沖縄のオーベルジュで嗜む大人のリゾートステイ|ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ宜野座

ホテル

はじめに「全19室のオーベルジュ」

沖縄の宜野座にある、ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ宜野座に宿泊してきました。

那覇空港から車で1時間ほどの位置にあります。

ここは、沖縄らしい雰囲気を存分に味わえるホテルを探していたときに見つけたホテルです。

約20,000㎡の敷地に、全19室しかないというゆとりあるホテルで、ゆったりとホテル滞在をしたいという方にとてもおすすめです。

沖縄でも他のホテルですと外国人も多いのですが、今回宿泊した時は日本人しか見られず、穴場に感じました。

また、1ミシュランキーのホテルとして選ばれており、グローバル視点でも評価されています。

この記事では宿泊してきた体験とともに、建築士としての視点を交えて紹介していきます。
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感動を生むウェルカムエントランス

車でホテルへ向かっていると、周りにいた車が次々といなくなり、いつしか自分しか走っていないくらい、ひと気のないエリアに来ていました。

ホテルがこんなところにあるのだろうかと思っていたら、道路沿いに「HIRAMATSU」と書かれた門がありました。

そのゲートを入ってからもう少し進みます。そして、より荘厳な門が現れました。

恐る恐る徐行していると車寄せにつきました。

スタッフさんが出てきてくれ、車寄せで停車しました。どうやらバレーパーキングでした。

車の鍵を預け、荷物は台車に乗せてもらい、すぐそばのウェルカムエントランス(アライバル)へ促されます。

そこはオープンエアーの空間で、建物の向こうに海を望めました。

奥に海を望める

最初に入った時の目を奪うような体験を作り出していて良かったです。

そんな空間で少し待っていると、専用カートが迎えにきてくれました。

迎えにきてくれたカート

自分たちだけの特別感を味わえるラウンジ

「専用カートは敷地内であれば、例え免許がなくても運転をできるんです。」とスタッフさんのお話を聞いたりしながら、チェックインのためにラウンジへ向かいました。

「台風の時はどうしているのか」と聞くと、カートにはワイパーが付いていないこともあり、その際は車で送迎すると言っていました。

台風と隣合わせの沖縄は、台風の時にどうするかという視点も大事なのです。

ちなみに沖縄在住の人曰く、「沖縄は台風でも普通に学校に行く」と言っていて驚きました。台風は身近な存在になっているようです。
そうしてラウンジ棟に到着しました。

ラウンジ棟

ラウンジに入ると、段々に下っていく階段があり、その奥に海が見えるという構成になっています。

段々に下っていく構成

その段々の横に広々としたテーブル、椅子があり、そこに座ってチェックインを行いました。

チェックインは椅子に座って

おもてなしとして、ウェルカムドリンクとデザートを出してくれました。

飲み物は一見白ワインっぽいですが、さんぴん茶で、デザートは黒糖プリンで、さすがひらまつと言わざるを得ない逸品でした。

ウェルカムドリンクとデザート

16時前くらいにチェックインしたのですが、全19室ということもあり他の宿泊客はちらほらとしか見られず、ラウンジが自分たちのための空間に感じられてすごくプライベート感がありました。

ですが、16時を過ぎると、宿泊客が次々にラウンジに入ってきました。

どうやらホテルで企画している「宜野座タイム」というもので、16時から17時までの間、泡盛やおつまみを頂くことができます

宜野座タイムに飲める泡盛

お酒を飲まない人はノンアルコールがあるということで、パイナップルとシークワーサーがブレンドされたブルーのカクテルを出してくれました。

ノンアルカクテル

ラウンジの外には広いテラス席もあり、そちらも人気でした。

ラウンジの奥のテラス

沖縄らしい時間を感じられる客室

チェックインした後、スタッフの方が客室まで案内してくれました。

今回宿泊したのは、プレミアムダブル(53㎡)というタイプの部屋です。2階建の建物の1階部分で、面白いのが正面から部屋に入るというものでした。

正面から部屋に入る

建物の前には共用のインフィニティプールがあり、道もあるので部屋のビューは人通りがある方向に向いています。

部屋の正面は共用プール

プライバシーが気になる人も多いようで、カーテンを閉めている部屋が多かったです。

ですが、非日常感とはカーテンを閉めないことでもあり、例えばオランダのライデンの街では道からリビングが丸見えというのも見たことがあったので、カーテンは閉めずに使いました。

客室は引戸のサッシから入ります。入るとまず靴を脱ぐように促されました。

片引サッシと玄関マット(写真右)

そこでスリッパに履き替えるのですが、自分の部屋というよりは他の人の家にお邪魔するような、そんな所作に感じられました。

室内はソファやテーブルが余裕を持って置かれた広々としたベッドルームで、その横にウォークインクローゼットと水廻りがありました。

 

広々としたベッドルーム

ベッドルームの脇にウォークインクローゼット(写真左)と水廻り(写真右)

ウォークインクローゼットは、中に入ると照明が人感で付くようになっており、プール用のタオルやビーチサンダルが置かれていました。

クローゼットに置かれたビーチサンダル

ビーチサンダルは持ち帰ってもよいと、最初に説明があったのです。プレゼントされたようで嬉しくなりました。

水廻りはグレーのタイル張りで、洗面台は向かいで2箇所ありました。

洗面所

鏡を縁取るような照明が、空間の良いアクセントになっていました。

そして大きな浴槽が置かれていました。

大きな浴槽

その浴槽の両脇にトイレとシャワールームの扉がありました。どちらも扉は両方向に開くスイングドアとなっていて使いやすかったです。

シャワールーム

トイレ

洗面所(別アングル)

参考までに実測した寸法を載せておきます。

水廻りの寸法
洗面室:3,400×2,900(内法)
トイレ:1,670×1,100(内法)
シャワールーム:1,570×1,100 (内法)
浴槽:1,700×720(外寸)
洗面台:1,190×780(立上り160+620)

そして、アメニティにはブルガリが使われていました。なんと贅沢。

ブルガリのアメニティ

ベッドルームは床がフローリング、壁が左官で構成しており、落ち着きのある内装でした。

落ち着きのある内装のベッドルーム

天井の中心にはファンが付いていて、それだけでリゾート感が強まるように感じました。

家具一つ一つにもこだわりが感じられました。

こだわりの感じられる木製家具

建築でもベット下の照明や、折上げ天井の側面に空調の吹出しを隠しているあたりに、細かい部分にも配慮して設計を行なったことが感じられました。

丁寧に納められている内装

天井高は2,500(折上げは2,700)で、フラットな天井がクローゼットや洗面に続いているというシンプルであり一体感のある作りも良かったです。

外にはテラス席やプールベッド、ジャグジーが置かれていました。

客室前の専有テラス

プールベッドは生地の質感が良く、外の空気が気持ち良いこともあって、うたた寝をしてしまいました。

ジャグジーはジェットバスになっていて、熱いお湯も出てくるので、露天風呂のようにリラックスできました。

ジャグジーを利用する際は、ホテルのルールで水着の着用がマストになっていました。

そして嬉しかったのが、客室のミニバーの飲み物が全て無料だったことです。

そこにはさんぴん茶をはじめ、シークワーサージュースやオリオンビール、サワーなど、とても1日では飲みきれないくらいの飲み物がありました。

ミニバーの飲み物(全て無料)

それが例え宿泊料に入っていたとしても、そのおもてなしは非常に嬉しいものでした。

東海岸のインフィニティプール

部屋の前には共用のインフィニティプールがありました。

部屋の前にあるプール

インフィニティプールというのは、プールの淵まで水で満たされていて、開放感のあるプールのことです。マリーナベイサンズのプールが有名です。
沖縄の東海岸は西海岸と違って、ごつごつとした岩肌の海岸が多いのが特徴的です。その自然がインフィニティプールの奥に見られます。

東海岸と一体化するインフィニティプール

プール周りにはプールベッドが並び、海を間近に楽しむことができます。

プール周り

ちなみにプールサイズは長さ18m×幅7mです。

泳いだあと部屋に戻ろうとした時に、クーラーボックスが置かれていることに気がつきました。

クーラーボックス

気になって開けてみると、ぎっしりと水と炭酸水が入っていました。自由に飲んでいいものでした。

炭酸水と水が入っている

そこに炭酸水があるというのが、他のホテルではなかなか無いのでセンスの良さを感じました。

また、朝にはそのプールサイドでヨガが開かれていました。

ヨガをする人々

“ひらまつ”のレストラン

ひらまつと言えば高級洋食レストランで、ディナーは2〜3万円ほどします。

食べたかったのですが、身の丈に合ったホテルステイとして、ディナーは近くのレストランで食べ、朝食をひらまつのレストランで頂くことにしました。

スタッフさん曰く、ディナー利用する割合が100%に近い日もあれば、半分に満たない日もあるそうでした。

レストランはヴィラのように完全に別棟にあります。

レストラン棟

部屋からは少し歩きますが、それが朝の良い散歩になります。

ちょっと外に出るだけで、気持ちの良い風に身体が喜んでいるようにも感じました。

レストラン棟まで歩く

レストランのエントランスは、幾重にも門があるデザインで、その中を通っていきます。

レストランのアプローチ

ゲートの中

室内に入ると、切妻の天井の先に大きな窓が構えており、豪華さがありました。

レストランのロビー

席へはさらに大階段を下っていきます。

レストランには大きく4つの空間があり、朝食時は予約の時間帯によって分けていると言っていました。

今回案内頂いた空間

他の席(1階)

2階のロビー空間

好きなところに座りたかったですが、奥から詰められていくような席の案内だったので、それは少し残念に感じてしまいました。

室内はBGMは無しで、窓も閉められていたので静寂さがありました。

静寂な室内

聞いてみると、この空間は自然の音を大切にしているためBGMはかけていないということでした。

ですが窓も閉められていると、無音の緊張感のある空間になってしまっていました。宿泊者たちも気まずい空気が流れていました。

少し無理を言って途中で窓を開けてもらうと、気持ちの良い風が抜け、外の自然なノイズが室内に入ってきました。

窓の外からは自然の心地よいノイズが

そのおかげか、周りのお客さんもリラックスして会話ができるようになっているように感じました。

そこで難しいのが結露問題です。

窓を閉めている時もそうですが、開けていると次はその結露がよりひどくなり、終いにはスタッフさんに閉められてしまいました。

実は「結露には悩まされていて、解決策が見つからない。」と後で聞いた時に言っていました。

沖縄の結露問題はとても深刻なのです。

例えば、ブセナテラスのカフェラウンジは窓を全開放にして風の抜け道を作り、そこに冷房も効かせて快適さを出していました。

大切なのは窓周りに空気の滞留を作らないことです。

話は戻りますが、ひらまつの朝食はさすがとしか言えないくらい、全て美味しかったです。

朝食のパン

おわりに「大人なリゾートステイ」

以上、ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ宜野座の紹介でした。

オールインクルーシブでは無いですが、宜野座タイムでお酒とおつまみを楽しめたり、カフェでドリンクと軽食を頂けたり、客室内のドリンクを自由に飲めたりと、お金を追加で払わず楽しめる部分が多くて満足度が非常に高かったです。

ドリンクを飲む時間も大事なひと時

そして、客室はそれぞれがヴィラのように独立した出入口を持っていて、プライベート感があり良かったです。客室数が少ないことは大人なリゾートステイをするのにぴったりだと思いました。

プライベート感を作り出す分棟配置

そういえばスタッフさんに、ここの設計者が誰か聞いてみると、「特に有名な人ではなくて地元のおじさんです。」と言っていました。

そんなことあるかと思って調べてみると、設計は国建でした。沖縄一の組織設計事務所です。設計者はおじさんが多いため、ある意味地元のおじさんとも言えるのかな、と自分を無理やり納得させたのでした。

ザ・ひらまつホテルズ&リゾーツ宜野座 建物概要
所在地:沖縄県国頭郡宜野座村字松田1425番
建築主:ひらまつ
運営:ひらまつ
設計:国建
施工:屋部土建・大米建設・仲程土建 特定建設共同企業体
敷地面積:21,781.11㎡
延床面積:3,920.22㎡
客室数:19室
開業:2018年7月
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