京都らしい「建築×インテリア×こだわり」の発見|ノーガホテル清水京都

ホテル

はじめに「国内3軒目のノーガホテル」

ノーガホテル清水京都に宿泊してきました。

京都にはホテルがたくさんありますが、その中でも特に泊まってみたいホテルでした。

※ノーガホテルは東京の上野・秋葉原にもあり、3軒目が京都の清水にできました。

普通のホテルとは異なり、こだわりが強く、またその地域の特徴を活かしたホテルになっていることがノーガホテルの特徴です。

宿泊費も休日で15,000円程度で、決して高くはないのがポイントでした。

建築士としても毎回、設計・内装のクオリティの高さに驚かされます。

※そんなノーガホテル清水京都に宿泊してきましたので、建築士としての視点も交えて紹介していきます。
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清水エリアに佇む、五感を刺激するホテル

ノーガホテル清水京都は清水エリアにあります。

その名前から想像できる通り、清水寺も徒歩圏内にあります。

ホテルは五条通りに面して立っており、五条通りを清水五条駅から東に徒歩7分ほど行くとあります。

道路の両脇には京都らしい町屋に混じり現代的な建物があります。

そのどれもが土壁っぽい色合いや瓦屋根、縦格子、木柱などを使っていて「京都らしさ」を表現しています。

ノーガホテル清水京都も同じように京都らしくデザインされています

から見るとその存在感が強くなりすぎないようにデザインされているように感じました。

京都らしさを表現した外観(手前は別の建物)

また、京都の街並みは東京の高層ビルがある風景とは違って、建物の高さが抑えられていていることが特徴的です。

現代的に作られた和風なエントランス

エントランスホールは中心性を示すように凝縮された空間になっています。

その空間は大・中・小のバランスによりデザインされているように感じました。それぞれ次のような構成だと思います。

大:天井の木組み
中:ゆったりと作られたテーブル・ソファなどの家具
小:棚に陳列されるボトルや商品

それらをムラのあるグレーで床・壁・天井を纏っているところが統一感を作っています。

そこに植栽が外から中へと連続的に配置されることによって、内外を繋ぐ「抜け感」を作っています。

外から中に繋がる植栽

このインテリアのバランス感覚は素晴らしいなと思いました。高級ホテルと並んでも通用するくらいなのではないかと思います。

そんなエントランス空間に浸りながらチェックインをしました。

チェックインカウンター

設計者の奮闘により生まれた迷宮

エレベーターホール

1階からエレベーターで客室へ向かいます。

普段は東京にあるような都市型のホテルに宿泊することが多いので、最上階が6階というのは新鮮に感じます。

客室階は廊下が長く作られています。

敷地が広く、高さを抑えた建物で客室を多く確保しようとするとこのようになるだろうと思いました。

エレベーターホールから客室に向かう間にまず現れるのは十字路で、迷宮のようでした

またX階段があることに疑問を覚えたのですが、セットバック形状になっているための避難階段の確保のためなのだと思いました。

※X階段とは、1つの階段室に2つの階段があるような階段です。建築基準法の2方向避難をコンパクトに確保するための建築的な手法です。

避難経路図を見るとX階段になっていることが分かる

ペンダントライトが支配する狭くて広い客室

今回宿泊したのは、ホテルで一番小さい19m2のダブルの部屋です

部屋に入って驚きました。19m2は狭いと思っていたのですが、この部屋はなぜか広く感じるのです

実際、数字的な19m2というのは狭いと思います。なので、この部屋では狭く感じさせないような工夫をしているのだと思いました。

それは大きい窓やカーテンの丈、床材の張り分け、アイキャッチになる照明など、細かな部分の組み合わせなのだと思いました。

広く感じさせる工夫が施されている客室

内装設計をしたのはUDSという会社ですが、さすがだなと思いました。

※ちなみにUDSがデザインしたホテルですと、東京の浜町ホテルがおすすめです。

そして、この部屋をより魅力的に感じさせているのはペンダントライトだと思いました。

目を引くペンダントライト

この照明は京都の「陶葊(とうあん)」という会社のものを使っています。

実は客室も含めこのホテルには京都のアーティストや会社とコラボしたものがたくさんあります

ホテル内で「いいな」と感じたものがきっとそういったオリジナル製品です。

それはモノでなく匂いだったり、BGMだったりします。これらは実際に体験してみることをお勧めします。

部屋は廊下に洗面台があり、寝室側はダブルベッドにスツール・テーブル、テレビがあります。

ベッド横にはスツール・テーブルがある

ベッドボードは彫り込みが作られていて、そこに照明の操作ができるスイッチやコンセントがあります。

ベッドボードの彫り込み

客室から見える外の景色は決して良いと言えるものではありませんでしたが、淡い色付きのレースを閉めると、外に見える景色は抽象化されて、程よく部屋の雰囲気に馴染んでいました。

窓の外の景色

レースカーテンを閉めた様子

水廻りは洗面台は廊下に出ており、トイレとシャワーブースはまとまっていました。

トイレ。左手にシャワーブース。

トイレ経由のシャワーブースという配置ですが、コンパクトに納める工夫が見られました。

トイレのペーパーホルダーからスイッチ、コンセント、水洗器具など建築的な部分一つ一つを取っても良いものを使っているホテルだなと思いました。

シャワーはオーバーヘッドシャワー。

半地下に広がるレストラン

ホテルの中には次の3つの飲食店が入っています。

・CICON RESTAURANT
CICON BAKERY
・CICON ROOF TOP BAR

朝食はレストランで食べました。このレストランは地元素材を利用した料理を提供しています。

※ここに限らずノーガホテルは地元素材にこだわっています。

レストランはエントランスホールから数段地下に潜ったところにあります。

奥にはテラス席があり、半地下という落ち着いた特徴をうまく活かした空間だと思いました。

テラス席

朝から元気になるような美味しい食事ができる場所なので、宿泊するときは朝食付きをおすすめしたいです。

ベーカリーはエントランスの奥にあります。ここで買って客室で食べるという人も多く見受けられました。

奥にあるベーカリー

ルーフトップバーは利用したかったのですが、運悪く雨天だったため閉店していました。

ルーフトップバーは雨天のため閉店。

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おわりに「ホテルがおすすめする京都の餃子屋」

以上、ノーガホテル清水京都の紹介でした。数ある京都のホテルの中で、ここを選んで正解だったと思えるホテルでした。

実は客室のテレビで、ホテルが作った京都の紹介動画が見られるのですが、そこで紹介されていた餃子屋に行ってみました。

それもサウナが併設する餃子屋という面白い試みをしているお店です。夷川餃子なかじまというお店です。

餃子は牛脂で焼かれたカリカリの食感で、中の肉の味がじわっと口に広がってきてとても美味しかったです。

ノーガホテル清水京都 建物情報

住所:京都府京都市東山区五条橋東4-450-1
建築主:野村不動産
企画:野村不動産、UDS
設計:ノム建築設計室、鴻池組
施工:鴻池組
敷地面積:2,514.03m2
延床面積:8,966.18m2
階数:地上6階、地下1
客室数:207
オープン:20224

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