はじめに「ようやく記事に」
以前に「マンションの購入に向けたリサーチ」という記事を書いたことがあります。
それは2020年というコロナ真っ只中のことでした。コロナの影響があった訳ではありませんが、そろそろマンションを購入したいなと思っていた時期でした。
賃貸で住んでいて、毎月の支出となるお金が勿体なく感じていたのです。持ち家であれば、ローン返済=貯金という考え方もできるためです。
マンションを購入すべく、数多くの本を読んだり見学に行ったりして、多くのリサーチをしていました。
その記事では、文末に「購入は一旦見送りにする」と書いたのですが、実はその後しばらくしてマンションの購入をしていました。
そして売却も経た今、中古マンションの購入から売却までの経験を、社会の動きとともに記事にしたいと思います。
右肩上がりの不動産市況で購入する

私が保有していたマンションの概要は次のとおりです。
築年数:20〜30年
規模:中高層
間取り:1LDK
購入したのは2021年でした。売却したのが2025年なので、約4年間保有していたことになります。
以前の記事を書いた2020年の時点で「マンション価格が高騰していて今は手を出しにくい」と自分で書いていたのですが、その時は更に高騰し続ける未来が待っているとは思ってもいませんでした。
2020年にしたリサーチの結果、オリンピック景気はあれど、生産緑地問題や団塊の世代問題で価格上昇は落ち着くという予想が多く見られていた中、不動産市況は意も介さず過熱し続けています。
やはり外国人による購入がとても影響の大きい要因だと思います。
それは売却時に身をもって感じたことでもありました。
出口を見据えた揺るぎない条件

マンションを購入する時はとにかく沢山リサーチをしました。そして最終的に購入条件は次の通りまとめました。
・東京23区
・駅から近い
・高層階
・好きなエリア
・そのエリアでの割安感がある
・築20〜30年
結果的に、この選び方は正解だったと思っています。
最初から出口を見据えていたので、購入時は坪〇〇円なら購入し、このくらいの金額で売りたいというシミュレーションをしていました。
特に、都心で駅から近いという価値は経年で減るものではなく、むしろ駅近はさまざまな施設が充実しやすいと考えていたので、価値は上がりやすいという推測がありました。
時間をかけて物件探しをした甲斐があり、ついに条件に当てはまる物件が現れ購入に至りました。
物件情報が出てからすぐに内見をして、「この金額だったら買います」と売主に伝えました。
値引き交渉もある程度でき、自分で納得のいく坪単価で購入することができました。
たった4年前ですが、当時の坪単価はお手頃だったのだと、今の世の中を見ると感じます。
オリンピックにコロナ、購入後の市況

購入し、引渡しを終え、とても清々しい気分でした。新しい家に住めるということもありますが、人として一段階成長できたような高揚感がありました。
マンションはすぐに売るつもりはなく、5年〜10年くらいの保有期間を想定していたので、マンション市況については大して気にしなくなりました。
2021年には東京オリンピックがありました。コロナの影響で1年遅れての開催でした。
この時に自分の身を置く建築業界では、かなりの追い風を感じていました。
当然不動産も好調でした。そんな中ずっと議論にあったのが、オリンピック後に不動産市況が後退するのかどうか、という点でした。
しかし肌感覚として、オリンピック閉幕後でも好調な流れは続きそうだと思っていました。
余談ですが、2022、2023年と続いたコロナ渦にて、急激に設計にリモートワークや個室ブース、コワーキングスペースというキーワードが多くなりました。
そして、戸建てや80㎡台マンションなど、広めの家を求める人が一時的に増えていきました。
コロナも明けて2024、2025年となっていくと、リモートワーク制度がそのまま残る企業もありながらも、多くの企業は通勤が再度始まりました。
そうすると「部屋が足らない」という問題は薄れていきました。住宅価格の高騰もあり、そんなこと言ってられないという側面もあるかもしれません。
そうしてコロナが巻き起こした働き方の変化とともに、「家」のあり方も揺さぶられていたように思います。
東京に住めないと言われる今、売却を検討

現在2025年は、東京には住めないとすら言われています。それは、住宅価格が高騰し過ぎているからです。
先日、新築マンションは平均1.3億という数字を出しました。中古もかなり高騰しています。
新築マンションの高騰の理由として、海外マネーの流入や転売目的の購入も挙げられていますが、建築費の高騰という要素も非常に大きいと思います。
建築するときには、「坪単価」でその価値を測るのが一般的ですが、工事見積りの蓋を開くたびに上がっていっているというのが近年の状況です。
世間がそんな中、マンションの売却相談をしてみました。
3社に声をかけて査定してもらいましたが、どの会社でも購入時よりも高い金額で売れそうでした。
自分でもスーモなどで周辺相場をしばらく観察していたので、そうなるとは思っていました。
今後のマンション価格が更に上がるのか、バブル崩壊の如く下がっていくのかは分かりませんが、相場が過熱気味であると個人的に感じたので売却をすることに決めました。
売却活動で実感する外国人の多さ
マンション売却は、仲介の担当者が非常に大事であると強く感じました。
査定してもらった会社には、すぐに仲介手数料を回収したいためか、かなり安めの査定をしてくるところもありました。
大手の会社ですが、さすがに舐められていると思いました。
ですが1社、とても誠実な方がいて、経験も豊富で説明も分かりやすかったのでそちらにて専任媒介契約を結びました。
自分が最終的にこのくらいで売れたらいいなという坪単価も設定しました。周辺相場的に、この家の条件であれば、このくらいを狙えるだろうというのを考え算出しました。
トータルで14組の内覧対応をしました。
ニュースなどで、海外投資家などが東京のマンションを買っているという情報をよく見ていたので、どのような方が内覧に来るのか楽しみにしていました。
結果、半数は外国の方でした。国は中国と台湾です。
外国の方はセカンドハウスとしての購入や、日本に住む子どものための購入という目的が多かったです。
そして内覧する方は、女性が8割を占めていたというのも特徴的な結果でした。
10%の確率で契約に至るという通説
調べてみると、「一般的に10組内覧すれば成約する」という考え方がありました。これはかなり的を得ていると思いました。
私の場合、9組目で申込みがありました。日本の方です。
ですが契約予定日の2日前、急遽キャンセルが入ってしまいました。
理由を伺うと、親族や知人に相談した結果、今は買うべきではないという判断に至ったとのことでした。ショックでした。
この申込から契約までの期間、売却活動は鈍化していたので、機会損失を償って欲しいとも思いました。
でも仕方ありません。申込みというのは法的拘束力がないのでキャンセルも簡単にできてしまうのが実際です。
気を取り直して、再度売却活動を始めました。
すぐに内覧の打診が複数人からあり、対応している内に、12組目にして2回目の購入申込がありました。こちらも日本人でした。
前回キャンセルがあったので、油断禁物という心構えで契約予定日まで過ごしていました。
幸い購入の意思も固い買主さんで、問題なく契約をすることができました。
最終着地点として睨んでいた金額よりも若干高く売ることができたので、満足な結果となりました。
おわりに「バブル崩壊時の状況」
以上、中古マンションの購入から売却までの流れを体験談に基づいて記録してみました。
ちなみに、これまでの新築マンション平均価格を遡ってみると、1989年に当時の最高値を付け、その後2000年くらいにかけて下降していました。
これはバブル崩壊前後の動きを示しています。下記がデータです。

【参照】 https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/567/mdn20231114.pdf
また、バブル崩壊時の特徴について、ネットに予兆と思しき点が色々と書かれていました。
興味深かったのが、個人が無理をして不動産を購入していたという点です。
上がり相場のため、高いけれども今後も更に上がるだろうという楽観的な観測のもと購入していたのだと思います。
そこに金融政策の転換や総量規制が加わった結果、バブルが崩壊してしまいました。
2025年現在はそんな崩壊前夜の状況に近いのかもしれません。
しかし実際は当時のPER、PBRは今と比べると全く異なる点もあり、今はバブルでは無いという見方もあります。
様々な憶測がありますが、自分の選択が未来から振り返るとどうだったのか、改めて考察するのが楽しみです。

