リスボンの教会でバロック様式を学ぶ|Basilica of Our Lady of the Martyrs

リスボンの教会でバロック様式を学ぶ|Basilica of Our Lady of the Martyrs

はじめに「教会の多いリスボン」

ポルトガルの首都リスボンに行ってきました。

リスボンには観光地の定番である、サン・ジョルジェ城が街の高台にあるように坂道が多いです。

リスボンは街を歩いていればそこらに教会があるような場所で、観光客もふらっと入ることができるのが魅力です。

そしてそれらの教会は、入ってその空間に驚かされるところばかりです。

今回はそんなリスボンで見つけたお気に入りの教会”Basilica of Our Lady of the Martyrs”について、その建築様式とともに建築的な視点も含めて紹介したいと思います。

リスボン地震の後に再建された教会

リスボンの教会建築の歴史にとって「リスボン地震」というのが大きなキーワードになってきます。

・リスボン地震とは1755年に起きたマグニチュード8.5〜9.0と推定される大地震で、それによって発生した津波も含めて約6万人が死亡した大災害です。

リスボンにはその大地震によって天井が落ち無くなった様子がそのまま残されている「カルモ修道院」が観光スポットとして有名です。

それだけ大きな地震であったためにほとんどの建物が損傷を受けており、何百年も前に建てられた教会も当然損傷を受けています。

今回紹介する”Basilica of Our Lady of the Martyrs”もその一つです。

ここは1147年に完成した建物ですが、1755年のリスボン地震で損傷を受け、1784年に再建されました。

現在見ることができるのは、再建された建物の姿です。

教会はその時代の特徴を反映したさまざまな様式がありますが、ここ”Basilica of Our Lady of the Martyrs”は「バロック様式+新古典主義」の教会になります。

位置としては、観光の中心地であるBaixa-Chiado駅から徒歩圏内にあり、さまざまな観光スポットを見るついでに訪れることが可能です。

装飾的表現の多いバロック様式

この教会はバロック様式+新古典主義と記載しましたが、バロック様式の特徴がよく現れている建物なので紹介していきたいと思います。

バロック様式とは16世紀後期〜18世紀初期に流行った様式で、端正な良さを求めたルネサンス様式(14世紀〜17世紀初期)と、ギリシャやローマの古代建築を見直そうとする新古典主義(18世紀中期〜19世紀初期)の間に位置する様式です。

先にバロック様式の主な特徴をまとめておきたいと思います。

【バロック様式の特徴】

・スケールの大きなフレスコ画
・空白のない華麗な装飾(装飾過多)
・彫像が多い
・楕円形モチーフ
・ねじり柱

それぞれ紹介していきたいと思います。


スケールの大きなフレスコ画

建物の中に入ると非常に華麗な空間に圧倒されました。

天井が大きなヴォールト屋根になっており、緑のフレスコ画が目を惹きました。

これがバロック建築の特徴の一つ「スケールの大きなフレスコ画」です。

・フレスコ画は下地に砂と石灰、水を混ぜたモルタルが使われ、そこに水で溶いた顔料で描かれた絵画のことです。絵の具の接着剤を使用しないというのが特徴です。

フレスコ画は立体感を出すように描かれています。

実際に見てみると、凸凹があるように陰影の表現がされているのがよく分かります。

立体的に描かれたフレスコ画

天井周りで言うと、アーチ状の窓から発生する小さなヴォールト屋根が大きなヴォールト天井と形態的に絡んでいるのがいいなと思いました。

ヴォールト天井と窓周りのディテール

空白のない華麗な装飾(装飾過多)

室内はどこに目をやっても何かしらの装飾表現がされています。

彫刻的に凸凹をつけたところと絵画の部分で埋め尽くされています。

これもバロック様式の特徴です。

それは感動を与えるくらいインパクトがあります。見方によっては装飾過多とも言えるくらいです。

ですが個人的には教会はこのくらい圧倒的なものが好きです。


彫像が多い

両サイドの壁側に目をやると、アーチ状に窪んだ部分が連続しています。

その窪みの連続が空間に奥行き感を与えているのですが、その中の装飾も華麗です。

その部屋とも言えそうな空間にはそれぞれ彫像が祀られています。

アプス(祭壇)の中にも彫像はあり、この彫像が多いと言うのもバロック様式の特徴の一つなのです。

彫像

楕円形をモチーフとした装飾

天井装飾には楕円形やそれに近い形が見られます。

正円をモチーフとするルネサンス様式に対して、楕円をモチーフというのもバロック様式の特徴の一つです。


ねじり柱

ねじり柱とはその名の通り柱がねじれているというもので、バロック様式の特徴のひとつです。

この教会は新古典主義が混ざっているということもあるからか、ねじり柱は見られませんでした

その代わり、柱はギリシャの古代建築に見られるようなイオニア式の装飾がされていました。

イオニア式の柱

おわりに「お気に入りの教会を見つける」

以上、Basilica of Our Lady of the Martyrsとバロック様式の紹介でした。

バロック様式の彫刻と絵画で全体が埋め尽くされている密度感に惹かれた教会でした。

旅する中でたまたま見つけた教会でしたが、その偶然の発見というのが旅の醍醐味でもあります。

リスボンには他にもまだまだたくさんの教会があり、そのほとんどは無料で入れました。

リスボンに行く際は色々な教会を見てみると楽しいと思います。

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