台湾の建築は「防空避難室」を作らなくてはいけない?

調査

はじめに「街中で見かける防空避難の文字」

台湾の街中を歩いていると、よく”防空避難”と書かれた看板が建物の外壁に貼られていたりします。

日本では災害時の避難場所ということで、公園や学校などにそこが避難所であることが分かる看板が立っていたりしますが、それとも少し様子は異なります。

“防空”という文字から察することもできると思いますが、それは主に空襲に対しての避難施設のことなのです。

台湾有事という言葉がありますが、台湾は常に攻撃の危機に晒されています。

※今回は防空避難施設について、建築士としての視点を交えながら紹介していきたいと思います。

様々な防空避難施設の種類

街中を歩いていて発見した防空避難施設は、中でも”防空地下室”に分類される避難施設です。

実は防空避難施設には、下記のような種類があります。

・防空洞
・防空地下室
・防空壕
・防空掩蔽
・緊急避難所(3階以上の高くて丈夫な建物の1)
・その他政府指定の防空避難施設

ちなみに、台湾では年に1回防空演習が全土で行われます。

その内容は日本人にとっては新鮮に映ると思います。

なぜなら防空演習30分の間、屋内に避難する必要があり、屋外にいることは基本的にできません

もしも偶然屋外にいると、その場所に30分間停止することが求められます。

建物の地下に広がる防空避難施設

私は建築士という職業柄、建物の階数などを調べることが多いのですが、台湾の建物の特徴として、地下が深いことが挙げられるのではないかと思います

古い建物でも地下4階まであったり、新築のマンション計画を見ると地下6階というのも普通にあります。

それは単に、雨に濡れない平置き駐車場をしっかり確保したいという意図だけなのかと思っていましたが、その駐車場は防空避難施設にもなっているのです

調べてみると、建築計画において以下のような基準が建築技術規則に定められていました。

公共施設や6階以上の建物などは、面積や人員に応じた大きさの防空避難施設を作らなければならない。

建築を計画する際の条件というのは色々ありますが、防空避難施設の設置基準というのは台湾独特のものではないかと思いました。

おそらくですが、防空避難施設の面積に車室(駐車する部分)は含めてはダメで、それ以外の車路などの面積が算入されると思うのですが、現実として少々違法なやり方も見られるそうです。

それは防空避難施設かつ車路として申請しておきながらも、後々に車室にしてしまうというやり方です。

※こういう脱法的なやり方はどこの国でもあるのだろうなと思ってしまいます。

公開されている防空避難施設マップ

では実際に空襲が鳴って避難するという際にどこに避難すればいいか、それが分かるマップはしっかりと整備されています。

【防空避難施設マップ】https://adr.npa.gov.tw/indexgo

有名な場所ですと、台北10192,294人収容できるようになっています

ちなみに自分が宿泊したマンションは地下6階まであったのですが、そのマンションを調べてみると1000人程度収容できるようでした。

避難の方法としてはおそらく地下駐車場へのスロープからそのまま入ってくる形でしょうか。

おわりに「生命を守る建築の役割」

日本の建築を設計していると、防災対策という視点は大いに培われますが、空襲などの攻撃からの対策は全く気にすることはありませんでした。

国によって、建築に求める役割というのは変わってくるのかもしれませんが、根本として建築が生命を守るものということを改めて意識させられました。

台湾に行った際はぜひ「防空避難」を気にしてみてください。

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