さんかくの建物に沿った展示空間「坂の上の雲ミュージアム」

建築

はじめに「建築家・安藤忠雄の設計」

坂の上の雲ミュージアム

愛媛県松山市にある坂の上の雲ミュージアムを紹介します。設計は安藤忠雄さんです。三角形のエッジの効いたガラス張りの外観と建物内外を回るスロープが特徴的な建物です。

大阪には「坂の上の雲」の作者、司馬遼太郎さんの記念館があり、その設計を安藤さんが担当したことがきっかけでこのミュージアムの設計も決まったようです。

司馬遼太郎記念館が曲面の外壁で受動的に周辺環境を取り込むのに対して、こちらは建物側が能動的に周囲に働きかけるようです。

その理由として壁が外側に5度傾いているということが挙げられると思います。5度だけでも人間の身体感覚には結構働きかけてくるものだと感じました。

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建物内の「さんかく」

東京の日比谷図書文化館のような三角形の外壁に沿って、エントランスへスロープが設けられています。エントランスホールに入ると3層の吹き抜けの空間になっていて、横や上から外の光が降り注ぎます。

その吹き抜けには空中に浮遊したような階段があり、展示を見終わったクライマックスとしてその階段を下るようになっています。

展示を見る順路は内部にも設けられた三角形の壁に沿ってスロープを歩き、外側のガラス面に面した展示を見たり、内側の三角形の壁の中に入ったりします。

「さんかく」を内側に感じ、外側に感じ、と三角形の縁取りを生かした展示のバリエーションを展開していて面白いです。

よくよく見てみると床タイルも三角形になっているのです。床タイルは花崗岩のジェットバーナー仕上げで滑り止め効果があります。

花崗岩ということで外部テラスにも同じものが使われているのですが、通常テラスは安全上開放していないとのことで、眺めがいいところだったため残念でした。

おわりに「坂の上の雲」

司馬遼太郎さんの作品「坂の上の雲」は主に明治時代に生きた3人、正岡子規・秋山真之・秋山好古を中心に描かれています。

展示を見ることで日本が近代国家として形成されていく様子が伝わっていきます。日本に生まれた身分として少なくとも自国の歴史は押さえておかなくてはと思いました。

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