建築士の視点でパナマシティを調査|パナマ建築旅

建築士の視点でパナマシティを調査|パナマ建築旅

はじめに「高層ビルが多いパナマ」

中米の国、パナマへ行ってきました。それまでパナマと聞いて思い浮かぶのは、パナマ運河やタックスヘイブンくらいでしたが、行ってみるとより興味深くなりました。

首都であるパナマシティには高層ビルが多く、その一方で大自然が身近に感じられるという二面性があることも特徴的でした

今回はパナマに行って感じたことを、建築視点で紹介していきたいと思います。

【パナマ基本情報】

国名:パナマ共和国
言語:スペイン語←中南米はほぼスペイン語です
通貨:バルボア(=USドル)←USドルだけで旅行できました
国土:75,520km² ←日本の1/5くらいの国土です
人口:430万人

高層ビルが立ち並ぶ都市

街中には高層ビルがたくさんあります。オフィスもありますが、高層マンションが多いです。その階数は30階以上あるものばかりで、超高層と言っていい高さのものが多い印象でした。

正直、それらの建物の外観デザインはそこまで魅力的ではありませんでした。建物の上と下でデザインがバラバラだったりするからです。急にバルコニー部分にボリュームがボコッと出てきたりするのです。

デザイン要素が散らばった外観

パナマシティは、高層マンションでも結構古いものが多いような印象ですが、ガラス張りの建物もあります。そのガラスのほとんどは青で、青いガラスを使った建物がパナマシティには多かったです。

アパートメントに現れる建物の特徴

次に、街を観察していて気がついたことを紹介したいと思います。


基壇部デザイン

パナマは狭いながらも土地があって、まだまだ高層ビルの開発がされそうな雰囲気がありました。そして、このように敷地に余裕のある都市では、建物の駐車場は低層部に自走式で設けられていることが多いです

そうすると駐車場としてのマッシブなボリュームが都市に圧迫感を与えます。その圧迫感を緩和し、さらに上部のデザインと一体感をとるのが望ましいですが、パナマの低層部はただ四角い箱がありデザインされていないように思いました。

マッシブな印象を与える基壇部の駐車場

比較事例として、クアラルンプールが良い事例です。クアラルンプールも同じように基壇部に駐車場がある建物が多いのですが、それを建物の個性とするための様々なデザインが見られます。

【事例】駐車場の基壇部もデザインされた、クアラルンプールのサービスレジデンス“Arte Mont Kiara”

換気窓を設ける

今回パナマの滞在中に泊まったのは、高層マンションの一室でした。地上30階ほどある建物の28階部分だったので、街を見渡せるくらい高かったです。

その部屋で驚いたのが、キッチンとバスルームに換気窓が付いていたという点です。それは日本の高層マンションではなかなか見られない特徴です。

換気用の小窓が付いている例

なぜかと言うと、日本では同じフロアに何住戸も詰め込むため、外部に面するところはリビングや寝室のみといった具合で、バスルームは無窓であることが普通です。

水廻りに窓が付いていたのは、宿泊したマンションの1フロアに4住戸しかなく、全て角部屋だったということもあります。しかし、街の高層マンションを見ても、やはり換気窓と思われる小窓が設けられているのです。

それぞれの窓を開けておくと、部屋中に風が通ってとても気持ちが良かったです。パナマは年中暑い国でもあるので、風を通すということをより重要視しているのだと思います。これはパナマで見つけた良い点でした。

窓がたくさんあり、風の通りが良い

バルコニーも室内にしてしまう

街中で多く見られたのが、バルコニーを改造して部屋にしているケースです。バルコニーだとあまり使わず勿体無いから部屋にしてしまおうという発想だと思います。

日本だと建築基準法違反で出来ませんが、パナマではたくさん見られました。そういえば台湾の古い建物でも度々見られたことを思い出しました。

仮に日本で同じようにしようとすると、バルコニーにある雨樋が上下階と繋がっているため、隠すなりする必要がありますが、パナマのそういったバルコニーを見てみると、樋がありませんでした。

泊まったマンションのバルコニーにも樋は無く、大胆なことをするなと思いました。バルコニーに水が溜まってもすぐ乾くから問題ないという発想なのかもしれません。

パナマを代表する高層建築

パナマにはアイコニックな高層ビルが2つあります。F&FタワーJWマリオットパナマ(旧:トランプインターナショナルホテル)です。

F&Fタワー
JWマリオットパナマ(旧:トランプインターナショナルホテル)【写真中央左】

F&Fタワーは、渦を巻くように1層毎に平面を回転させているのが特徴的です。その上下階のずれによって生まれた屋根部分にテラスを設けています。ここはオフィスビルですが、各階に外に出られる場所があるというのはすごくいいなと思いました

ニューヨークにある、BIGが設計したThe spiralを見た時も感じましたが、高層ビルでも各階で外の空気を味わえるようにするというのは、働く人を考えると大事な視点かもしれません。

【事例】ニューヨークのオフィスビル”The spiral”

そして、JWマリオットパナマの上部はヨットのような形をしているのが特徴的です。横浜のインターコンチネンタルホテルを思い出します。

内側は中廊下になっているようで、中央のコアにあるエレベーターが上下する様子は街の遠くからでも見えて面白かったです。

パナマには高層ビルが多いだけに、有名建築家による高層ビルが今後出てきてもいいのではないかと思いました。

高層ビル群の先に進むと現れるプライベートアイランド

先ほど紹介したJWマリオットパナマがある高層ビル群を抜けると、島に続いた道が現れました。進んでみるとゲートがあり、門番にそこから先は入れないと言われました。

プライベートアイランドへの道
セキュリティゲート

ここは住民専用のプライベートアイランドなのです。3階建程度のラグジュアリーな低層住宅がゆとりを持って並んでいました。

低層の建物が並ぶ島

一般の人はその島に入れないという試みは面白いなと思いました。ただし、そのラグジュアリーな島に至るまでの街の清潔感が正直言って無く、少し残念に思ってしまいました。

島に至るまでに通る道
プライベートアイランドの広告

おわりに「まだまだ魅力の溢れる国」

以上、パナマの建築を見て感じたことを紹介しました。世界中にある高層ビルの中でも、パナマの建物にはパナマらしさが現れていたりして面白いです。

パナマは割と最近隆起して出来上がった若い大陸で、地理的に南米と北米を繋いだ場所でもあります。そして、山を切り開いてパナマ運河が整備され、貿易上重要なポイントであったりして、とても興味深く魅力の溢れる国なのです。今回は建築視点でのパナマの紹介でした。

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