「サイクリング×カフェ巡り」で地中海の島を感じる|ミコノス島

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はじめに「白い建物群が魅力のミコノス島」

ギリシャのミコノス島に行ってきました。ミコノス島はエーゲ海のキクラデス諸島に属する島の一つで、観光地として世界各国の人々が集まります。

有名なのは白い建物がずらりと並ぶ島一体の風景と、それらの白い世界観に溢れた街並みだと思います。

今回はアテネから飛行機でミコノス島に行き、Airbnbに宿泊し島に滞在してきましたので、その体験を元に紹介したいと思います。

※この記事では観光客として体験したことに加え、建築士としての視点を交えて紹介していきます。

ミコノス島について、知っておくべき事前情報

ミコノス島はギリシャの首都アテネから南東へ150kmほどの距離にあります。

歴史的に1390年〜1718年にかけてベネチア共和国の領土となった過去があり、それゆえに”リトルベニス”と呼ばれる部分が今も残っています。

※ベネチア共和国はイタリアのベネチアを拠点にしていた国で、1797年まで存在しました。

また白い建物の並ぶ島の風景は、エーゲ海に浮かぶ白い宝石とも言われています。

「エーゲ海に浮かぶ白い宝石」と言われる風景

ミコノス島の観光のベストシーズンは78月になります。

観光をするのは410月が良く、113月はレストランなどが閉まってしまいます。

今回は10月に行きましたが、2025度くらいの気温で快適に過ごせ、お店もオープンしていました。

快適な気候の10月の様子

また水源は少ないため、海水を淡水化して生活用水としていますが、水質は良くないです。そのような水を飲むと頭痛や胃痛を起こすこともあると言われています。

もし飲むのであれば水の色や匂いを確かめる必要がありますが、飲まない方が健全です。Airbnbのホストにも飲まないように言われました。

しかしギリシャ全体がそういうわけではなく、アテネでは水道水を飲むことができ、実際に飲みましたが問題なかったです。

水は買ったとしても500mlで0.2ユーロくらいでしたので、惜しまず買うのが良いと思います。

ミコノスタウンの白い世界に没入

今回宿泊したのは島の中腹くらいにあるAirbnbの家で、位置的にはミコノスタウンの上にありました。

その位置からは島全体に白い建物が立っている風景を眺めることができ、もっと上に行くと、遠くの島も含めより広大で風光明媚な景色を眺めることができました。

家から見えた島の眺め

ミコノス島をはじめとして、ギリシャの家が白いのには大きく二つの理由があると言われています。

ギリシャの家が白い理由

・地中海沿岸は石灰(漆喰)が多く、安く手に入るため
・夏の日差しが強いため、白を用いて熱くなりすぎないようにするため

その白い風景を保つため、島を散策していると塀や玄関ドアを塗装しているところを見ることができました。

塗装をしている様子

建物は屋上までも白いです。

屋上まで白い建物

ミコノス島の建物の作りとしては、基本的にコンクリートの柱梁とスラブがまずあり、壁はブロックを積むことによって作られています。

そこに石灰(漆喰)が厚く塗られています

さらには建物をよく見ると、角に丸みがかっているのがわかります。それにより視覚的に柔らかな効果を生んでいます。

角に丸みのある建物

俯瞰的に白い建物の風景も素敵ですが、ミコノスタウンではそれらの建物に囲われた異世界に没入することができます

建物に囲われた白い世界

直線の坂道の両脇に建物が並んでいるところを歩いたり、クネクネと蛇行した路地を歩いていくのも楽しいです。

そこには可愛げな石畳やカラフルな建具、路地に突き出したバルコニーや階段など、楽しげな様子を見ることができます。

水玉模様の石畳や路地に突き出すバルコニー

カラフルな建具

街の造形となる階段

島を存分に感じられるカフェ

ミコノス島にはカフェがたくさんありますが、私が行った中で島の空気感を良く感じられるカフェを3つ紹介したいと思います

Blu Blu Cafe Mykonos

Blu Blu Cafe Mykonosはミコノスタウンの北側にあり、徒歩でもアクセスしやすい場所にあります。

近くにはミコノス港があり、船が頻繁に行き来しています。店は道路から階段で上がった2階部分にあり、店内からは海がよく見えます。

2階にある店

店内から海が見える

屋内はソファやテーブルといったインテリアのデザインも良いので高級感がありますが、食事は割とリーズナブルでした。

こだわりのインテリアデザインの店内

ここで初めてギリシャコーヒーを飲んでみましたが、飲み終わるとカップの底にコーヒーの粉が沈澱していて、そういうものだと初めて知りました。

ギリシャコーヒー

店内の天井にはすすきが吊られているのですが、風になびいて揺れているのを見るのが心地よく、そういうインテリアデザインもありだと学びがありました。

Montparnasse The Piano Bar Mykonos

Montparnasse The Piano Bar Mykonosはミコノスタウンの中心地にあります。

店の入口は細い路地に面しているので通り過ぎてしまいそうになりますが、とてもおしゃれな空間が中には広がっています。

窓からは海が見え、観光スポットとして人気のカトミリの風車も見えます。

海の見える店内

カトミリの風車も良く見える

海が目の前にある観光地の代名詞のようなレストランにはたくさんの人々がいましたが、このカフェは穴場で全然人はいませんでした

さらに店内では、海を見ながらずっとそこに居たくなるようなセンスの良い音楽が流れていました。

店内の雰囲気

バーカウンターもある

そしてこの店は外観が面白いです。海に立っている建物なのです

この建物一帯は”リトルベニス”と呼ばれており、かつてベネチア共和国の領土であったことが分かるスポットです。

リトルベニスの外観

そのためこのカフェは、ミコノス島の特徴を感じられる場所としてもおすすめです。

Feel Good Cafe Mykonos

Feel Good Cafe Mykonosはミコノスタウンの東側にあり、ミコノスタウンからはかなり高い位置にあるので、車以外でのアクセスは少々大変ですが、非常におすすめのカフェです。

というのもテラス席からの眺めが素晴らしく、そして料理が美味しく、店員さんの接客も気持ちいいからです。

店からの眺め

テラス席はテーブルが3つしか無いので、混まない時間帯に行くのがおすすめです。

このカフェには210時頃に訪れましたが、どちらもテラス席は空いていました。

テラス席

食事はフルーツの入ったギリシャヨーグルトなどギリシャらしさを感じられるものもあり、そして非常に美味しかったです。

ギリシャヨーグルトなど美味しいメニューが並ぶ

海に似合うドリンクメニューもある

店員さんは皆にこやかで、日本から来たことが分かると「日本カルチャーが好きで行ってみたい」など色々と話してくれました。

このカフェに限らずギリシャの人はほとんど親切で、英語も話すことができ、観光客に優しい国だと思います。

サイクリングで島を巡る

ミコノス島の全体を満喫したいと思ったため、今回は電動マウンテンバイクを借りて、島の各地を巡ってみました。

※電動マウンテンバイクは税金など込み込みで150ユーロくらいして高かったですが、結果的に唯一無二の体験ができました。

ミコノスタウン周辺からまず向かったのは島の北西にある岬「Armenistis lighthouse」です。

ミコノス島は道のアップダウンが激しいのですが、坂を登った先には絶景が見え、下りは気持ちのいい風を感じることができました。

坂を登った時に見える島の絶景

岬は中心地から離れたところにあることもあり、観光客は全然いませんでした。

そこでは荒々しい岩肌と、乾燥した地表が見られました。

北西の岬

次に向かったのは岬の東側に位置する湖「Marathos Lake」です。

Marathos Lake

そこは決して観光スポットではなく、観光客もいなかったのですが、ローカルな風景を楽しむことができました。

観光客でここに来るのはかなりレアだと思います

湖には橋が架かっているのですが、そこでは水道水と思われるライフラインのパイプが渡っているのが見られました。

湖にかかる橋

水もそうですが、電気の供給も島全体に行き渡っているように感じました。

電柱は道に沿って設けられており、観光客が来なさそうなところにもきちんと電気は供給できているようでした。

島に張り巡らされる電柱

電気といえば、アテネに行った時も感じましたが、ミコノス島では屋上に太陽光パネルが乗っているのがよく見られました

太陽光パネルの乗った屋根

次に向かったのはミコノス島の中央部に位置する街、アノ・メラです。

アノ・メラ

アノ・メラは、ミコノスタウンから東に8kmほどの距離にある街です

サイクリングをしていて、あまりに住宅地すぎてカフェなどがないエリアばかりだったのですが、このアノ・メラではカフェやレストラン、スーパーなど色々とあり、観光客も多く見られました。

そして次にビーチへ向かいました。ミコノス島には様々なビーチがありますが、「Paralia Agrari」というビーチに行きました。

Paralia Agrari

道中にはビーチの方向を示す看板があるので迷うことはなかったですが、途轍もなく急な坂道を下っていく必要がありました。

ビーチを示す看板

幸い電動マウンテンバイクだったので、帰りの上り坂は辛うじて登ることは出来ましたが、とんでもない絶望感を与えてくる坂でした。

海へと繋がる超急坂

道の舗装はスリップしにくいよう、ザラザラとしていました。

また、10月という季節柄、ビーチは閑散としていましたが、奥の方で全裸で泳いでいる人がいました。

ここらのビーチはヌーディストビーチだそうです。

島での気づき

ミコノス島の各地を巡っていると色々と気がづくことがありましたので、紹介したいと思います。

石積みの塀

まず塀です。

塀は家と道路の境界に良く使われていましたが、そのどれもが石積みでした。

そしてその石積みの塀の笠木部分には、雪が積もったように漆喰が盛られていました。

塀の上に盛られた漆喰

さらに漆喰には雨の洗浄作用もあるため、汚れは目立たないという利点があります

日本では道路の両サイドにはガードレールが使われがちですが、ミコノス島では石積みの塀で、それが道路に沿って連続する様はまるで城跡のようで、自転車で走っていてもワクワクしました。

中心地から離れたところも石積みの塀

露出配管も白く一体化してしまう

ミコノス島には白い家がほとんどですが、とにかく景観に気を使います。

建物は皆同じような形をしているためそれがぱっと見住宅なのかカフェなのか、スーパーなのかは分からないほどです。

スーパーの外観

屋上も白く塗っているほどで、さらには屋外に出てくる露出配管(雨樋など)も建物とシームレスに一体化するように白く厚塗りしていました。

漆喰で塗られた露出配管

建物に立体感を与える「抱き」

ミコノス島の建物は白いキューブで、角が丸みがあり可愛らしい印象ですが、窓周りのデザインも建物をより美しく見せるために効いています。

建具は青や赤といったカラフルな色合いが多く、そして「抱き」が深いです。

「抱き」というのは建築をやっている人でなければ聞き馴染みが無いと思いますが、窪みのことです。

「抱き」のある建物

窓を外壁と同じラインに付けるのではなく、20cmほど室内側に入り込んだ位置に付けています。

そうすると窓周りがくっきりと立体感を出します。

「抱き」により窓周りの陰影が強くなる

ミコノス島の建物はしっかりと「抱き」が作られていました。

地中海性気候

地中海性気候はカラッと乾燥した気候です。

ミコノス島も地中海性気候の場所で、たとえば沖縄で感じるようなジメッとした感じはありませんでした。

また、植栽が少なかったです。

オリーブは育ちやすいのでオリーブの木はありますが、特に島の北の方に向かうと植栽は全然ありませんでした。

そこは枯れ地のような山肌でした。

大客船から小客船へ乗換え

島の奥に大客船がたびたび停まっているのを見かけました。

良く見ると横に小さな船がくっついていました。

おそらく大客船が港にくると浅く座礁していまうので、乗り換えてミコノス島へ上陸しているのだと思われました。

おわりに「有意義な島体験」

以上、ミコノス島の紹介でした。ミコノス島の建物はとても魅力的で、それを模倣した住宅が日本にもたくさんあるくらいです。

島にはミコノスタウンの白い世界とは全く違った、乾燥地帯を思わせるようなエリアもあり、それは島中をサイクリングすることで知ることができました。

サイクリングでは自分の体でアップダウンや道の作りなど島の形状を知ることができたので非常におすすめです。

島で迎える穏やかな朝や、街がオレンジ色に染まる夕時などミコノス島で過ごした時間はとても忘れ難いです。

多くの人が魅了されるミコノス島にぜひ行って見ることをお勧めします。

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