大浴場が魅力のリノベホテル|埼玉グランドホテル本庄

ホテル

はじめに「リニューアルしたホテル」

埼玉グランドホテル本庄に宿泊してきました。1981年に本庄駅前に開業したホテルで、2023年7月にリニューアルオープンしました。

本庄周辺で宿を探していたところ、リノベーションしたホテルがあるということを知り、気になって泊まってみました。

※この記事では宿泊客としての視点に加え、建築士としての視点も交えながら書いていきたいと思います。

“記憶”を残したリノベーション

外観

ホテルに近づくと、「何か面白そうだ」と期待感が膨らんできました。

外装は同一面上の上下で切り替わっており、エントランスも含む下部はダークグレー、上部はレンガ調タイルになっています。

エントランス周り

上部のタイルは既存のまま活かし、下部はそこに塗装をすることで新しいホテルの顔を作っています

外装のやりかえももちろんですが、リノベーションにおいて、照明・サイン・植栽、この3つをデザインすると、ぐっと空間は良くなるように感じます。

こちらの埼玉グランドホテル本庄もその3点が魅力的にデザインされており、例えばエントランス周りには次のような要素がありました。

・真鍮色で細いフォントの館名サイン
・円形のペンダントライトのラウンジ照明
・多様で色もさまざまな樹種を使用したエントランスの植栽

館名サイン

ラウンジ照明と植栽

ロビーに入ると、既存のままの床や壁、照明もありましたが、壁は床から2.1m以上の部分のみ改修し、こちらも外壁と同じようにダークグレーで塗っていました。

ロビー内観

素材はリシンの吹付ですが、下地は既存のままのトラバーチンなので、その凸凹が残り、単調でない味を出していました。

客室フロアの緑と赤

客室フロア

ホテルは地上12階建で、今回宿泊したのは10階です。

エレベーターを降りると緑一色の世界でした。その単一な空間に少し緊張感を覚えながらも客室のドアを開けると、中は赤の世界でした。

 

客室

といっても赤なのは家具とカーペットで、壁・天井は白なのですが、カーペットの赤が特に効果的に働いていました。

インテリアの色合い

暗い赤、明るい赤、白などが混ざったカーペットで、自分もどこかで採用してみたいと思いました。

カーペットの素材感

家具は昔のものをそのまま使っていましたが、新しいものには作り出せない味がありました。

ベッドボードと照明

テーブルとチェア

客室は北向きだったので赤城山が見え、眺めは非常に良かったです。網入りガラスだったのと、換気のために窓を開けることができなかったのは少し残念でした。

窓から見える赤城山

客室は限られた予算の中で、改修するしないをドライに切り分けてやっているのが設計者目線からすると好印象でした。

既存家具を使うのもそうですし、大浴場を改修する代わりに水回りの3点ユニットは改修しないということにしたのだと思います。

既存のままの3点ユニット

インテリアはいい感じでしたが、隣の部屋の音や話し声が丸聞こえなのは少し気になりました。

隣人の音は少し気になる。

ルームミックスを考える

今回宿泊したのは18㎡の「クラシックシングル」というタイプの部屋でした。

客室は13〜27㎡で5タイプあります。

個人的な意見としては50㎡くらいのスイートを作って、ホテルのウリにするというのをやってもいいのではないかと思いました。

例えばノーガホテル京都清水みたいに、魅力的なスイートがあることはそのホテルの価値を大きく上げるものだと思いますし、需要もあるように思います。

ちなみに、2025年に駅前にABホテル本庄が開業予定です。

こちらはビジネスホテルですが、埼玉グランドホテル本庄はシティホテルとして広めの部屋も欲しいかなというのが個人的な勝手な意見でした。

ラグジュアリーホテルに匹敵する大浴場

大浴場 【参照】https://rio-hotels.co.jp/honjo/bath.html

「このホテルの一番のポイントは?」と聞かれたら大浴場と答えると思います。

ホテルの5階には大浴場と朝食会場、ランドリーなど共用施設がまとまっています。

大浴場は洗い場の方がグレーのタイル、浴槽の方が緑のタイルで空間で色分けされており、とても魅力的なデザインでした。

浴槽 【参照】https://rio-hotels.co.jp/honjo/bath.html

また、大浴場の外には庭園があり、窓は開いていないものの開放感がありました。

洗い場は仕切りが無いという、町場の銭湯スタイルで、シャワー数は男性が8つで女性が4つです。

洗い場 【参照】https://rio-hotels.co.jp/honjo/bath.html

洗い場の正面に鏡がないのが気になるというレビューがありましたが、個人的にはだからこそ空間が上質に仕上っているように感じました。

でもそれはデザイン視点すぎるかもしれません。実際はラグジュアリーホテルでも鏡は付いているので、利用者視点ではあったほうがいいと思います。

また、サウナも水風呂もあります。今時らしく、ととのい用のベンチもありました。

サウナと水風呂 【参照】https://rio-hotels.co.jp/honjo/bath.html

サウナ内観 【参照】https://rio-hotels.co.jp/honjo/bath.html

他にもサウナ側と浴槽側で視線が抜けるような開口があったりして、大浴場の中でもこのくらい壁があってもいいなと思えた良い事例でした。

宴会場を朝食会場へリノベーション

朝食会場

宿泊プランには、ビュッフェ形式の朝食が無料で付いていました。

会場に行くと、広い空間の中央にビュッフェ台があり、それを囲うように客席がゆとりを持って配置されていました。

中央のビュッフェ台

壁・天井のピンクと天井の華やかなオブジェが印象的です。ピンクは塗装ではなくクロスのようでした。

スタッフさんに聞いてみると、この広い空間は元々は宴会場だったらしいです。そのために窓が無いというのが特徴的です。

窓の無い部屋

インテリアは良いのですが、朝食なので外の光を浴びながら食べたい気持ちはありました。しかし元が宴会場である以上、なかなか難しいのは理解できます。

おわりに「観光にも出張にも」

以上、埼玉グランドホテル本庄の紹介でした。

今回初めて本庄に行きましたが、こんな魅力的なホテルがあるなんて知らなかったです。

レビューの中で本庄に来るならまたこのホテルに泊まりたいと言っている人もいましたが、私も同感です。

ロビーにはコンセントも充実したワーキングスペースもあり、観光はもちろん、出張で来る人にもおすすめのホテルです。

もっと色々なリノベーションホテルを見てみたいと思いました。

埼玉グランドホテル本庄 物件概要
デザイン監修:POINT、Spicy Architects
建築改修設計:アイダアトリエ
敷地面積:2,815.14㎡
延床面積:9,996.25㎡
構造:SRC造
階数:地上12階、地下1階
竣工:1981年11月
リノベーション完了:2023年6月
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