なまこ壁の折衷意匠「大和文華館」

建築

大和文華館の設計は吉田五十八さんです。敷地は奈良にある蛙股池(かつらまたいけ)というため池に面して建っています。

蛙股池は日本最古のため池と呼ばれているそうなのですが、行った時は干潟のようになっていて水は所々しか張られていませんでした。もしかしたら平成30年7月豪雨の影響があるのかもしれないと思いました。

外壁は日本の伝統のなまこ壁です。その網状の材料は平瓦に漆喰が塗られたものとなっています。

その間に青緑のタイルが敷き詰められていて、遠くからの印象は北欧的な色使いでした。ただ意匠は和的な屋根と梁があるので日本的なモダニズムさを感じました。

裏手に回ってみると大胆に打ち放しの梁とスラブが見られます。1960年に建てられその後耐震改修されていますが、躯体は当時のままの状態が見られます。

そのころのRCは型枠で杉板が使われているからコンクリートが有機的で迫力があります。それに比較すると現代のものは綺麗すぎます。

現在はグラフィックコンクリートという打設時に表面に模様をプリントできる打放しの技術がありますが、実際に見たときは杉板型枠のものより「近さ」を感じなかったです。完全に工業的なものになっていると言っていいのかもしれません。

内部は写真撮影が禁止でしたが、天井の木製の梁や障子など、「和」の印象が強かったです。また展示室には7m×8mくらいの中庭が設けられていて、竹が植えられています。通常自然を感じられない展示空間に緑があると安らぎます。

大和文華館はその庭園自体も様々な植物が植えられていて楽しめます。また、敷地内に辰野金吾の奈良ホテルのラウンジが移築されていました。

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