はじめに「湾岸エリアの眺望を味わえるホテル」
三井ガーデンホテル豊洲プレミアに宿泊してきました。大浴場があり、そして高層階からの眺めが良いホテルとして、オープンしてから行きたいと思っていた場所です。
三井ガーデンホテルはアッパーミドルクラスのホテルとして、魅力的な共用施設があったり、こだわりのあるインテリアデザインが見られるため、建築士としても見応えのあるホテルです。
それでは紹介して行きたいと思います。
・マンションデベロッパーが開発するホテルに建築士が宿泊|HOTEL THE LEBEN OSAKA←建築士としての視点で細かく紹介しています。
・地上200mのツインタワーにある皇居前のラグジュアリーホテル|フォーシーズンズホテル東京大手町←豪華な共用施設を細かく紹介しています。
期待感を生み出すアプローチの演出
三井ガーデン豊洲プレミアは、豊洲ベイサイドクロスタワーという建物の33〜36階部分に入居するホテルです。
ららぽーとも入居している建物で、2階のデッキで駅側からアクセスすることができます。
2階にはオフィスエントランスもあるのですが、ホテルのエントランスは地下1階か1階からとなります。
建物のフロア構成は以下の通りです。ホテルはオフィスの上部分に入居しています。
そして、ホテル部分のフロア構成は以下の通りです。
※オフィスからホテルに用途が切り替わるため、ホテルフロア直下が構造切替階となっており、アクティブ・マス・ダンパーが設置されています。
1階からエントランスに入ると、長いアプローチがあるのですが、アートによる演出がされています。
魅力的に感じたのが今村知佐さんによるアート「波紋」です。波紋状に広がる照明によって、床が照らされています。
そうしてアプローチを進んでいくと、十分な広さを有したエレベーターホールがあります。
ホテルロビーへ向かうエレベーターは3基あるので、待ち時間は気になりませんでした。
エレベーターに乗り36階に着くと、再びおもてなしの空間が訪れます。
エレベーターホールにはアートが置かれ、ロビーへの自動ドアを開けたと思うと、また長いアプローチが現れました。その先にやっとロビーがありました。
大パノラマの36階ロビー
ロビーは36階にあることを生かした眺めの良さ、明るさがありました。
そして広い空間の中には待合のソファやバーカウンターがありました。
外の空気を吸いたいと思えばテラスに出ることもできます。
ホテルに宿泊しない人でも、レストランの食事の後にリフレッシュしにテラスに行く、そんな利用の仕方があるかもしれません。
同じ36階には宿泊者専用の大浴場も備えられています。
大浴場は内湯と露天風呂があり、天井高が高いこともあって開放的に感じられる大浴場です。
更衣室も清潔かつデザインされているので、ラグジュアリーホテルとも遜色ないように感じました。
宿泊者はロビーから専用エレベーターホールへ向かいます。ここにはセキュリティがかかっていました。
やはりこのエレベーターホールも天井が高く、ラグジュアリー感がありました。
天井が高いのは36階がロビー階ということが理由にあります。
マンションでもオフィスでもそうですが、エントランスというのはその建物の顔でもあるので、存在感を示すために階高は上げられるのです。
今回はそのロビー階の階高の恩恵を受けて、大浴場もエレベーターホールも天井がかなり高くなっています。
スーペリアクイーンの部屋に宿泊
今回宿泊したのは35階にあるスーペリアクイーンの部屋(22.4㎡)です。
エレベーターで35階に到着すると、波打ち際を彷彿とさせるようなカーペットが目に止まりました。
共用廊下の内装は高級分譲マンションのようで、突き当たりには窓があったり、中庭があるため外の光が入ってきているのが環境的に良いと思いました。
中庭があるのは客室数を増やすという建築計画的な面が理由にあると考えられますが、地上から高く離れたところでも中庭の緑を楽しめる計画というのはいいなと思いました。
ちなみに平面計画は下図の通りです。
フットプリントが大きいだけに、外周部に部屋を配置するだけでは中央部分が余ってしまうことが分かります。
バックヤードや設備室としても限度があるので、中庭を作り、その中庭に面した客室を作ったというのが設計の流れだと考えられます。
次に客室を紹介します。
客室はコンパクトながら、大開口の窓からは海も見え眺望が良かったです。そのため狭さを感じにくかったです。
客室の間取りは下図の通りでした。
客室は玄関の先に廊下、その両側に収納と水廻り、奥に寝室という構成でした。
水廻りはトイレ・洗面・浴室の3点ユニットとなっていました。
アッパーミドルクラスのホテルなので、トイレは分けた方が良いように思いました。大浴場もあるので客室には浴槽は置かず、シャワーのみでもいいかもしれないと勝手に考えておりました。
収納の横にはミニバーが置かれていました。下段に冷蔵庫があります。
寝室はその眺めの良さを生かした家具配置がされており、窓際にテーブルとソファがありました。
窓台にも奥行きがあるので、そこに腰掛けたり、ちょっとしたものを置いたりできました。
ベッド周りも細かくデザインされており、ベッドの両側にはカウンターと作りつけの充電ポート、読書灯がありました。
ベッドボード裏は間接照明が仕込めれているため、インテリアの一体感がありました。
床のカーペットはムラ感のダークグレーの色感で、都会的な印象を受けました。
おわりに「デザインの勉強」
以上、三井ガーデンホテル豊洲プレミアの紹介でした。
高層ビルの上層階に入居するホテルは多いですが、この場所は特に周囲が開けていて眺めが気持ちよかったです。
建物の足元部分は広々と歩行者空間が設けられていて、歩きやすい空間でした。
住所:東京都江東区豊洲2-2-1
用途:ホテル、事務所、店舗など
建築主:三井不動産
設計:大成建設
デザイン監修:光井純アンドアソシエーツ
監理:日建設計
施工:大成建設
敷地面積:19,127.66㎡
延床面積:184,807.64㎡
容積率:813.46%
構造:S造、一部SRC造、RC造
階数:地上36階、地下2階
最高高さ:177.51m
客室数:225室
竣工:2020年10月
※三井ガーデンホテル豊洲プレミアの入る、豊洲ベイサイドクロスタワーは近代建築2021年3月号でも紹介されておりますので、詳しく知りたい方に向けてURLを載せておきます。
【近代建築HP】https://kindaikenchiku.meclib.jp/2103kindai/book/#target/page_no=5