吾妻橋エリアのマンションを建築視点で考察|墨田区まちあるき

まち

はじめに「墨田区のマンションを観察」

今回は東京都墨田区の吾妻橋地域を歩き、その中で発見したマンションについて紹介していきたいと思います。

吾妻橋地域というのは墨田区で区分されるエリアで、下図の薄いオレンジ色の部分です。

【参照】https://www.city.sumida.lg.jp/matizukuri/matizukuri_map/index.html

墨田区はスカイツリーがある街ですが、その周囲はどのような街並みが広がっているのか観察してきました。

※この記事では、建築士という視点を活かした角度から、歩いていて出会ったマンションについて紹介していきたいと思います。

クレストコート本所吾妻橋

クレストコート本所吾妻橋は、住友商事・住商建物が開発した賃貸マンションです。

外観は現代的なデザインになっています。

賃貸マンションでは珍しく、ホームページを持っている物件ですので、入居を検討している人にとっては嬉しいと思います。

例えば下図のように、分譲マンションのような間取りを見ることもできます。

【参照】https://www.crest-court.com/honjoazumabashi/

バリアフリー駐車場に目が行ったのですが、誘導標識をかなり丁寧に書いていました。

丁寧に描かれたバリアフリー標識

この図面を見ると屋内消火栓のポンプ室が1階にあるようですが、スプリンクラーのポンプ室はないので、パッケージ型を使っているのかもしれません。

物件概要

用途:賃貸マンション
竣工:20231
階数:地上12
総戸数:73
延床面積:3,281.17m2
用途地域:商業地域
指定容積率:400%500%
高度地区:最低限高度地区、35m高度地区
事業主:住友商事・住商建物
設計:秀コーポレーション
施工:リンク・トラスト
所在地:墨田区吾妻橋3-2-7

プラウドフラット本所吾妻橋

プラウドフラット本所吾妻橋は、野村不動産が開発したマンションです。

プラウドシリーズは分譲マンションで有名ですが、プラウドフラットは賃貸シリーズになります。

外観の特徴としては、低層バルコニーはコンクリート打放しで、中高層はフレームで囲ったガラス手すりのデザインです。

建築計画的な視点ですが、バルコニーの両サイドは天空率により削れていると思われます。この敷地だったらこのような建物形状になるのは納得がいきます。

また、敷地は商業地域のエリアなのですが、9階建なのは28mの高さ制限がかかっているからのようです。

物件概要

用途:賃貸マンション
竣工:2021年6月
階数:地上9階
総戸数:99戸
延床面積:
用途地域:商業地域
指定容積率:400%
高度地区:28m高度地区
事業主:野村不動産
所在地:墨田区東駒形4-23-3

ルネサンスコート本所吾妻橋

ルネサンスコート本所吾妻橋は、新日本建物によって開発された賃貸マンションです。

ルネサンスコートのシリーズは資産運用型マンションとして位置付けられています。

用途地域は、丁度この建物の北側にある道路から南側で準工業地域になります。北側は商業地域です。

調べてみると、ここは準工業地域ですが日影規制がないです。

しかし、22mの高さ制限により建物ボリュームが制限されています。

22mの高さ制限がかかっている

外観の特徴は、バルコニーをフレームで構成しているところです。

バルコニー手すりはガラスですが、フィルムの色を変えてデザインの変化を表現しています。

また1階に住戸があるため、そこはプライバシーとして目隠しパネルが建てられています。

物件概要

用途:賃貸マンション
竣工:2022年8月
階数: 地上7階
総戸数:18戸
延床面積:608.27m2
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%
高度地区:22m高度地区
事業主:新日本建物
設計:都市環境設計事務所
施工:杉本興業
所在地:墨田区東駒形4-17-6

アルテシモカバロ

アルテシモカバロは、グローバル・リンク・マネジメントの開発する分譲賃貸マンションです。

アルテシモはそのシリーズ名で、投資用のマンションになります。

歩いていて目を引くデザインだなと思いましたし、意外にあるようで無いようなデザインのように思えました。

派手さは出さずに、個性が出てるデザインだと思いました。

敷地形状は南北に細長く、接道が北と西にあるので、屋外階段は建物の中央部分に配置する計画になっています。

そうすると構造的に梁も屋外に出る形になりますが、その部分も色を変えてデザインされていました。

階段と屋外に露出する梁

ここの設計者は他のアルテシモシリーズの設計も手がけており、かなりマンションに慣れた設計事務所のようです。

物件概要

用途:分譲賃貸マンション
竣工:2021年6月
階数:地上8階
総戸数:21戸
延床面積:814.5m2
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%
高度地区:22m高度地区
事業主:グローバル・リンク・マネジメント
設計:畠山建築設計事務所
施工:谷口工務店
所在地:墨田区東駒形4-11-4

S-RESIDENCE本所吾妻橋

S-RESIDENCE本所吾妻橋は、サムティが開発する賃貸マンションです。

※このS-RESIDENCEシリーズはREIT商品となっているようです。

この敷地も高さ制限がかかっており、22m制限なので階数は7階建となっています。

妻側の面は外壁の目地により、大判の板が貼られているような個性的なデザインとなっています。

目地によるデザインがされている妻面

物件概要

用途:賃貸マンション
竣工:2023年1月
階数:地上7階
総戸数:32戸
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%
高度地区:22m高度地区
事業主:サムティ
設計:都市環境設計事務所
施工:小川建設
所在地:墨田区東駒形4-8-3

クレイシア本所吾妻橋

クレイシア本所吾妻橋は、プロパティエージェントの開発する分譲賃貸マンションです。

クレイシアのシリーズは、投資用マンションとして開発されています。

外観デザインはバルコニーに対して縦に貼り付けられた壁が特徴的で、その壁の裏に室外機が天井吊りになっていました。

バルコニーの角は天空率によってカットされていました。

天空率により斜めにカットされたバルコニー

また1階に住戸があると思われますが、バルコニーガラスが高く、目隠しになっていました。

物件情報

用途:分譲賃貸マンション
竣工:2020年3月
階数:地上7階
総戸数:21戸
延床面積:639.15m2
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%
高度地区:22m高度地区
事業主:プロパティエージェント
設計:都市環境設計事務所
施工:スカイフィールドコーポレーション
所在地:墨田区本所4-24-5

プレール・ドゥーク本所吾妻橋III

プレール・ドゥーク本所吾妻橋IIIは、木下不動産により開発された分譲賃貸マンションです。

プレール・ドュークのシリーズは、投資用マンションになります。

本所吾妻橋「III」とあるように、同じ本所吾妻橋地域でもたくさん開発されており、調べてみると「Ⅵ」(20229月に竣工)まであるようです。

敷地はL字の形状で東西に接道しており、22m高さ制限はありますが、日影規制はないエリアです。

天空率の関係か、東側は7階で西側は6階のようです。

少しだけ6階の作りが異なるので、もしかしたら一部オーナー住戸などの特殊仕様なのかもしれません。

西側は上階がセットバックしている。

物件概要

用途:分譲賃貸マンション
竣工:2018年6月
階数:地上7階
総戸数:50戸
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%
高度地区:22m高度地区
事業主:木下不動産
設計:アバント
施工:内野建設
所在地:墨田区本所4-25-8

ヴァースクレイシアIDZ本所吾妻橋

ヴァースクレイシアIDZ本所吾妻橋は、プロパティエージェントの開発する分譲マンションです。

先ほども出てきましたが、クレイシアシリーズは投資用マンションなのに対し、ヴァースクレイシアは居住用マンションのようです。

分譲の専用ホームページがあるので載せておきます。

【HP】https://vc-idz.jp/honjoazumabashi/

外観デザインの監修を、カーサデザイン・コンサルタントが行なっています。

細かいところですが、バルコニーの支柱と手すりで色を変えるデザインにしていました。

デザイナーが入っている外観

この敷地の特徴として、南側と北側で規制が変わってきています。

さらに南側は第3種中高層階住居専用地区もかかっています。

これはざっくりと説明すると、5階以上の部分で住居系・福祉系以外の用途を規制するというものです。

共同住宅は問題なく建てられます。

外観は北側がセットバックしているので日影規制かと思いましたが、日影規制のかからないエリアなので、高度地区の高さ制限の切り替えのためのようです。

敷地北側は高さ制限によりセットバックしている

物件概要

用途:分譲マンション
竣工:2023年3月
階数:地上9階
総戸数:39戸
延床面積:1,602.11m2
用途地域:準工業地域
指定容積率:300%、400%
高度地区:22m高度地区、28m高度地区
事業主:プロパティエージェント
設計:朝倉崇夫都市建築設計事務所
施工:レジテックコーポレーション
所在地:墨田区本所4-23-2

おわりに「本所吾妻橋エリアの考察」

以上、墨田区の本所吾妻橋エリアを歩きながら発見したマンションの紹介でした。

このエリアはほとんどが準工業地域に指定されており、歩いていても町工場が多い印象を受けました。

勝手な考察ですが、町工場のように一定規模の敷地面積を持つ敷地が多いために、マンションの開発もされやすく、また土地は個人の土地であるために投資用不動産としてのマンション建設が多いような気がしました。

そしてこのエリアは日影規制はないですが、高度地区による高さ制限があるので、7階建が多いのは高さ22m制限がかかっているからなのでした。

都市計画的に調べてみると面白く、他のエリアについても調べてみたいと思うようになりました。

かなり視点が偏った記事ですが、少しでも何かの参考になれば幸いです。

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