ロンドンの街を歩いて見るフォスター建築6つ《イギリス旅》

建築

はじめに

イギリスのロンドンに行ってきたので、その中で見たノーマン・フォスターの設計した建物と橋を紹介します。

「イギリスと言えばフォスター」というくらいの建築家ですが、作品も至る所で見ることが出来ます。フォスターらしい現代建築が、ロンドンの街中でどう影響を与えているのかというのは見ものです。

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ロンドン市庁舎(City Hall)

ロンドン市庁舎は2002年に竣工しました。ロンドンを東西に横断するテムズ川の南に位置しており、近くにはタワーブリッジがあります。

この建物の特徴は建物頂部に向かって螺旋状に上がっていけるところです。ですがいつでも頂部まで登れるわけではないようで、今回行った時は2階の議場までしか行けませんでした。

構造の特徴としては建物が南側に傾いていることです。この傾きには理由があり、このようにすることで直射日光にさらされる面積を最小化でき、エネルギー効率を高めようとしています。

フォスターは現代建築に対して持続可能性を重視しているので、このように環境に対するアプローチが形として現れています。

30セント・メリー・アクス(30 St Mary Axe)

30セント・メリー・アクスは2004年に竣工しました。ガーキン(きゅうり)の愛称で親しまれていますが、遠くから見ても金融街の高層ビルの中で目立つ建物です。

この建物の構造の特徴は、まずこの先端が窄んだ円柱という形です。この形はビル風を考慮した形になっています。そして外観に現れる三角格子が構造体になっています。

このように外側に構造体があるので、内部は柱を必要としない執務フロアが作られています。

足元はその構造体にセットバックして壁が設けられていて、建物沿いを一周できるようになっていました。そこにはレストランが面していました。

そして屋上は休憩やミーティングで使えるスペースのようですが、オフィスなので一般の人は中に入ることはできませんでした。

大英博物館(The British Museum)

大英博物館の建物のメイン部分はSir Robert Smirkeによって設計され、1852年に完成しました。

その後メッシュ状のドームである「グレート・コート」はフォスターによって設計され、2000年にオープンしました。

もともとこの部分は庭園として作られたものが、書庫によって埋め尽くされていき、その本が大英図書館に移動されるというのを契機に新たなスペースとして活用されうるべくリニューアルされました。

ここで新しく大屋根がかけられたのも中央にある円柱の読書部屋等の既存建物に対しての直射日光を避けるためでもあります。

そして屋根を構成するスティールのメッシュは長さの異なる建物間のスパンに対応できるようにするためそのようになっています。

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カナリー・ワーフ駅(Canary Wharf Underground Staion)

カナリーワーフ駅は1999年に竣工しました。高層ビルが建ち並び、蛇行するテムズ川に挟まれたエリアで、多くの人が利用する駅となっています。

エントランスは全部で3つあり、それぞれのエントランスはガラスのアーチ屋根から地下へと光を届けます。

地上からは透明なアーチに誘われるように、地下からは光に誘われるような体験ができます。地下はRCの打ち放し仕上げで、かつ簡潔な内部空間になっています。

クロスレール・プレイス(Crossrail Place)

クロスレール・プレイスはカナリー・ワーフ駅(地下鉄)のすぐ北側にあります。この場所は新駅舎として作られました。

2019年12月に開通予定で、カナリーワーフ、ロンドンの中心市街、ヒースロー空港を繋ぐ路線となるようです。

その駅舎の基壇部には商業施設が多数入っており、さらには屋上庭園があります。この屋上庭園は木造集成材のシェルになっています。

その集成材はトラスに組まれていて、ETFEによって部分的に覆われています。

ETFE高性能フッ素樹脂のことで、耐久性があることや白濁しにくいことが特徴です。

そのETFEは2重のフィルムになっていて、その間に空気を送り込みさらに断熱・遮熱性能を上げるクッション形式を採用しています。屋上庭園からでもその空気を送るためのチューブは見られました。

またETFEの屋根がかかるところとかからない雨ざらしのところがあり、晴れた日は爽快に散歩ができ、雨の日は植栽が恩恵を授かれるようになっていました。

ミレニアムブリッジ(Millennium Bridge)

ミレニアムブリッジは2000年に開通しました。この橋は開通当初多くの人が集まることで共振が起こってしまい、一時封鎖されたことで有名です。

その後、横揺れ対策として橋桁の下にダンパーが設けられ、再び開通しました。

構造の特徴としてはスリムで細い線でできているということです。Y字型の主塔は背が低く、そこには8本のメインケーブルが接続されています。

それらは一瞬桁橋かと思うほど低い位置につけられていますが、これはフォスターが橋からの視界を邪魔しないようにと設計したためです。

また橋の北側にはセントポール大聖堂、南側にはテートモダンがありロンドンの主要観光地を繋いでいます。

おわりに

ロンドンで見たフォスター建築はどれも新たな現代的デザインに挑戦している印象でした。ですが大英博物館のように既存を強く意識したものや、カナリーワーフ駅のようにシンボル的かつ簡潔に設計したりと、ひとつひとつを抽出してみるとコンテクストを正確に読んでいるように思いました。

建築界のフォスターブランドが強く感じられたロンドンでの建築めぐりでした。

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