はじめに「温泉地、北投にあるアロフト」
台湾にあるアロフト台北北投に行ってきました。ここ北投は温泉地として知られている場所です。
アロフトはマリオットのブランドで、2023年現在、台北には2ヶ所のアロフトがあります。
台湾のホテルは安いところですと、窓がなかったりするのですが、マリオットブランドとなると高水準な仕様で、安心して過ごすことができました。
今回はそんなアロフト台北北投で、ホテル内滞在をメインに過ごしてきましたので、紹介したいと思います。
幾何学デザインの外壁とアロフトカラー
ホテルには台北の中心街から、MRTの淡水信義線で北投駅に向かいました。
MRTは地下を走ることが多いですが、北投駅は地上の駅舎でした。
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北投駅
アロフトの建物は大きいので電車からも分かりました。駅からは徒歩7分ほどで着きます。
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歩いている途中で見えるアロフト
アロフトは2017年にオープンしました。
外観として、プリズム形状のように角度のついた壁面になっているのが特徴的です。
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角度のついた壁面
日本ですと、よほど力を入れるホテルでない限り外壁デザインでここまで遊ばないだろうなと思いながらも、デザインする側としては自由度が高くて良いなと思いました。
また、エントランスや車寄せの天井はアロフトカラーとも言うべきカラフルなルーバーとなっており、期待感を高めてくれます。
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カラフルなルーバー
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車寄せの様子
機能が充実した1階
エントランスに入ると、まずはホテルの顔と言うべきカラフルな光の壁が出迎えてくれます。
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エントランスの正面にある光の壁
レセプションは入って右手、左手にはバーがあります。
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レセプション
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バー
そのバーは夜になるとライブが行われていて活気があります。
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バーではライブが行われる
また、一角には軽食コーナーもあります。そこにはお菓子や飲み物が並べられており、受付やバーで買うことができます。
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軽食コーナー
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お酒もありドリンクは豊富
さらに、1階にはテナントとして”スターバックス”が入っているのですが、ホテルのロビーからも店に入ることができ、使い勝手が良かったです。
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1階にあるスターバックス
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アロフト側からも入れるようになっている
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テイクアウトして部屋で一息
全体として1階はかなりオープンな空間になっていて、エレベーターコアを中心に回遊できる平面計画が良いなと思いました。
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空間を贅沢に構成する回遊動線
開いて待ってくれているエレベーター
受付でチェックインを済ましてエレベーターの方へ向かいます。
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1階のエレベーターホール
たまにエレベーターは開いて待ってくれていることがありました。嬉しいおもてなしです。
また台数も充実しており、客用で4基、サービス用で2基が用意されています。そして、エレベーターに入ると天井が高いことに気が付きました。
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エレベーターの内観
エレベーターの中は広く、映像モニターがついていたり、音楽が流れていたり高級ホテルさながらの雰囲気でした。
エレベーターメーカーは日本では見かけないシンドラー製でした。
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シンドラー製のエレベーター
エレベーターを待っている時に思ったのですが、エレベーターがシャフトを移動する轟音が廊下に結構聞こえてきており、それは日本でもよくあることなのですが、遮音対策すべきだろうと思いました。
暖色系を中心に、色使いが魅力的な客室
客室内や客室フロアの廊下には様々な色が散りばめられています。
共用廊下には床のカーペットや壁面照明のピクセル風カラー、そしてアートで色が使われていました。
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カーペットや壁面照明に使われる色
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エレベーターホールのアート
基本的には赤っぽい暖色系をメインカラーとしていました。
そして客室に入ります。
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客室の内観
今回宿泊したのはスタンダードなツインタイプの部屋です。
玄関側にトイレ、洗面、シャワーといった水廻りがあり、奥にベッドルームという一般的な配置です。
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水廻りの様子
部屋のタイプとしてはシティビューだったので、窓からは街並みとその奥の山々が見えました。
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部屋からの街の景色
夜は街の夜景も楽しめましたし、淡水信義線の電車が通るのが見えるというのがジオラマ感を高めてくれ良かったです。
客室はゆったりとした広さがあり、その中にアクセント的に色が散りばめられていて魅力的でした。
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ゆったりとした部屋
床のカーペットはピクセル風にオレンジが入っていて、そのバランスが上手いなと思いました。
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カーペットのデザイン
同じようなデザインの反復がカーテンに見られたり、細かいグリッドデザインの踏襲ということでトイレの背面は赤のモザイクタイルとなっていました。
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カーテンも床と同じようなデザイン
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赤のモザイクタイル
その他ベッド上に置かれたクッションや、ベッドボードのアートも全体の色バランスを上手く調整していました。
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クッションとアート
客室内で一番上手いデザインだと思ったのが、すりガラスを使っている点です。
それは水廻りの引き戸と、シャワールームと寝室の間の壁に使われています。
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すりガラスになっている水廻りの引き戸
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ベッドルームとシャワールームの間のすりガラスのスリット
すりガラスになっていることで反対側の存在を示し、空間的な拡張効果を生んでいます。
特にベッドの角の部分は閉塞的になりがちだと思うのですが、このようにすりガラスを使って処理するというのは上手いデザインだと思いました。
避難経路図から平面計画を読み取る
建築という職業柄、気になるのはホテルの平面計画がどうなっているかというところです。
台湾の避難経路図は日本よりも詳細な図面になっていることが多く、こちらとしては非常にありがたいです。
アロフトの避難経路図を見てみると、2階段で構成されており、廊下の突き当たりにはバルコニーがあることがわかります。
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避難経路図
バルコニーには日本であれば様々な規制によって避難ハッチがあることが多いですが、ここでは避難目的のバルコニーではなく、単なる室外機置場となっていました。
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バルコニーは室外機置場となっている
平面計画はこのまま日本に持ってきても建てられそうな内容です。
階段は特別避難階段と同じような仕様になっており、それぞれ附室も設けてあります。
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避難階段用の附室
エレベーターはサービス用のものがしっかりと設けられており、スタッフの使い勝手上も申し分ない計画だと思いました。
吹抜けのフィットネスのある19階
この建物は地上21階建ですが、19階にはフィットネスがあります。
客室階の端っこにあるような感じですが、吹抜けとなっており、また眺めもよく気持ちがいいです。
トレーニング器具は種類は少ないですが、余裕を持って並べられています。
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フィットネスの器具は少なめ
また、フィットネスの横にはコインランドリーもあり、洗濯は100元でできました。
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フィットネスの隣にあるランドリー
よくランドリーコーナーは窓がなかったり閉塞的な空間であることが多いですが、ここはバルコニーのための窓がありました。
おわりに「北投エリアの観光の拠点に」
以上、アロフト台北北投の紹介でした。台北の中心地から少し離れていることもあり、客室は広めに作られていることも好印象でした。
建築的な視点から、日本と台湾との建築計画の違いを意識することが多いですが、外観や内観のデザインの違いも面白いです。
言えるのは台湾の方がデザインの自由度が高そうだと言うことです。これは台湾を長く旅していて思いました。ホテル然り、マンションのデザインもバラエティに富んでいます。
台湾の建築はまだまだ奥が深そうだと思いました。
アロフト台北北投は建築的にも面白いですし、北投エリアの観光の拠点としても優れたホテルだと思います。
※この記事は建築士としての視点から、建築的な内容多めで書いています。