マンション購入に向けたリサーチ|建築士がお勧めする本【3選】

参考書・本

はじめに「人生初のマンション購入に向けて」

私は普段は建築の設計をしており、マンションの設計にも携わったことがありますが、そろそろ自分の家を買ってもいいのではないかとふと思いました。

家は人生で一番高い買い物」とはハウスメーカーで働いていた時代から、散々聞かされていましたが、ついに自分も住宅購入を考える時期になりました。

なので、本を中心に色々とリサーチしてみることから始めてみました。

※今回は私のマンション購入に向けたリサーチを通して、同じようにマンション購入を考えている方に向けて、おすすめの本を紹介したいと思います。
この記事は2020年時点での市況や考察を元に書いております。
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なぜ住宅を購入しようと思ったか

私が購入を考えた理由としては次の通りです。

・賃貸では、家賃としてお金を捨てているのではないか
・月々の支払いは同じでも、賃貸よりローンの方が良い条件の家に住めるのではないか
・購入することで、将来賃貸に出して収入を得られるのではないか
・良い物件を買えば、売るときに値上がりしていて得をするのではないか

以上の点が主な理由です。ほとんどの人が購入を検討するときの理由と同じではないでしょうか。

ですが、これらがもしかしたら勝手な思い込みかもしれませんし、他に見過ごしている重大な点があるかもしれません。なので本をとにかく買いあさり、情報をインプットすることに努めました。

全22冊の本を購入し、情報をたくさん集める

本の良いところは、情報が集約されている点、かつ情報量が多いというところだと思っています。普通に一冊1000円以上はしますので、まあまあの出費になりますが、情報にはそれだけの価値があります。

今回は書店に行くたびに選んで買った全22冊の本で、毎日コツコツと読み情報収集をしましたので、それらで分かったことをお伝えします。

中には少し横道のそれた本なんかもありますが、どこにどんな情報が転がっているかなんていうのは分からないのです。そして本の他には、駅などに置いてあるスーモの新築マンション雑誌を持って帰ったり、実際にモデルルームに行ったりもしました。

では、本を読み知識を蓄えた上で、先ほど挙げた私が購入を考えた理由への回答をしてみます。

Q.賃貸では、家賃としてお金を捨てているのではないか

A.その通りだと思います。購入すれば毎月のローン返済の分が資産へと変わります。購入すれば確実にバランスシートの資産に住宅が入ります。対して賃貸はいくら払っても自分のものにはなりません。

しかし、賃貸と持ち家がどちらがいいかという論争に決着がつかないように、どちらが正解ということはないと思います。

購入して資産にしたいというのは、お金に余裕がないためで、お金に余裕のある人は住み替え等融通の効きやすい賃貸の方が良いという意見があり、それには納得できます。
私もお金が勿体ないという考えから持ち家を考えましたので、その場合はさっさと購入してしまうのが良いのだと思います。
Q.月々の支払いは同じでも、賃貸よりローンの方が良い条件の家に住めるのではないか

A.その通りです。まず賃貸用のマンションと分譲マンションでは、設備スペックは分譲の方が高いです。

というのも、賃貸用というのはキャッシュフローの考えが第一にありますので、貸主の利回りがどれだけ高く設定できるかが至上命題なのです。

総工費に対して、毎年何%の賃料が取れるかというのがキャッシュフローの考え方です。それが6%もいけばかなりいい方です。

となると、そのパーセンテージを高く取るためには、工事費を抑える必要があります。したがって設備仕様などにしわ寄せがきて、スペックを落とすということになるのです。

賃貸を借りる側も、設備スペックなどよりも月いくらで住めるのかという方が重要視していますので、そうなるのは必然かもしれません。

そして、同じ立地の同じ広さのマンションであっても、月々の支払いは購入しローンの返済の方が安いのです。

しかし、分譲マンションでもある程度規模も大きくなっていくと管理修繕費が高くなってきて、それらの負担も大きくなります。なぜなら共用部のグレードが上がるためです。

エントランスが豪華であり、眺めの良いスカイラウンジがあったり、ジムやプールなどの維持管理の費用が月々の支払いに計上されるためです。たまに外に噴水がある物件もありますが、自分だったらその管理費は削減したいと思ってしまいます。

Q.購入することで、将来賃貸に出して収入を得られるのではないか

A.ローン返済をしつつ、家賃収入でプラスになるというパターンが望ましいですが、エリアの特性をきちんと把握する必要があります。賃貸に出す際に空きが出ず、本当に借りてくれるのかというのは難しい問題です。

港区のワンルームマンションの購入を検討した際に、ローン返済の方が家賃収入の方が高いということがありました。いわゆる持ち出しというもので、返済仕切るまではマイナスでそこからプラスになります。

こういう物件は、マンションを購入すれば団信という生命保険がつくので、生命保険に加入した分でマイナス分とトントンだとか上手いよう言われるようですが、お金に余裕がない限り月々マイナスの状況は避けたいものです。

こういったようにローン返済を賄える家賃収入を得るというのは難しいと思っています。するのであればローンを返済し終えた後に貸し出すという方法がリスクが少なくていいかもしれません。35年も同じところに住むというのは私は考えたくないですが。。

Q.良い物件を買えば、売るときに値上がりしていて得をするのではないか

A.タワーマンションなど大規模マンションはそのような傾向が強いようですが、これからはそうとも言い切れないようです。

坪単価(1坪あたりの価格)も最近まで右肩上がりでしたので、10年前に購入した物件が値上がりし、その頃買った人には含み利益が出ているようですが、今後はどうでしょうか。

坪単価が上がっていった原因としてはアベノミクスの政策と日銀の黒田総裁による金利緩和がありますが、先日(20209)、第99台総理大臣として菅総理へと変わったので、これからどうなるのかは不透明です。

また、オリンピック景気についても頻繁に話題になっていますが、終了後の値下がりは影響はないだろうと私は考えます。なぜなら新築計画がまだまだされているからです。湾岸地区でも月島エリアなんかは再開発事業がたくさん控えています。


生産緑地の問題

それよりも懸念されるのが、2022年問題とされる生産緑地の解除を発端とする値下がりです。

これにより住宅供給過多となって、坪単価も賃料も下がるのではないかと思います。東京23区では練馬が一番多く、次いで世田谷ですが、農地が宅地となり、そこに住宅ができれば必然的にエリアの住宅の数が多くなりますので、価格は下がるだろうという考え方です。


団塊世代の相続の問題

さらには戦後に生まれた団塊世代の相続問題も今後10年間で多発し、土地・建物が世に流通することで供給過多になるという話もあります。

なので私は、値上がり益を狙える物件は将来的に価値の維持される「駅直結」など不動の価値を持っている物件くらいなのではないかと思っています。

しかも聞いた話では、近年は将来的な値上がりを加味した金額で売っているらしいので、恐ろしいです。

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読んでみて良かった本、おすすめしたい本

本でたくさん情報収集してみましたが、役に立つ本もあれば、正直微妙な本もありました。

それは仕方ないですが、もしこの記事を読んでくれてる方には良質な本を選んで頂きたいので、私のおすすめの本を紹介したいと思います。全22冊の内からベスト3に絞ります。

第3位「住んでみなければ絶対にわからない タワーマンションほんとの話」監修:マンションブロガーのらえもん

この本はタワーマンションに焦点を当てて書かれているのですが、この作者である「のらえもん」さんは一般消費者としてのブロガーさんです。

建築や不動産を専門にやっている訳ではないのですが、非常に多くの知識があり勉強になります。しかも実際にタワーマンションに住んでいる人なので、住まい手としてどうなのかという事情を知ることができます。

例えば、共用施設について次のように述べています。

「ゲストルームや高層階のバーラウンジなどは、親戚や友人が来たときには、ぜひとも欲しい施設です。」

「維持費がかかって問題となりやすい共用施設の代表例がプールと温泉です。・・・利用料だけではまかなえませんので、区分所有者全員がプールの維持費用を負担することになります。」

タワーマンションの購入を検討する人にはぜひともお勧めしたい一冊です。

第2位「マンションを買うなら60m2にしなさい」作者:後藤一仁

作者の後藤さんは、不動産業界での経験が豊富で、現在は不動産コンサルタントとしてコンサルやアドバイスをしている方です。

本のタイトルで「〇〇しなさい」という本は世の中に結構あり、出落ちである本が多い中、根拠から説得力まで十分にある良書だと思います。

後藤さんは60m2を勧める理由として次の4点を挙げています。

1.売りやすい
2.貸しやすい
3.コストパフォーマンスに優れている
4.税制メリットを効率的に受けられる

60m2より大きい7080m2とかですと、将来的に持て余すことが想定されますし、借り手も付きにくいです。

特に税制上では内法50m2以上ですと、住宅ローン控除を中心とる控除を受けられるのが特徴です。

販売上は、内法面積ではなく壁芯面積で売られますので、内法50m2ということは壁芯55 m2程度以上は必要であり、60m2くらいの住戸はそれに当てはまります。

最近では、60m2であっても3LDKで売られることも多いので、夫婦で広めに1LDKで使ったり、夫婦+子供1人で2LDKとして使う、あるいは、部屋数に重きを置いて3LDKで夫婦+子供2人も想定できます。

といったような60m2を勧める理由に加え、どんなエリアを選んだらいいか、購入に当たって注意することなども分かりやすく書かれていますのでお勧めです。

第1位「買っていい一流マンション ダメな三流マンション」作者:碓井民朗

作者の碓井さんは、一級建築士として活動していて、マンション設計の経験が豊富な建築家です。それゆえに、設計視点で「いいマンションとは何か」というのが具体的に書かれています。

少し内容は専門的になりますが、知識がない人でも読めるように書かれています。一番いいのは、マンションの検討で建築士に同行してもらって助言をもらうことですが、この本を読むことで自分でプロ並みのチェックができます。

例えば、床・天井の仕様で二重床・二重天井というものがあります。コンクリートの床・天井と、仕上げとの間にふところとして空間が設けられているものです。

これは維持更新のしやすさや、遮音性を高めるために有効なので、一流のマンションでは当たり前です。しかしこれらが直床・直天として、コンクリートにそのままフローリングを敷いたり、クロスを貼ったりしているところもあります。これが三流マンションなのだと碓井さんは言っています。

また、テクニカルな話ですが、高さ45m以下で15階建てのマンションは三流だとも言っています。

法規・構造的な観点で高さは31m45m60mというのが高さの節目ですが、売り手からすると、如何にたくさん面積を取れるかが利益に直結します。

ですので先ほどの話だと14階建より15階建にしたいところですが、住み手の居住性を考えると、15階建て45mは各フロアの天井が低くなり、圧迫感が強くなります。

そこを14階にすれば、それぞれの階の天井高は高くなり、居住性は上がるので、それが一流マンションなのだということです。

これは本の内容の一部でしかありませんが、こういったタメになる内容が本の中に詰め込まれています。一般の人のみならず、建築関係の人にもおすすめの本です。

番外編「クソ物件オブザイヤー」作者:全宅ツイ

この本は不動産の本棚コーナーに置いてあって、面白そうだったために買った本です。歯に絹着せぬ物言いで書かれているのが面白いです

例えば、一時期ニュースになった五反田の地面師事件で、大手ハウスメーカーの積水ハウスが架空の施主(地面師)60億円騙し取られたということがありましたが、その土地には旭化成のタワーマンションが計画されているそうです。

それに、クソ物件としてレオパレスの一人暮らしの女性に向けた、カーテンに男性のシルエットを写すという謎の商品が紹介されていたりしました。そういった面白物件を色々知ることができます。かなり面白い本です。下世話な話が好きな方はぜひ。

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おわりに「マンションを購入するかどうかの判断」

たくさんの情報を集めた結果、私は買うにしても今ではないという結論に至りました。

というのも、23区でのマンション価格が高すぎる気がしています(23区というのは資産上マストです)。

高すぎるマンション価格が、先ほど書いた生産緑地問題、団塊世代相続問題、そして昨今のコロナ問題で適正になっていくのではないかと考えたためです。

モデルルームに見にいってもみましたが、価格が随分強気だなとも感じました。

しかしながら情報収集は継続し、希望エリアの狙い目物件が現れることは常に観察していきます。今回の判断が正しかったかは分からないですが、多くの本を読むことで得られた知識は実際に購入の際に必ず生かされるはずです。

マンションの購入を考えている方は、おすすめさせて頂いた本などを参考に、買って損をしないマンション選びをして頂けたらと思います。

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