クアラルンプールの現代マンションを調査|マレーシア建築旅

クアラルンプールの現代マンションを調査|マレーシア建築旅

はじめに「クアラルンプールの建築旅」

マレーシアのクアラルンプールに行ってきました。

クアラルンプールには初めて行ったのですが、実際に行くと、行く前に持っていたイメージと大きく違うことに気づきました。

かなり都会的なイメージがありましたが、交通網や建築など、まだ発展途中の街でした

それでも街が持っているパワーはひしひしと感じられました。

特にコンドミニアムやアパートメントといった、日本で言う”マンション”の建設は街中の至る所にあって街を歩くのが楽しかったです。

クアラルンプールの滞在中にはサービスアパートメントにも宿泊していたので、クアラルンプールのマンションの特徴がよく分かりました。

それでは紹介していきたいと思います。

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肌で感じる”建設ラッシュ”と発展中の街

クアラルンプールにはたくさんの建物があり、超高層とも言える建物もたくさんあります。

特に日本で言うタワーマンションの数が多いです。その階数も40階建くらいが標準的なレベルで建っています。

高層マンションが立ち並ぶ街並み

既存でタワーマンションが建っている近くでは、同じようなマンションが建設中であったり、これから建設する計画があったりします。

それらはクアラルンプールがまだまだ成長中の街だと主張するような活気を醸しています

そして建設中の建物からは、日本では絶対に苦情が来るであろうほどの粉塵が舞っていることもありました。

そうした建設ラッシュで新たな建物は続々と作られているのですが、交通の利便性が取り残されてしまっている印象もありました。

クアラルンプールは交通渋滞が多く、そして歩行者には横断歩道のない車道を渡ることを強いてしまっているのが現状です。

さらには横断歩道は信号が青だったとしても、曲がってくる車が次々と来て安全に渡れないという怖さもありました。

日本は歩行者優先でとても安全な国だと思い知らされます。

帰宅ラッシュの時間帯には交差点で交通整理が行われいているくらいでした。

帰宅ラッシュの際の交通整理

これは信号に従っているだけだと、更なる渋滞を生んでしまうからなのだろうと思いました。

クアラルンプールのマンションは安い

クアラルンプールではマンションが大量に供給されています。

この記事でマンションと呼ぶ中には、一般市民が住むようなアパートメントもAirbnbで泊まれるようなサービスアパートメントも含んで呼んでいますが、これらの販売価格は非常に安いです。

例えば私が宿泊した築5年、地上39階建のサービスアパートメントは、日本円に換算して坪150万円を切る金額で売りに出されていました。

その他の売りに出されている物件を見ても坪100万円台は多いようです。

※エリアにもよりますが、東京23区では中古でも坪300万円は普通なくらいです。

クアラルンプールのこの安さには驚きました。

さらに共用施設が豪華です。プールとジムが標準装備と言ってもいいくらいで付いています

プールは屋上に設けられていていたり、なぜか建物内に2つもあったり、販売の際にアピールポイントとなる共用施設をより豪華に作るという考えが強いようです。

共用施設が豪華で、眺めの良いタワーマンションが安く手に入る、というのは非常に魅力的です。

魅力的なパースと”現実”

街中にはこれから竣工するマンションのパースが至るところにあります。

それは工事看板だったり、広告看板だったり、ショッピングモールの中にもあります。

工事看板に貼られたパース

それらのパースはどれも魅力的に作られています

日本でもマンションの販売にパースが作られますが、クアラルンプールの街中で見かけるパースのクオリティはそれらにも劣らず、むしろそれ以上のものも多いと思います。

ですが、それは当然あくまでイメージの写真です。

クアラルンプールでは特に、実際に完成した建物を見ると、パースのような華やかさはないことが多いです。

また華やかさがないことには、外部の劣化が早いことも起因している気がします。

パースと現実が異なるのは当たり前なのですが、その両者の差がかなり大きいのがクアラルンプールの特徴ではないかと思いました。

エントランスやプール、ジムなどの共用施設もパースではとても魅力的に描かれています。

現実も決して悪くはないですが、パースを見て期待しすぎてしまうことに注意が必要です。

自由な外観デザインが生む副作用

クアラルンプールのマンションの外観デザインは、日本よりも凝っているものが多いです。

それだけに建築的に見てもかっこいいデザインのマンションが多いです。

建築的に”というのは造形的に変化をつけたり、素材の使い分けたりしてファサードのデザインをすることを指しています。

ファサードデザインに凝ったサービスアパートメント
建築的変化を付けデザインされたコンドミニアム

これだけデザインを凝ることができたら設計は楽しいだろうと思ってしまいます。

しかし、そのデザインはデザインの視点が強いばかりに副作用を生んでしまっています。

その副作用とは、維持・管理が難しくなっていることです。

※これは正直、常にデザインと紙一重で付きまとう問題です。

例えば外観的に変化をつけたいから窪みを作るとします。ですがその窪みがあることで鳥のフンや、雨や粉塵による汚れがつきやすくなります。

それらはもちろん建物のメンテナンスがしっかりしていればまだ良いのですが、汚いまま放置されているのが散見されました。

鳥のフンにまみれている人の立ち入れない屋外部分
窓の外にある人の立ち入れない庇部分にいた鳩

街中の建物を見る限り、汚れている建物は多いので、クアラルンプールでは全般的に言えるのではないかと思いました。

汚れをつきにくくする、メンテナンスをしやすくする、という視点がもう少し必要だろうと思いました。

しかし外観デザインは学ぶところが多いので、外観を建築的に凝るというクアラルンプールで見られるその傾向は無くならないで欲しいです。

駐車場は自走式で低層階に設けるのが定石

街中の建物を見ていると、それらの定量的データが溜まっていき、共通点に気がつきます。

その一つが”駐車場が低層階にある”ということです。

例えば私が宿泊したサービスアパートメントの一つを例に挙げると、地上39階の建物だったのですが、駐車場は1階〜7階までありました。

それらはショッピングセンターの駐車場をイメージするような自走式の駐車場です。

日本では土地の広さやコストなどの理由から、このような形式のマンションはほとんどないと思います。

日本ではほとんど機械式駐車場です。

高層マンション計画における駐車場の考え方は国によって異なり、調査した結果以下のように類型されると思います。

【現代の高層マンションにおける駐車場の主な形式】

自走式駐車場(低層階):マレーシア
自走式駐車場(地下):台湾、シンガポール
機械式駐車場:日本

今後も調査の上、国を追記していきたいと思います。

低層階に駐車場が入っているというのは外観からも分かります。

建築デザインとしてはその部分をどのように建物全体のデザインと絡ませるかという考えになってきます。

ちなみにクアラルンプールの古いマンションは、地上階のピロティ部分の平置駐車場や青空駐車場のところが多いようです。

高層化=近代の技術と考えると確かにそのような配置計画の違いがあることは頷けます。

地上階は1Fでなく「Ground Floorと表現する

日本では地上階を「1階」と表現しますが、マレーシアでは「G」つまりGround Floorと表現します。

ヨーロッパでこのように表現していることが多いですが、マレーシアがイギリスの支配を受けていたことと関係がありそうです。

そのためエレベーターに乗ると一瞬戸惑います。

Gの他、UG(Upper Ground)という階もあったりします。

また、宿泊していたコンドミニアムはどれも階数表示で「4」を使うことを避けていました。

その代わりに4階を3A14階を13Aというように表していました。

これは中華圏の影響のようです。

※日本も「4」や「9」は忌み数になりますが、大体の建物は階数表示を避けるまではしていないです。ちなみに西洋では「13」が忌み数になります。

豪華な共用施設「プールは当たり前」

クアラルンプールのマンションは共用施設が豪華であることが特徴的です。

プールやジム、ラウンジ、キッズスペースなど、共用施設が充実していることが多いです。

特にプールがあると、その建物はより豪華に感じられます。

マンションの屋上に設けられたプールは街を一望できるものであったりして、高級ホテル顔負けのものも多いです。

クアラルンプールは一年を通して暖かい気候なために、プールの需要は高いと思います。

またプールの位置も大体決まっています。

それは駐車場の上か屋上です。

これは建築計画的な視点からも頷ける配置計画です。

というのも先述したようにクアラルンプールでは低層階に駐車場が入り、その上に住宅があります。

そうすると、平面計画が切り替わるところで共用施設を設けたくなりますし、駐車場である基壇部の平面が大きい場合、その広がった部分の屋上をどう建築計画で処理するかという考えになります。

ただの広い屋上にしてしまうのは勿体無いので、漏水の観点からも駐車場の上にプールを設けるのが合理的になるのだと思います。

さらに住宅フロアはなるべく同じ平面計画を縦に積み上げるのが経済的で合理的です。

そうすると途中階に共用施設を設けるというのはあまり好ましくなく、プランニングもしやすく、また希少価値の高い最上階にプールといった共用施設を設けることになるというのも頷けます。

質素な共用廊下

クアラルンプールで宿泊したサービスアパートメントは、エントランスやプール、ジムといった共用施設は豪華でした。

しかし、対比的に住戸に至る共用廊下はとても質素で、ここには全くお金をかけないスタイルなのだと思いました。

そこは半屋外の場所もありましたし、日本の高級マンションであればカーペットが敷かれ空調の効いた屋内廊下なのが一般的なため驚きました。

流石にホテルに宿泊した際は、デザインもされお金のかかった屋内廊下だったのですが、マンションでは質素にデザインされてしまう部分なのだと思いました。

階数が40階建くらいあれば確かに共用廊下をしっかり作るとコストがかかるので、こういうところでコストカットしているのだと思いました。

日本人には物足りない水廻り

日本に慣れていると、海外のトイレ・お風呂などといった水廻りには少し物足りなさを感じると思います。

クアラルンプールのトイレは、暖房便座の機能もウォシュレットの機能も無いのが一般的です。

ウォシュレットは代わりに便器の横に置かれたシャワーを使うのが現地のやり方ですが、なかなか慣れるものでもないと思います。

日本のトイレはとても機能性に富んでいて、外国に行くと日本のトイレが恋しくなります。

また、浴室はシャワー室が一般的で、バスタブはありません。

お風呂に浸かって1日の疲れを取る時間がどれだけ大事なものだったかを思い知らされます。

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おわりに「均質化の奥にある地域の特徴」

以上、クアラルンプールの現代マンションの特徴についての紹介でした。

現地に滞在することで、プールが一般的だったり、駐車場は自走式が当たり前だったり、独自の建築計画の考え方を知ることができました。

そして外観デザインも面白いものが多く、個性的な建物をたくさん見ることができました。

歴史的な建物も魅力的ですが、現代の建物を見て均質化されつつある中にその地域の特徴が現れていることを発見するのも楽しいです。この記事が何かの役に立てれば嬉しいです。

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