ケリーヒル設計の名作建築と自然への没入体験|Alila Ubud

ホテル

はじめに「バリ発祥のホテル」

バリにあるホテル、Alila Ubudに行ってきました。

Alilaはハイアットのラグジュアリーブランドですが、スタッフさんの話によると2018年にハイアット傘下のブランドになったそうです。

そもそもはと言うと、バリ(インドネシア)発祥のホテルなのです。

もう少し紐解くと、2018年にハイアットが買収したのはTwo Roads Hospitalityで、AlilaやThompson、JDVをポートフォリオに持つホテル会社でした。

Alilaはバリに4つあります。中でもウブドのAlilaに泊まったのには理由があります。

ケリーヒルがデザインしたからです(※Alila Manggisもケリーヒルです)。

このホテルは1996年に竣工し、当初はThe Chediというホテルでしたが、2019年からAlilaブランドになったという歴史もあります。

そんな建築的にも見応えのあるAlila Ubudについて紹介したいと思います。

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リゾートへ導く長いアプローチ

ホテルにはGrabというタクシーで行きました。

ウブドのメインロードにホテルの看板があり、そこを曲がると蛇行した道があります。

「Alila」の看板

蛇行した道

そこをしばらく進むと、ようやくセキュリティゲートがありました。

セキュリティゲート

ジャカルタに行った際もそうでしたが、インドネシアのホテルはセキュリティゲートの門番が車のトランクの中や宿泊者名を確認します。

そのセキュリティゲートを抜け、直線のアプローチを下っていくと車寄せがあります。

直線のアプローチ

この直線道がとても格好いいです。車が走るのは様になります。

直線道(反対側より)

車寄せの真横がすぐチェックインロビーとなっています。

車寄せ

チェックインロビー

フロント

チェックイン時にはウェルカムドリンクやスナックを頂きました。

ウェルカムドリンクとスナック

こじんまりとしたロビーでしたが、全74室しかないので、そう考えると相応かもしれないと思いました。

池に入浴する気分を味わうプールヴィラ

ロビーでのチェックイン後、客室へ向かうと言うのでバギーに乗るのかと思いきや、今回宿泊するヴィラへは階段ばかりでバギーは使えないと言っていました。

道中の階段

塀のデザインが格好いい

階段を上がったり下ったりしながら、ようやく今回宿泊するPool Villa(プールヴィラ)にたどり着きました。

プールヴィラへのアプローチ

次にヴィラのプランを載せたいと思います(外構が結構違うので参考程度に)。広さは120㎡です。

Pool Villa(120㎡)【参照】https://jp.pinterest.com/pin/89649848827244250/

客室ドアを開けると、5.5m角のベッドルームが広がります。

ベッドルーム

ヴィラということもあり窓が多く、ベッドの正面にはプライベートプールもありました。水深は1.35mあり、少し深めです。

プライベートプール

1996年に作られた建物ですが、床の石材や木材はアンティーク感があり良い味を出していました。

アンティーク感のある家具や床石

天井は小屋組が表しになっており、バリの伝統住宅に泊まっているかのようで、特別感がありました。

バリの伝統住宅のように作られた屋根

照明デザインも伝統住宅に合った、主張は小さいながらも空間をより魅力的に見せるようなものでした。

ベッドルームの照明

ベッドの裏側がバスルームで、扉を開けると十字のプランになっています。

両脇に洗面台があり、その向かいにクローゼットとバゲージ、洗面の裏にトイレとシャワーがそれぞれあります。

洗面

バゲージ

それぞれの突き当たりの壁面はハイサッシになっているため非常に明るい空間です。

洗面の空間には空調が効いているのですが、トイレとシャワーは網戸で半屋外になっているのが特徴的です。

半屋外のトイレ

虫や動物の鳴き声がすぐ近くにあるというのも新鮮でした。

シャワー室にレインシャワーしかないのは少し使いづらかったです。

そして、驚くべくは露天風呂(アウトドアバス)で、その周りは池に囲われています

アウトドアバス

池には鯉も泳いでいて、お風呂に浸かりながら池を見たり、空を見上げたり、なかなか池の中にある風呂というのはないと思うので貴重な体験でした。

鯉と一緒に入浴する感覚を味わう

蚊に刺されるのが不安でしたが、蚊取り線香を炊いていたのもあり、そこまで気にせずにすみました。それよりはトンボが多かった方が気になりました。

蚊取り線香

このホテルでは多くの客室で多種なアウトドアバスを設けており、これは「自然への没入感をより強く味わってもらいたい」という意図があるのだそうです。

庭には切り株もありました。

庭の切り株

詳しくは分かりませんが、このヴィラを建てるときにあった木をどのような形でか残そうとしたのだと思いました。

切り株(拡大)

そして、寝ている間には外から様々な音が聞こえました。

鈴虫のような鳴き声は可愛い方で、クリケットの鳴き声は初めて聞くと驚きます。非常ベルが鳴らされたのかと思うような音でした。

その鳴き声で朝は目覚めさせられました。かなりの爆音です。

ブドの自然に暮らすというのはこういうことなのだと思います。まさに没入体験でした。

サッシは隙間だらけで、大きいところで1センチくらいの隙間があるので、部屋の中には簡単に虫が侵入してきました。
小屋裏にはヤモリも侵入してきて、部屋の中に糞を落としていきます。蚊帳が無いと安心して寝られなかったかもしれません。

インフィニティプールの水深に驚き

ウブドの渓谷を眼前にしたインフィニティプールがこのホテルの見せ場です。

これまで写真では何回も見てきましたが、建築的にもかっこいいプールです。

直線に伸びるプール

2面がインフィニティになっており、片側にプールベッドが並べられています。

プールと横に並ぶプールベッド

長さは約25mあるのですが、一番驚いたのは深さです。

手前では1.3mなのですが、奥に行くにつれて勾配になっており、最も深いところで2.3mになります

決して足はつきません。

その代わりかプールの縁には足掛けがあり水深1.2mほどになるのですが、溺れる人もいるのではないかと心配になりました。

それでも「2.3m」というのは好奇心をくすぐるところもあります。

風の抜けるオールデイダイニング

朝食はオールデイダイニングのPlantation Restaurantで頂きました。

オープンエアの大屋根がかかった空間で、風の通りが良く、とても気持ちの良い空間でした。

オープンエアの空間

レストランの内観

テラス席

ちなみに床材はヴィラの床と同じものが使われていました。

バリで採れる石だそうですが、30年近く経っても魅力的に感じられるのは、地産ならではだからかもしれません。

朝食はハーフブュッフェで、新鮮なフルーツを使ったスムージーや、創作の料理を楽しめます。

ビュッフェカウンター

バリ料理も並ぶ

一際美味しかったのがパンケーキで、柔らかな生地とクリームで、何回もおかわりしてしまいました。

厳かな石積み空間のラウンジ

オールデイダイニングの下は、ラウンジ兼バーのCabana Loungeがあります。

こちらもオープンエアでプールバーとしての役割もあります。

オープンエアのラウンジ

15時から17時はアフタヌーンティーとして無料のドリンクと軽食が提供されます。

敷地内の塀と同じ石積み風のテクスチャの柱で、仄暗い空間と外の明るさとのバランスが魅力的でした。

ラウンジの内観

天井が高いのも風がよく抜けます。

アフタヌーンティーを楽しんでいると、目の前のプールサイドに猿の群れが現れました。

このホテルは敷地内に猿がよく出るのですが、決してそれを拒むことなく、共生することをコンセプトとしているのです。

敷地内に現れる猿(写真は客室の近く)

猿は崖の下の方に棲家があるらしく、目撃した夕方は、バナナやココナッツなど餌を食べ終えて家に帰るところでした。

ホテルのスタッフは利用者のエリアに近づかないよう、気を配っていた(追い払っていた)のが、印象的でした。

階段の上にあるスパ

スパは分棟形式で、レセプション、トリートメント、リラクゼーションに分かれています。トリートメント室は3室あります。

レセプション

トリートメント室

トリートメント室のバスルーム

リラクゼーション

トリートメント室は広場に対して出入口が面していて、少しプライバシーは気になりました。

外に面したトリートメント室

スパエリアはパブリックの動線上にもあるので、そういう点では真新しさがありましたが、気軽にその雰囲気を味わえるというのは一つの考え方としてはアリだと思いました。

パブリック動線上にあるスパエリア

おわりに「自然への没入」

以上、Alila Ubudの紹介でした。

約30年前のケリーヒルの設計は、今でも学ぶものがたくさんありました。

崖でビューが良い場所に歩廊があり、その次に客室を置くという配置には斬新さがありました。客室のビューを優先してしまいがちだからです。

客室前に歩廊というスタイル

そして今回は雨季での宿泊で、プールヴィラの選択は少し挑戦した部分がありました。

これだけ池やプールなど水が多いと、さぞかし蚊など虫も多くなり、そういったコンディションの中でこのヴィラに泊まると自分はどう感じるのか、設計者として心得ておきたかったのです。

結果として、蚊取り線香を炊いたり、極力窓は開けっぱなしにしないなど、気をつけることで快適性は維持できましたが、それでも家の中や外には多くの訪問者が現れるので、虫嫌いの人には厳しい環境だろうなと思いました。

ですが、コンセプトは自然への没入感。まさに、と感じた滞在でした。

Alila Ubud 建物概要
所在地:Melinggih Kelod, Ubud, Gianyar Regency, Bali 80572, Indonesia
敷地面積:約5.3ha
設計:Kerry Hill Architects
インテリア:Kerry Hill Architects
客室数:74室
リブランド開業:2019年
旧The Chedi Ubud開業:1996年
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