はじめに
台湾にはMRT(Mass Rapid Transit)の交通網が配備されている都市が2つあります。1つが台北で2つ目が高雄です。
台北に比べて高雄は建物が高層化され、広幅員の道路が整備され、平面の密度は高くないので歩きやすいまちです。
そして高雄は台北よりも新しい建物が立ち並び、近代的なまちです。MRTがあり、そしてLRT(Light Rail Transit)もあります。
そのため場所と場所、つまり点と点を繋ぐネットワークとその間の賑わいが創生されていて移動の楽しさがあります。そんな都市・高雄にある魅力的な駅をいくつか紹介します。
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中央公園駅(Central Park Station)
中央公園駅は高雄の街を南北に走るMRTの路線Red Lineの駅です。設計はリチャード・ロジャースです。
中央公園という公園の中にメインエントランスがあり、少ない鋼管で屋根を支えているため、屋根の浮遊感があります。
その鋼管は1支点から放射状に4本伸びていて、ピン支承となっています。天井は船底のように曲面を帯びていて、白く塗装されているのですが、夜に見ると天井に照明が映り込んでしまっていて少し残念でした。
そういう照明の反射というのは結構デリケートで、最新のビルであっても間接照明を施したつもりが壁に照明の光源が映り込んでしまっているなんてことが多々あります。
そしてまた面白いのが、メインエントランスのデザインがサブエントランス(別の地上への出入口)にも踏襲されている点です。
美麗島駅(Formosa Boulevard Station)
美麗島駅は高雄に走る2つのMRTの唯一の結節点です。中央公園駅の次の駅で、こちらも外観デザインに特徴があります。
度々観光ガイドに載る駅ですが、その写真のほとんどは地下のカラフルなドームです。もちろんそちらも美しいのですが、地上の交差点の角に4つ配されたガラスのピラミッドのようなエントランスも美しいです。
この交差点は美麗島事件が起こった歴史的な場所で、エントランスは祈念碑の役割を果たします。その設計は高松伸さんがしています。
この駅は別記事でもまとめています。
美術館駅(Museum of Fine Arts Station)
美術館駅は高雄市立美術館の最寄駅としてあります。高雄市立美術館へは行きはMRTの後驛駅から徒歩で向かい、帰りに美術館駅を利用しました。
駅舎は台鉄の駅としてガラス張りでできていますが、駅前広場が2018年現在では工事中でした。将来的にこの駅はLRTの交通網に入るので、利便性は今より向上しそうです。
屋根を含めて全面ガラス張りで日射を直に取り込むと暑そうですが、ガラス屋根の下に厚い鉄骨の庇が組まれていたので、その部分は上手く配慮されています。
駁二大義駅(Dayi Pier-2 Station)
台湾の都市で唯一高雄にだけLRT(Light Rail Transit)が存在します。LRTが小刻みにまちを移動していくと、そこに人が表出してまちの賑わいに繋がりやすいというのを生で体感しました。
車両のシステムも特有で、駅で充電し駅間は蓄電池のエネルギーによって動いています。そのため架線が街中に現れてこないということもまちづくりの理想に即しています。
また線路には芝生が敷かれていたり、そういうエコを意識した取り組みが人に親しみやすいものを作り出しています。
個人的に一番LRTの魅力を感じた場所は駁二大義駅に向かって駁二芸術特区というリノベーションされた倉庫群の前を走っているところです。歴史の場面が過去から現在に移っているように感じました。また現在は使われなくなった車両基地を広場化した場所も歴史的なもののいい使い方だなと思いました。
おわりに
地下鉄のMRTから地上を走るLRTまで、高雄市を走る路線の駅を取り上げました。LRTは今後さらに停車駅が増えて、既存路線とのネットワークが強くなる予定です。
コンパクトながらも街が発展していく様子を肌で感じ取れるところが台湾だと思っていますが、中でも高雄が一番それを感じられます。台湾を訪れる際は是非高雄に足を運んでみてください。きっと清々しいまちづくりに高揚できると思います。