はじめに「Airbnbで豪華タワマンに宿泊」
2023年にマレーシアのクアラルンプールに行ってきました。
マレーシアは日本人にも人気の国で、その魅力の一つが物価が安いということにあると思います。
旅行者にとってもそれは大きなメリットであり、安く良いホテルに泊まることができます。
ホテルに泊まるのもいいですが、クアラルンプールでは多くのサービスアパートメントが存在し、Airbnbなどで予約し宿泊できるというのが特徴です。
私は建築の仕事に携わっているため、マレーシアの超高層マンションがどのように作られているのか、というのが非常に気になります。
サービスアパートメントの供給はまだまだ続く
クアラルンプールには超高層のビルやコンドミニアム、サービスアパートメントがたくさんあります。
ですが、まだまだ建設ラッシュは続いています。街中ではサービスアパートメントの販売広告がたくさん見られます。
サービスアパートメントの特徴としては、例えば下記のものがあります。
・部屋の清掃などのサービスが受けられること
・部屋に家具が備え付けであること
クアラルンプールのサービスアパートメントは購入できるものが多いため、販売広告にも力が入れられており、豪華な共用部や住戸の家具を含めた内装デザインで差別化を図っています。
南国的な半屋外のエントランス
宿泊したサービスアパートメント、Expressionz KLCC by Wodagesにはタクシーを使って行きました。
エントランス前には、しっかりと屋根付きのロータリーが設けられています。
エントランスは半屋外空間であることが印象的でした。
また、半屋外なので空調はかかっておらず、その考え方は南国っぽいなと思いました。
エントランスは派手目なデザインで、中央にコンシェルジュカウンターがあります。
同じ一階には他にチェックインカウンターやコンビニもあります。
質素な共用廊下を通って客室へ
チェックイン時にセキュリティカードをもらい、エレベーターホール、エレベーター、玄関とそれぞれセキュリティラインを通っていきました。
1階のエントランスやエレベーターホールは豪華なのですが、客室フロアに着くと途端に質素になります。
共用廊下は単なる白塗装で、ここでコストダウンをしているのだと分かります。
ただ、もう少しデザインしてはどうかと思ってしまう部分もあります。
廊下は空調はありませんが、換気窓が開けられていました。
外の空気が入ってくるとそこは屋外廊下のような気分でした。
また、客室の玄関扉も質素でした。
ペトロナスツインタワービューの88m2の部屋
今回宿泊した客室は2 Bedroomの部屋で、広さは88m2ありました。
玄関扉を開けるとまずリビングダイニングが広がります。
日本のように仕切られた玄関土間がないというのが特徴的です。
リビングの奥に窓があります。建物の前が低層住宅が広がっているので、視界が開けています。
また、クアラルンプールの名観光地であるペトロナスツインタワーも部屋から望むことができます。
天井が高かったので測ってみると3.0mありました。これは非常に贅沢な作りです。
内装はそこまで高級感はありませんでしたが、アットホーム感があり過ごしやすかったです。
泊まった部屋は角部屋だったので、窓が多く開放的でした。
部屋には2つの寝室があります。
まず一つ目はシングルベッドが置かれた寝室(Bedroom)です。
備え付けのクローゼットもありました。
窓は天井まであるので明るく、開放感もありました。
そして主寝室(Master Bedroom)です。
主寝室は建物の角部分にあるので2面採光の部屋でした。
また、主寝室にバスルームが併設していました。
主寝室のバスルームはとても豪華でした。
シャワーブースは2段ほどステップを下がった位置にあり、そして大きな窓がありました。
トイレは洗面台を挟んで反対側にあります。
マレーシアでは一般的ではあるのですが、手動ウォシュレットだったのは少々残念でした。
バスルームは廊下に面したところにもう一つありますが、主寝室のものと比較すると狭く閉鎖的でした。
部屋の窓は基本的に換気できるようになっています。
多少開放制限はかかっているのですが、それでも20cmほどは開きました。
日本だと安全性の理由から超高層の建物でここまでは開くようにしないです。
窓から下を見るとかなり高層であることを実感しました。
それと同時に外壁の吹付塗装も間近で見ることができました。
ちなみにこれだけ広い部屋で、購入するといくらするのだろうかと気になり調べてみました。
今回宿泊した住戸の間取りは下図の通りです。
同じ間取りで販売中のものを見つけました。日本円にして4,500万円くらいでした。
坪単価で表すと坪170万ほどです。とんでもなく安いです。東京だと普通に3倍くらいはします。
高級ホテル顔負けの開放的なプール
このサービスアパートメントはA棟、B棟の2棟構成となっています。
規模の大きな建物なので共用部も充実しています。
マレーシアは一年を通して暖かい(暑い)気候なので共用施設としてプールが設けられていることが多いです。
この建物には全部で3つのプールがあります。
8階に一つとA棟・B棟それぞれの最上階に一つずつあります。
最上階のプールは使用しようとした際に運が悪く悪天候で使用できなかったので8階のプールを紹介します。
8階と言っても日本とは違い結構な高さがあり、そして周辺は開けているのでとても開放的なプールでした。
建物の屋上にあるプールとしてはマリーナ・ベイ・サンズが有名ですが、それに近い優雅さを味わうことができました。
部分的に子供用のゾーンも設けられているので、小さな子供も遊ぶことができます。
プールは8階にありますが、その真下は駐車場になっていました。万が一漏水しても被害は少なそうです。
穴場の21階ビジネスラウンジ
建物の21階にはビジネスラウンジがあります。
その名の如く、ビジネスシーンで利用可能な大きな会議室も設けられています。
また、その際の多くの人の受け皿となりうる屋外テラスにソファに置かれています。
それはとても贅沢なのですが、ここに宿泊する人でビジネス利用の人がいるようには思えず、人っ気の無いフロアは不気味さすらありました。
避難階段の考え方が少し違う平面計画
建築計画的な視点で平面計画を見てみます。
各階にある避難経路図と、公開されている平面図を見てみます。
日本でこういった建物を計画する時と近い平面計画のように見えますが、避難階段の考え方が異なりそうです。
気になったので実際に避難階段を見てみました。
まず一つ目は特別避難階段仕様の階段です。
階段の前に前室(附室)が設けられています。
覗いてみると非常用エレベータや排煙口(給気口かもしれないですが、微妙な高さに設置してありました)も前室の中にありました。
さらにはゴミ置場への扉もありました。
二つ目は屋外階段的な仕様の階段です。
先ほどと違って前室もなく、階段の壁面の一面が開放されているのが特徴的です。
一面開放ですが、これは日本で言う屋外避難階段のような扱いなのかもしれません。
また、階段はいつでも使えるようセキュリティはかかっていませんでしたし、マレーシアではそのような運用の階段が多かったです。
日本では防犯と安全の観点から避難階段は通常使えないように何かしらの施錠がされているところがほとんどです。
おわりに「優雅に過ごせるクアラルンプール」
以上、クアラルンプールにあるサービスアパートメント、Expressionz KLCC by Wodagesの紹介でした。
サービスアパートメントは基本的に部屋が広いので、旅行で宿泊するととても優雅な気持ちになれると思います。
マレーシアでは日本とは違った価値観を感じることができます。この記事が何かの参考になれば幸いです。
【Expressionz KLCC by Wodages 物件概要】
階数:地上48階・38階、地下2階
住戸数:447戸
竣工:2018年
建築主:One One Eight Housing Development Sdn Bhd (A member of Exsim Group of Companies)