はじめに
台湾を観光する際には台北にある国立故宮博物院はマストかと思います。そしてその故宮の名のつく博物館が台湾には3つあります。国立故宮博物院、故宮花蝶館、国立故宮博物院南院です。故宮花蝶館は2018年11月から2019年4月まで開催される台中世界花卉博覧会(台中フローラ世界博覧会)のために設けられる博物館です。実はこの情報は国立故宮博物院を行く際には大切です。”あるもの”が故宮花蝶館に移動されてしまっているのです。
国立故宮博物院
国立故宮博物院は台北にあります。MRTの士林駅が最寄駅となり、多くの観光客はバスあるいはタクシーで行くことになると思います。自分の場合は旅の濃度が歩くことと比例すると思っているので、歩きで向かいました(30分ほどです)。道中には寺や大学や公園がありました。
到着すると森をバックに直線上のアプローチの先に建物が構えています。階段を登ると広場があります。館内のチケットカウンターで券を買い入場しました。展示は1階から3階まであるのですが、これを全て見ようとすると非常に疲れてしまうくらい量が多いです。
個人的には様々な釉薬が使われている陶磁器を見ることができたのが良かったです。”Bamboo-Green”や”Black”の釉薬がお気に入りです。その他にトリックアートなんていうのもありました。手前から見るのと背後の鏡に映ったものを見るので形が変わっているというアートです。この展示は小休止のようで気分転換になりました。
そしてこの国立故宮博物院の目玉である展示品が肉形石と翠玉白菜なのですが、行ってみると翠玉白菜が展示されていないのです。期間限定で台中フローラ世界博覧会の故宮花蝶館に移されてしまったようなのです。まさかの下調べ不足で翠玉白菜を見るのはお預けになってしまいました。
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故宮花蝶館
国立故宮博物院で見ることができなかった翠玉白菜を求めて、故宮花蝶館に行こうと調べてみると、場所は台中の北に位置する后里駅の近くにありました。台中も今回の台湾旅の滞在場所として計画していたので運良く行くことができました。
台中フローラ世界博覧会が開催されていて、その広い敷地の奥に故宮花蝶館があるのですが、翠玉白菜を見ようと多くの人が行列をなして並んでいました。20分ほど待ち、やっと見ることができました。これによってやっと自分も翠玉白菜を生で見た人の仲間入りを果たしました。
建物見学も兼ねていたのですが、競馬場の施設の区画を使用していて建物としての魅力はありませんでした。飽くまでイベントの一時的な会場です。
国立故宮博物院南院
台北の国立故宮博物院に行った時に最も気になっていたのがこの国立故宮博物院南院です。橋やランドスケープを含めて建築的にこちらの方が面白そうだという思いがありました。2015年にオープンした新しい博物館で、アジアの芸術文化を伝えるという役割を担っています。
設計は台湾の建築家・姚仁喜さんです。建物のデザインは中国水墨画の手法に着想を得て、虚実を表すものとしたようです。虚と実が入り混じる様子は流線的な形態とソリッドな部分、ガラスの透明な部分、それぞれを絡みとるルーバーでよく表現されているように思います。
敷地内には大きな池とアーチ橋があり、ランドスケープを贅沢にデザインしています。おすすめはできないですが、嘉義駅から歩いてきてエントランス位置を迷ってしまったので裏口からアクセスすることになりました。それはそれで楽しかったです。
展示品に大阪の都市文化が集積する中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館から借りている有田焼がありました。どうやら故宮博物院と大阪市立東洋陶磁美術館は姉妹館の関係にあるようで、展示順路の最後にそれを知ることができました。
おわりに
当初は国立故宮博物院だけに行く予定だったつもりが、故宮花蝶館と国立故宮博物院南院も結果的に行ってきました。それが旅での発見による行き先変更の面白さでもあります。ちなみに国立故宮博物院南院は嘉義市にあって少し行きにくいですが、展示を含めた建築・ランドスケープの体験としては一番おすすめしたい場所です。