はじめに
先日、瀬戸内海のしまなみ海道を渡り橋の面白さに触れたため、今回は東京の隅田川に架かる橋の構造について、ランニングをしながら学んでみました。
生活圏内にある川なので自分にとって馴染みがあるところでもあります。夜にランニングをすることが多いので、写真は主に夜に撮ったものになります。
隅田川マップ
参考までに、隅田川沿いにある橋を地図上にプロットしました。
白鬚橋
白鬚橋(完成1931年)はアーチ橋です。アーチリブの骨組みが斜材になっているため、ブレースドリブアーチです。
さらには中央径間のアーチの両側径間がトラス桁になっているためバランスドアーチであり、「ブレースドリブバランスドアーチ橋」というような組み合わせの名前になるかと思います。
ブレースドリブがそのまま桁になっているというのが面白いです。
桜橋
桜橋(完成1985年)は桁橋です。ここは私のお気に入りの橋です。
歩道橋なので自分たちが自由気ままに横断できるというのが好きで、しかも平面がX形になっています。
そのため通る道の選択肢があって、一方向性の流れが感じられないというのも広場的で好きです。
また桁の構造は箱型で曲線を描いています。
言問橋
(no image)←撮り損ねました
言問橋(完成1928年)は桁橋です。言問橋を西から東に渡るとスカイツリーが真正面に見えるため、その橋の上からの景色が好きです。
普通の桁橋だなんて思っていましたが、構造は特殊なものでした。3径間のゲルバー桁橋となっていて、中央径間に吊桁があるのです。
ゲルバー桁なので両側がキャンチレバーになっていて、中央の桁をその上に乗せているというものです。橋は奥が深いです。
[adchord]
鉄道橋(東武スカイツリーライン線)
浅草駅とスカイツリーライン駅の間に隅田川があるため、そこは鉄道橋になっています。
スカイツリーのライトアップが頻繁に変わっていることは一般的に知られていると思うのですが、実はこの橋もスカイツリーの色に合わせてライトアップされているのです。
ランニング中によく足を止める休憩スポットです。
さて構造ですが、上路形式のトラス橋です。
トラス橋の中でも垂直材があり、平行弦のワーレントラスなので、「垂直材のある平行弦ワーレントラス橋」という名称になるかと思います。
個人的おすすめポイントは、電車で橋を渡るときに見る隅田川の景色です。
南側を見ると吾妻橋・駒形橋・厩橋が連なって架かっているのが見え、赤・青・緑と橋の色が変わっていきます。
春になると川沿いに桜が咲き、さらに彩りが豊かな景色となります。
それを車窓というピクチャウィンドウから望むというのがツウな楽しみ方なのだと密かに思っています。
吾妻橋
吾妻橋(完成1931年)は3径間の上路形式のアーチ橋です。
橋脚部分を見ると2ヒンジとなっていることがわかります。またソリッドリブです。
吾妻橋はタイドアーチと書いている資料がありましたが、タイドアーチが「支点への水平反力を生じなくさせるもの」という定義に則るならばこれはタイドアーチではないのではないかと思っています。
恐らく「2ヒンジソリッドリブアーチ」でいいのだと思います。しかし確証はありません・・
明治期の吾妻橋は下路形式の鋼トラス橋で床版が木造だったようですが、ここは開けた視界を確保できる方がいいため、上路になって良かったなと思います。
欄干の手摺子の間隔が狭いからかアクリルパネルが貼ってあるのが少々残念ではありますが、渡るのも見るのも楽しい橋です。
タイドアーチ:アーチリブの両端をタイで結んで水平移動を拘束して支点に水平反力を生じさせなくしたもの
駒形橋
駒形橋(完成1927年)は3径間のアーチ橋です。実はここの構造形式もよく分かりません。
本やネットで調べると両側径間が上路式ソリッドリブアーチ橋で、中央径間が中路式ソリッドリブタイドアーチ橋と書かれているのですが、中央径間は「2ヒンジソリッドリブアーチではない?」とこんがらがっています。
なぜならアーチリブが橋脚の上の支点に斜めに落ちているので、これでもタイドアーチとして「水平反力が生じないようになっている?」と疑問です。
しかし橋桁の上にいかにもスラストに抵抗していそうなブロックがあるため、やっぱりタイドアーチなのかなとも思います。いつかこの疑問が解消される時が来ればいいですが・・
厩橋
厩橋(完成1929年)は下路形式の3径間アーチ橋です。これは「ソリッドリブタイドアーチ」です。
きちんと支承に対して鉛直に力が伝えられているのが見て取れます。
次の橋からは「ランニングで橋を学ぶ《隅田川テラス②》」に続きます。