ラフなレンガの表情と回遊プラン「林原美術館」

建築

はじめに「3つの前川建築が近接する岡山市」

林原美術館は岡山県岡山市にあります。設計は前川國男さんです。

岡山市には林原美術館の他に、”岡山県庁舎”と”天神山文化プラザ”の2つが前川建築として存在しています。

それぞれ徒歩圏内で行けるので、見学者にとってこの距離感は非常にありがたいです。

林原美術館は1964年に開館しましたが、当初は岡山美術館という名称だったそうです。

のちに岡田新一さんの設計した岡山県立美術館が開館したので、林原美術館と名称が変更されました。

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焼き過ぎレンガのラフな表情

林原美術館は1964年の開館なので、この後に前川さんは「打ち込みタイル」を考案することになります。

その原型を見て取れるのがこの林原美術館です。

近寄って見てみると、RCの壁に形が均質でない「焼き過ぎタイル」が埋め込まれている様子が分かります。

まさに手作業ということが伝わってくる味のある粗さがあります。

中庭を中心とした回遊プラン

建物は中庭を中心としてぐるっと一周できるプランになっています。

エントランスホールに入ると正面に竹が植えられた中庭が位置します。

室内の天井高が抑えられているため、中庭に集まった光がより強調されて見えます。

一周するプランはエントランスホールから展示室に入り、休憩スペースに出てエントランスホールに戻るようになっています。

展示室は閉じられた空間のため、展示物に没頭することができます。

展示室を出ると再び外や中庭からの光が入り込む明るい休憩スペースに出ます。

そこは床レベルが750mm下げられているため他より開放的であり、中庭から大開口となっている南側の庭への立体的な流れが感じられます。

休憩スペースは腰壁で通路と隔たれており、床レベル差や並べられたソファやテーブルと相まって静的な空間となっています。

その腰壁には傾きが加えられていて、ここにも先ほどの流れを作るささやかな仕掛けが隠されています。

おわりに「企画展示・お守り刀」

見学に行った時は「お守り刀展示会」(期間:2018.11.17~2019.1.14)が開催されていました。

お守り刀とはお守りとして身につけておく刀で、切るための刀ではないようです。

そのため短い刀が多く展示されていました。

全国の職人さんが作った刀が展示されているのと同時に、刀の作り方から部位名称まで学ぶことができました。

個人的に気になったところとして、刀には「はばき」という金具がついているのですが、ピンク色のはばきが出す光沢が美しい刀がありました。

とても魅力的な建物なので、林原美術館にぜひ足を運んでみることをおすすめします。

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