデンヴィラを見せてくれました。
これらのヴィラは車寄せに至る長いアプローチの横部分にあり、つまり崖の上側に配置されています。
ガーデンヴィラへはロビー横のバギーステーションから向かいました。

ヴィラ専用バギーステーション
ガーデンヴィラは2階建てで、プールも付いています。
- ヴィラ玄関
- プライベートプール
1階はリビング、ダイニングで、2階にベッドルーム、バスルームがあります。
360㎡の広さですが、1BRのヴィラになります。
中に入った瞬間、内装グレードの高さを感じました。

玄関の正面(ホワイエ)
泊まっているジュニアスイートとはとてもかけ離れた手のかけ具合でした。
宿泊料にして3倍くらい違うので、このくらい差があって仕方ない気もしますが、それにしてもジュニアスイートが簡素すぎるとも思いました。
ガーデンヴィラは間取りが素晴らしく、空間にもて余している感じがなく、贅沢さを強く感じました。
- リビング(1階)
- ダイニング(1階)
- ベッドルーム(2階)
- デスク(2階)
- バスルーム(2階)
- クローゼット(2階)
このヴィラはぜひ泊まってみたいと思いました。
眺めはガーデンビューですが、開口が大きく、外の景色が借景として効いているので、このヴィラの滞在は楽しいだろうなと思いました。

ガーデンビューの気持ちよさを強く感じられる
庭からは直接パブリックのガーデンに出られるのですが、そちらには門がないので、そこのプライバシーは少し気になるところではありました。
おわりに「建築の解答」

以上、The Ritz-Carlton, Baliの紹介でした。今回の滞在では勉強になるところがたくさんありました。
敷地条件に対しての建築の回答によって、リゾートの雰囲気は大きく変化するということがよく分かりました。
リゾートホテルの設計において熟慮する建物配置、特に客室配置において、このホテルは設計者の考えもすごく分かると思うことが多かったです。
ゲストルーム棟の配置や角度、片側廊下など、その回答は数あるうちの一つの正解であると思います。
それを理解した上で隣のケンピンスキーを見ると、また違った回答になっているというのも面白かったです。
- ケンピンスキーの崖下
- ケンピンスキーの崖に対する回答
- 屋上のディテール
所在地:Jl. Raya Nusa Dua Selatan, Benoa, Kec. Kuta Sel., Kabupaten Badung, Bali 80361, Indonesia
設計:WATG、PT Airmas Asri
インテリア:Burega Farnell
客室数:313室(スイート279室、ヴィラ34室)
開業:2015年
- 1階客室はプールアクセス
- ゲストルーム棟外観
- プール側面より
- プール内段差
- サンセットビーチ
- ビジネスセンター
- MICEの階段

