はじめに
高雄国家体育場(Kaohsiung World Games Main Stadium)は台湾の高雄市にあります。
ここは建築家、伊東豊雄さんが設計したスタジアムということで有名です。
台湾の伊東豊雄建築を巡る際にここは欠かせません。
伊東さん自身もこのスタジアムの設計が契機になってその後台湾での仕事が増えていったと仰っています。
駅からスタジアムまでの道
スタジアムまでは高雄のMRTの駅、世運駅(World Game Station)を降りて徒歩5分程度で着きます。
駅の高架のホームからスタジアムが見えるので期待感が高まります。
歩いていると何やら石造の芸術的なベンチが点々と置いてありました。
これは台湾の方によってデザインされたベンチで、スタジアム一帯のデザインとして作られたものです。
建物形態を分解して考える
スタジアムは通路の幅を確保でき、かつ観客席を乗せ、片持ちの屋根梁を固定するRCの構造体が一周します。
そしてその構造体の上にRCの床梁を斜めに掛けて観客席を作ります。
RCの構造体のフォルムが曲面なので、この床梁は2点で支持されています。
そして後ろには屋根梁の端点がジョイントされています。
屋根梁は鉄骨でトラスが組まれており、そこに天井材かつ屋根材の白い鋼管が張り巡らされています。
そしてその鋼管のピッチに合わせてソーラーパネルが乗せられています。
スタジアム全体を見渡した時の閉塞感が少ないのは、屋根の立ち上がり部分(観客席の後ろ部分)に壁がなく抜けているためだと思います。
そして全体が包まれるような印象を、この細かくループした鋼管が作り出しています。
屋根として機能するソーラーパネル
環境負荷を低減するため、屋根にはソーラーパネルが乗せられています。
面白いのがこのソーラーパネルは屋根材であり天井材であるということです。
屋根の曲面形態に合わせて作られており、それがそのまま意匠にもなっています。
緑地化した建物外周を歩く
スタジアムの周りは緑地化されていて、池もあり生態系が入り込んでいます。
外周はウォーキングに適しているようで、見学した日にはちらほらとウォーキングしている人々を見ました。
また木々が植えられ、原っぱがあり、ところどころにベンチがあり、人々が思い思いに過ごしている様子を見ることができました。
おわりに
スタジアムの中には入ることができないと思っていたのですが、一部分だけ日常解放されていたので、中の雰囲気を体験することができました。
スタジアムという機能を成り立たせるための構造システムを一つ作りそれを連続させ完結させる、伊東豊雄さんのその構造システムの作り方に惹かれました。