ヌサンタラに首都移転するほど深刻な、ジャカルタの交通事情|インドネシア旅

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はじめに「首都移転前のジャカルタを視察」

インドネシアのジャカルタに行ってきました。インドネシアの首都はジャカルタからヌサンタラに移転することが決まっており、2024年から始まり2045年に完了を予定しております。

首都移転する前のジャカルタの様子を見ておきたいという気持ちがあり、今回行くことにしました。インドネシアは約2.7億人という人口を抱えている国です。

ジャカルタのあるジャワ島は国土の7%しかありませんが、全人口の6割が住んでおり、人口密度がとても高いです。中でもジャカルタは人口1000万人を超える大都市なのです。

そんなジャカルタの交通事情について、実体験をもとに紹介したいと思います。

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運転スキルが求められる交通渋滞

ジャカルタは交通渋滞がひどい都市として有名ですが、実際に行ってみると日中はそこまでではないのですが、朝と夕方の通勤・帰宅の時間帯が特にひどかったです

クラクションが鳴り止まない状況で、タクシーに乗って移動していても進んだり止まったりで酔ってしまうくらいでした。ジャカルタでは運転技術も求められます。なぜなら横からいきなり車やバイクが入って来るのは当たり前で、混雑しているにも関わらず車線変更が縦横無尽に行われているのです。

そんな交通渋滞を緩和させようと、「3 in 1」という制度が設けられています。これは朝・夕の時間に規制された道を通る際に、3人以上乗っている必要があるというものです。

車一台あたりに乗る人数を多くして、車の台数を減らそうという試みです。タクシーは対象外です。勿論この制度が目論見通りにいけばいいのですが、その制度を逆手に取って、車に乗ってあげる代わりにお金をもらうというサービスが横行しているようです。

大統領が咳込むほどの大気汚染

大気汚染のベールがかかっている太陽

ジャカルタは大気汚染がひどい都市としても知られています。その要因として、深刻な交通渋滞に加え、ジャカルタ近辺に集中する工場や火力発電所が挙げられます。

大気汚染の具合は、飛行機の中からでも分かるくらいでした。薄くモヤがかっているのです。着陸時に今からこの大気汚染の中に飛び込むのかと思うと、少し躊躇いがありました。大気汚染がひどいので、街中ではマスクをしている人が思ったよりいました。

飛行機の中から見たジャカルタの大気汚染

ちなみにジャカルタは、2023年に世界ワースト1位の大気汚染の都市となったことがあります。

それだけ空気環境が悪いと、健康被害も出てきます。咳や風邪で体調を崩す人が多いのです。過去にはインドネシアの大統領も咳に悩まされたそうです。この問題への政府の対応はいくつかあり、次のとおりです。

・屋外でのマスク着用の推奨
・肺炎などへの予防接種の推奨
・首都移転

大気汚染の根本的な解決策が首都移転です。2024年から始まり、2045年の完了を目指し、ジャカルタからカリマンタン島のヌサンタラに移転します。

首都移転の理由は大気汚染だけではありません。ジャカルタの人口集中や洪水、地盤沈下も挙げられています。ちなみに、ヌサンタラとは新しく命名された都市の名前で、約25haの面積で都市開発が行われます

移動するのに一苦労する歩道

私は旅先において、その都市について理解したいので、とにかく歩くようにしています。

インドネシア近隣の国では、やはり圧倒的にシンガポールが歩道も含め道路の整備がされていましたが、ジャカルタでもそれなりに歩道はありました。

ただ、歩道はあっても舗装が剥がれていたり、道幅が極端に狭かったりするところも多く、歩行者への配慮は足りないと感じました。歩く人が少ないため、整備の優先度が低いということもあるかもしれません。

かなり細い歩道

横断歩道についても同様です。歩行者にとって便利な位置に信号があるわけではないので、歩行者は信号が無いところを渡るケースが多いです。

地元の人は車やバイクの間をすり抜けて上手く横断しているのですが、いざやってみると、日本に長年住んでいる私にとってはなかなか慣れない行為でした。

ですが、長く滞在していると嫌でもコツが分かってきます。車が来ている時は横断せず、バイクが来ている時に横断した方がいいということがわかりました。バイクの方が簡単に人を避けられます。そして渡り始めたら、変に止まったりしないことがポイントです。向こうが勝手に避けてくれるくらいの気持ちが大事です。

見慣れた電車が走っているジャカルタ

ジャカルタでは、JRのように地上を走る電車と地下鉄があります。地下鉄は新しく、まだ建設中のところもあるので、そこまで利便性が良いとは言えません。

電車に乗ってみると、どこか親近感が湧くことに気がつきました。調べてみると、日本の中古列車を使用しているということでした。座席や窓、吊り革などがとても見慣れたものなのです。

見慣れた車内

ですが、今後は日本の中古列車を輸入しないことが2023年6月に決まりました。中国が圧力をかけたなど諸説ありますが、今後はインドネシアの国産車が導入されるそうです。

さらなる利便性を生むバス

ジャカルタはバスの交通網の整備も進めています。BRT(Bus Rapid Transit)の駅があり、そこではバスの乗り継ぎができます。2階部分が展望デッキになっている立派な駅もありました。

2階デッキを有するバスステーション

またこれらのバス停は、電車と同じように改札が設けられており、そこで交通系ICカードをタッチする必要があります。どのようにカードを購入すればいいか分からなかったのですが、スタッフが何人かいる駅だったので、対応してくれました。

どうやら、現地のアプリを通じて購入しなくてはいけないようだったのですが、代わりに購入してくれ、その代金をスタッフに直接払うという対応をしてくれました。とても親切でした。

バスのプラットホーム

他のバスステーションの様子

バス車内の様子(先頭は女性専用ゾーン)

ジャカルタのタクシーはBlue Bird

アジアではタクシーの配車アプリ「Grab」が使える国が多いので、ジャカルタでも最初はGrabを使っていました。しかしシェア率が低いのか、待ち時間が長いことが多かったです。

Grabもいいですが、ジャカルタで有名なのは「Blue Bird」というタクシーです。車体が青く可愛らしいです。Blue Birdはシェア率が高いので、アプリで呼んだらすぐ来てくれ、使いやすかったです。

ただ、合言葉として暗証番号を伝えなくてはいけないのが少し面倒でした。タクシーの運転は丁寧な人もいれば、中にはスマホをいじりながら運転する人もいてヒヤヒヤしたこともありました。

タクシーの運転手は英語を話せない人が多かったのですが、アプリで目的地を設定していたので全く問題はありませんでした。

おわりに「安心になった一方で無くなるスリル」

以上、ジャカルタの交通事情についての紹介でした。現代では、ほとんどの国でタクシーの配車アプリが使えるので、非常に便利です。

そのおかげでぼったくりに遭うことはない一方、現地の人と直接やりとりするようなスリルを味わうことも少なくなったと思います。ですが、荒い運転に当たった時は、違う意味でスリルを感じました。

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