世界最大のホテルチェーンを建築士が紹介|マリオット・インターナショナル

ホテル

はじめに「世界最大のホテルチェーン」

このブログでは、これまで様々なホテルを宿泊者、そして建築士という視点で紹介してきました。

今回は外資系ホテルの中で最も規模の大きいホテルチェーン、マリオット・インターナショナルについてまとめたいと思います。

マリオットのポートフォリオ

マリオット・インターナショナル(通称マリオット)はアメリカのメリーランド州に本社を置く、世界最大のホテルチェーンです。

日本はもちろん、世界140ヵ国を超える国に展開しており、海外に旅行していてもどこでもマリオットのホテルを見かけるような気がします。

日本には100近くのマリオットのホテルがあり、近年ではFairfield by Marriottがたくさん作られています。

Fairfield by Marriottは道の駅の近くにホテルを作り、その地域を味わってもらうことをコンセプトにしており、食事も近隣ですることを目的としているので、館内にレストランも無いのです。

また、ホテルチェーンは多くがそうですが、マリオットもこれまで様々なホテルを買収してポートフォリオを拡充してきています。

例えば、日本にもあるシェラトンやウェスティン、セントレジスといったブランドは2016年に「スターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイド」を買収することでマリオット傘下に入っています。今となってはすっかりマリオットのブランドとしての印象を強く感じます。

近年では、2025年4月にライフスタイルブランドの「citizenM」を買収することを発表しました。

こうしてマリオットは世界最大のホテルチェーンとなっており、次のようにポートフォリオには様々なブランドが掲げられています。

[出典:https://www.hotel-development.marriott.com/brands]

リッツカールトンやウェスティンなどは日本でも有名だと思いますが、日本に無いブランドも多く見受けられます。

ポートフォリオは次のとおり大きく5つに分類されています。

マリオットのポートフォリオの分類
・Luxury
・Premium
・Select
・Midscale
・Longer Stays

これらの分類の仕方はホテルチェーンによって多少異なりますが、Longer Staysは性質が違うものとして、上から順にグレードで分かれています。

例えばLuxuryのクラスにはリッツカールトンやエディション、ブルガリなどがありますが、それぞれのブランドの特色が出ているところが魅力的です。

色々なホテルに泊まって、そこだけの空間を味わってみたくなります。

ポートフォリオに沿って、実際に泊まったホテルを紹介

これまで紹介したように、マリオットには様々なブランドがあります。

ここではポートフォリオのクラスのイメージが掴めるよう、クラス別に沿って、実際に泊まったことのあるホテルを紹介したいと思います。

Luxury

最初にLuxuryブランドを紹介します。

The Ritz-Carlton Jakarta, Mega Kuningan

マリオットのLuxuryブランドと言えば、リッツカールトンが思い浮かぶかと思います。

日本にもありますが、ここではジャカルタにあるThe Ritz-Carlton Jakarta, Mega Kuninganを紹介したいと思います。

ここは2005年にオープンしたホテルで、客室は全153室あります。

26階建で都市型のホテルとなっています。

高層階からの眺め

エントランスに入った時の圧倒的な吹抜けのロビーが、到着時から期待感を高めてくれます。

エントランスロビー

客室は落ち着いた高級感のある内装で、部屋に入った時にウェルカムドリンクとしてビールが用意されていたのも印象的でした。

高級感のある客室

また中間階にはプールやジムなどウェルネスエリアがあり、プールには大きな東屋がありとても人気でした。

屋外プール

実はチェックインの時に、大したことでは無いのですが、少々時間がかかったのですが、チェックアウトの時にそのスタッフさんが名前を呼びかけてくださり、「チェックイン時はお待たせしてすみませんでした。お土産にこちらをどうぞ。」と言ってカードホルダーをくれました。わざわざ覚えていてくださる、そのホスピタリティにリッツカールトンの格を感じたのでした。

もらったカードホルダー

HOTEL THE MITSUI KYOTO, a Luxury Collection Hotel & Spa

もう一つ、Luxuryブランドを紹介したいと思います。

京都にある、HOTEL THE MITSUI KYOTO, a Luxury Collection Hotel & Spaです。

Luxury Collectionのブランドは、ホテルによって特色が異なるという特徴を持っており、それが面白いです。

日本国内ですと紀尾井町のプリンスホテルや、京都の翠嵐、宮古島のイラフSUIなどがLuxury Collectionですが、それぞれ個性的です。

HOTEL THE MITSUI KYOTOは二条城のすぐ東に位置し、二条城ビューの客室もあります。

二条城側に面した客室

京都は高さ制限が厳しいので、ラグジュアリーホテルであっても階高・天井高が低いことが多く、地下を作ることも多々あります。そんな条件の中でも空間作りを上手くしているなと感じました。

高さ制限の中建てられている

中庭が大きく作られているため、ロビーからの中庭ビューは圧巻で、中庭に向いた客室もたくさんあります。

中庭ビューのロビー

他の客室から見えてしまうという、プライバシーが気になるというのはありますが、一つ一つの空間が丁寧に作られており、そこは目を瞑るところかなと思っています。

中庭に向いた客室

客室は和モダンのテイストで、お風呂が広いというのも特徴の一つです。

広い浴室

Premium

次にPremiumブランドを紹介します。日本でも有名なウェスティンなどがこのクラスにあたります。

ウェスティン横浜は以前に記事を書いたことがあるので、良かったら見てみてください。

「ホテル×長期滞在」を仕込むラグジュアリーなブランド戦略|ウェスティンホテル横浜

The Westin Siray Bay Resort & Spa, Phuket

ここではタイのプーケットにあるThe Westin Siray Bay Resort & Spa, Phuketを紹介したいと思います。

ここは2010年にオープンした全257室のホテルで、崖地に立っているため、高低差が激しいです。

崖地に立つホテル群

ですが、その高低差が客室からの開放的な眺めを生み、プールも崖のようになっているためインフィニティプールの抜け感も素晴らしいです。

インフィニティプール

ビリヤードや卓球を絶景を見ながらできる場所もあります。

ビリヤード台(奥に卓球台)

オールデイダイニングはテラス席がとても気持ちよく、朝から良い1日をはじめられます。

オールデイダイニング

ちなみに泊まった客室は目の前にプールが付いているところでした。

プール付きの客室

建物には劣化を感じたのですが、リッツカールトンにリブランドする予定があるらしく、良いポテンシャルを持った敷地のため、ランクを上げるのも頷けます。

Select

次にSelectブランドを紹介します。

このクラスだと宿泊特化に近くなってくるので、割とリーズナブルに泊まることができます。

AC Hotel Seoul Gangnam

ソウルにある、AC Hotel Seoul Gangnamを紹介したいと思います。

カンナムにあるホテルで2012年にオープンしました。全274室あります。

オフィス街での利便性を重要視したホテルです。

ロビー

客室はコンパクトですが品がありました。

客室

宿泊者専用ラウンジもあり、やはりビジネスユーザーが多く見られました。


「AC Hotel」は日本ですと銀座にもあります。記事も書いているので良かったら見てみてください。

客室の換気に隠された設計の工夫|ACホテル・バイ・マリオット東京銀座

Moxy Seoul Insadong

もう一つSelectブランドを紹介したいと思います。Moxyです。

日本では錦糸町や京都などにあります。

ソウルにあるMoxy Seoul Insadongを紹介します。

ローカルな飲食店が多く並ぶディープなエリアにカラフルなMoxyがあり、違和感がありました。

ディープなエリアに立つMoxy

それでも中に入ると、その安定したクオリティにインターナショナルブランドの安心感を感じました。

Moxyらしいインテリア

こちらも客室はコンパクトで、Moxyっぽく遊びのあるインテリアとなっています。

客室

Midscale

次にMidscaleを紹介します。

しかし私自身、2つしかないMidscaleのブランドにまだ泊まったことがないので、調査したものを紹介します。

Four Point Flex by Sheraton 横浜駅西

[参照:https://www.marriott.com/ja/hotels/tyoyu-four-points-flex-yokohama-west/photos/]

Four Point Flex by Sheraton 横浜駅西は、マリオットで日本初上陸のミッドスケールブランドです。

SheratonがPremiumクラスにありますが、そのSheraton系列でFour PointというブランドがSelectクラスにあります。

そして、そのFour Pointを宿泊特化型に振り切ったのがFour Point Flexです。

よりコンパクトでリーズナブルにしたホテルです。客室の大きさは14㎡〜27㎡です。

客室は全156室ありますが、2024年11月に「ホテルユニゾ横浜駅西」をリブランドして開業したホテルなのです。

Longer Stays

そして最後に紹介するのが、Longer Staysのブランドです。

その名の通り、長期滞在がしやすいホテルとなっております。

Element Al Mina, Dubai

Longer Staysの内の一つ、Element Al Mina, Dubaiを紹介したいと思います。

長期滞在がしやすいように、キッチンや洗濯機も客室の中にあるのが特徴的です。

客室

サービスアパートメントと言った方が近いかもしれません。

長期滞在に加え安価で、1階にはラウンジ兼朝食会場があり、毎朝ビュッフェを頂くことができるので、土木系の作業員が多く見られました。

ラウンジ

建物の内外装にはそこまでお金をかけてないのですが、天井がとにかく高く、客室はヨーロッパのアパートメントのようにも感じました。

建物の外観

最上階にはプールやジムもあります。

最上階のプール

ちなみにこの「Element」ブランドはWestin系列となっています。ブランドの中にもどのブランドと姉妹関係にあるとか、繋がりがあるのがユニークなところです。

おわりに「追求したくなるホテル」

以上、マリオットのポートフォリオについて、簡単にまとめてみました。

日本国内に無いブランドも多いので、全てのブランドを制覇するのはまだまだ先になりそうです。

今回紹介したように、他のホテルチェーン、例えばヒルトンやIHGなどでも同じようにポートフォリオというものが存在します。

マリオットのリッツカールトンと同等のホテルはヒルトンだと〇〇、IHGだと〇〇というようにホテルチェーン間の比較も出てきます。

足を踏み入れると、その奥深さにどんどん追求してみたくなるのがホテルだと思います。

この記事が何かの参考になれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました