建築家アントニオ・チッテリオが描く「イタリア×バリ」の融合|Bvlgari Resort Bali

ホテル

はじめに「ジュエリーブランドへの憧れ」

バリのウルワツにあるBvlgari Resort Baliに行ってきました。ここBvlgariはバリの超高級ホテルの一つとされています。

全室オーシャンビューのヴィラで、全64室しかない、落ち着いたリゾートというのが特徴です。

そして、Bvlgariといえばジュエリーブランドです。

憧れを持って宿泊する人も多く、バトラーの話によると、「ここに泊まるのが夢だった」と語る人も多いらしいです。

ジュエリーブランドの華やかさと、建築家アントニオ・チッテリオによる静謐な建築の相乗効果で、唯一無二の体験を生んでいます

今回は建築士の視点から、その魅力を紐解いていきたいと思います。

スポンサーリンク

強固なセキュリティが担保するバリ随一のラグジュアリー

ホテルへはタクシーで向かいましたが、超高級ホテルのため、ヘリコプターでアクセスする人も多いらしいです。

それが「多少いるではなく、多い」とスタッフさんが言っていたのが印象的でした。

メインロードからしばらく走り、途中でシックスセンシズの看板を見つけたりしながら、ブルガリのセキュリティゲートに到着しました。

頑丈そうな門があり、そこで一旦車から降ります。

そこからバギー送迎が始まります。

容易に入ることは許せない、セキュリティの強さを感じました。

ブルガリともなるとここまでする必要があるのだと、納得もしました。

なぜなら、もてなす客層が富裕層ばかりだからです。

ゲートからはバギーにて、施設の紹介を経て、ヴィラに向かいました。

バギーでヴィラへ向かう

運悪く、行った時はアライバルロビーが改修中でしたので直接ヴィラに向かいました。

改修途中でしたが、後々アライバルロビーを見せてもらいました。

階段を登った時に開けたビューは、敷地で最も高いポイントからということもあり、とても良かったです。

通常はこちらでウェルカムドリンクを頂いてからヴィラに向かいます。

そういうこともあってなのか、稼働率は40%とのことでした。

内と外が溶け合うオープンエアリビング

今回宿泊したヴィラは「Ocean View, 1 Bedroom Villa, 1 King, Plunge pool」で、No50です。

リゾートマップで言うと、SPAの左上に当たる部分です。

【参照】https://issuu.com/bhrbaliguestrelations/docs/bulgari_resort_map?ff

宿泊したヴィラの図面も載せておきます。

【参照】https://www.bulgarihotels.com/en_US/bali/villas-and-mansions/One-bedrooms/ocean-view-villa

門を入り、庭を進むと、オープンエアのリビングがあります。

ミニバーもそちらにあり、初めての屋外リビングの体験に興奮しました。

リビングの前にはプライベートプールも付いており、海も望めとても贅沢な体験でした。

途中で大雨が降ってきた時はすだれを下ろすとこでガードでき、そのすだれは雰囲気によく馴染んでいました。

すだれ

リビングを囲うようにある壁はインドネシアの天然石として有名な「Palimanan  Stone(パリマナンストーン)」が使われています。

クリーム色で多孔質なので、琉球石灰岩を彷彿とさせる質感ですが、その正体は砂岩です。

リビングを囲う「Palimanan stone」

玄関は両開きの窓で、玄関ドアという感じではないのがユニークでした。

両開きの玄関(写真右)

ベッドルームからも両開き戸でアクセスでき、そちらにも鍵が外からかけられるので、出入りの融通が効き回遊性がありました。

ベッドルームに面した両開き戸

ちはみに鍵は門と玄関、ベッドルームの戸の3箇所にかけることができます。

それが三輪ロックだったので親近感がありました。

三輪ロックの鍵

ベッドルームは3方に窓が設けられております。

屋根はバリの伝統住宅の作りになっており、居心地の良さがありました。

建物と塀との間に少しでも余白を設けて3方窓にするというのは、ヴィラの作りにおいて、心地良さに関わるとても大事な部分だと思っています。

廊下はバゲージやクローゼットと兼ねており、トイレはバスルームの外側にあります。

特筆すべきはトイレにTOTOが採用されていたことです。

海外の一流ホテルがTOTOを使っていると、その信頼感は世界共通のものなのだと嬉しくなります。

トイレの背面にはスリット窓があり、光が漏れてきて落ち着きがあります。

バスルームはとてもラグジュアリーさを感じました。

バスルーム

ベッドルームと同じく勾配天井で天井も高く、そして3方が窓です。

浴槽が中央に鎮座しており、囲うように洗面台、ドレッサー、ソファがあり、まるでこの空間もリビングであるかのような過ごし方ができるように設計されていました。

そして、トイレもそうなのですが、浴槽周りの床と壁の取り合いが曲面になっていました。

浴槽周りの床と壁のディテール

設計したアントニオ・チッテリオの建築は「一見シンプルだが、ディテールの納まりが驚異的に美しい」と言われています。

まさにこのようなディテールが見どころです。

シャワールームもあり、こちらも大きな窓があります。ピンクのモザイクタイルがモダンでかつゴージャスさがありました。

さらにはアウトドアシャワーもあります。

これはバリの伝統とイタリアの習慣をミックスしたものです。

アウトドアシャワー

設計者のアントニオ・チッテリオが提唱した「イタリアン・コンテンポラリーとバリの伝統の融合」というコンセプトはこのような場所にも見られました。

アウトドアシャワーはプール用かと思いきや、プールからアクセスできる場所はないので疑問に思っていたらバトラーが教えてくれました。

プール用も兼ねられると、より満足度は上がるのかなと思いました。

室内には空調が効いていますが、室外機はヴィラの門の反対側に置かれており、木板で蓋もされていました。

これは上から室外機が丸見えにならないように景観的な工夫がされています。

魅惑的なインフィニティプールと緑の石材

敷地の海側にインフィニティプールがあります。

インフィニティプールの奥にはブルガリの文字が堂々と掲げられており、プールサイドのガゼボやベッド、パラソル、枕などそれぞれにもブルガリの文字が入っています。

ブルガリのブランドをこれでもかと誇示するかのようにたくさん書かれていて、ブルガリ好きには堪らないだろうと思いました。

深さは1.2mから1.7mで、徐々に深くなっていきました。客室数からすると十分な広さでした。

プール水深「1.7m」

このプールのタイルは色にもこだわっており、バリの石材である「Sukabumi」という緑がかった石を使用しています。

これにより、水の色がインド洋のサファイアブルーと調和するように設計されています。

プールとインド洋

温かいジャグジーもメインプールの隣にあります。

こちらはプライベート感のある空間で、至高の時間を過ごせます。

アクティビティセンターのおもてなし

アクティビティセンター

ヴィラからバギーを手配し、ジムへ行きたいと言うと、案内されたのはアクティビティセンターでした。

こちらがジムへアクセスするためのエントランスの役割もしています。

アライバルロビーかと思うような、高い位置にあり風の抜ける気持ちの良い空間でした。

風の抜ける空間

ここではアクティビティの受付や、塗り絵体験などができ、またラウンジとしての利用もできます。

塗り絵が体験できる

少しバギーを待っている間に「お茶でもいかがですか?」と聞かれたので、せっかくなので頂きました。

お茶菓子としてクッキーやピーナッツも出していただきました。

紅茶

アクティビティセンターだけの用途では勿体無く思うくらい素晴らしい空間で、ゆったり過ごしたのが深く印象に残っています。

くつろぎの空間

受付のスタッフさんは陽気で、色々と楽しく会話させてもらいました。

至高の空間、ジム

アクティビティセンターから少し歩いたところにジムがあります。

ジムの外観

器具が充実し、バリの伝統建築の雰囲気で気持ちの良い空間でした。

そして、トレーニングする重量をデジタルで設定するという、これまで見たことがない器具もあって、興味深かったです。

デジタル表示の器具

走ったりするのには十分ですが、鍛えるには少し器具が物足りないと思いました。

しかしジムの建築はスマートで、ブルガリのジム、というステータス感が感じられるものでした。

建築がもたらすステータスとリテール

チェックイン前にバギーで施設案内をしてもらった時に一番気になったのが、2棟が対になって建てられた建物でした。

対になった建物

階段を登った奥のアクティビティセンターの建築とともに、威厳のある空間になっていました。

その対の建物はブルガリのジュエリーショップと、通常のホテルショップで、ブルガリのブランドならではのリテールの充実さでした。

ホテルショップ(左)とジュエリーショップ(右)

ジュエリーショップはまさにブルガリの指輪などが並び、ホテルショップの方はブルガリのロゴが入った食器や、洋服などが売っていました。

漆黒のダイニングで味わう朝食

朝食は、プールバーの隣にある「Sangkar Restaurant」というオールデイダイニングで頂きました。

レストラン外観

利用している人が少ないと思っていると、ヴィラで朝食をとっている人も多いのだそうです。

アラカルト形式なので、注文してヴィラまで持ってきてもらい、オープンエアのリビングで食事するのも十分楽しいだろうなと思いました。今回は1泊しかなかったので、レストランでの朝食にしました。

内装は漆黒、という印象で、黒い内装は外の光が反射して、ボヤッとしてしまっていたのは少し残念でした。黒を使うのは難しいなと実感しました。

レストランの内観

席は屋内とテラス席が選べます。

朝食は基本的なセットメニューとアラカルトを自由に選ぶことができ、ブルガリブレックファースト、というものがあったのでそれを注文しました。

ブルガリブレックファースト

フルーツやサラダ、ミューズリー、ケーキなど、どれも最高に美味しくて、さすがブルガリだと実感しました。

ほかのメニューも、全て舌鼓を打つほど美味しく虜になりました。

バリで行ったホテルの中で最も美味しかったのは、ここブルガリでした。それだけの宿泊費ではあるのですが。

クリフフロントという希少性の考察

このホテルの敷地は崖に面して立っているという特徴を持ちます。

崖の前なのでクリフフロントと呼びますが、とても希少な敷地です。

海に面した敷地が限られるように、さらに崖という特徴を持った敷地はより限られます。

さらに、法的な制限によってもその希少価値が上がっています。

それはセットバック規制というものです。海岸線から100mは保護区域として開発が制限されているのです。

また、グリーンゾーンという農業保全地域の指定が強化されており、ホテル開発がより難しくなっているという背景もあります。

日本で言うと自然公園法や森林法のような規制だと思われます。

そしてインドネシアでその法律が制定されたのが2007年です。

ブルガリが開業したのが2006年のため、規制がかかる前の開発計画ということで海岸線からも近い崖のギリギリに建てるということが可能でした。

海岸線と崖の傍で立つ部分もある

つまり現在は、同じような条件でホテルを作ることができないということになります。

試しに近隣事例を見てみました。

近隣ホテル事例
Six Senses Uluwatu, Bali :2018年開業
Alila Villas Uluwatu:2009年開業
Umana Bali, LXR Hotels & Resorts:2023年開業

これらはブルガリと同様崖上に建っていますが、確かに海岸から100mセットバックしているようにも見えました。

おわりに「クワイエットラグジュアリーの体現」

以上、Bvlgari Resort Baliの紹介でした。

バリ一の高級ホテルからは学ぶことがたくさんありました。

超一流の経験をすることで、その体験をもとに自分の想像の幅を広げられるというのは建築士だからこその意見だと思いますが、身銭を切って体験してみることの大切さを知りました。

「さすがブルガリ」と思う部分もありましたし、課題に感じることもありました。

このホテルが体現していたのは「クワイエット・ラグジュアリー」そのものでした。

現代では一般的なキーワードですが、2006年にその価値観を作り出していたということに感銘を受けました。

それにしても、滞在中に専属バトラーがつくというのは少々緊張するものでした。

Bvlgari Resort Bali 建物概要
所在地:Jl. Goa Lempeh, Pecatu, Kec. Kuta Sel., Kabupaten Badung, Bali, Indonesia
敷地面積:約8.4ha
設計:ACPV ARCHITECTS
インテリア:ACPV ARCHITECTS
ランドスケープ:Made Wijaya
客室数:64室(ヴィラ59 + マンション5)
開業:2006年

※本文で載せきれなかった写真も、以下に載せておきたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました