2018-10

建築

軽快と重厚の双璧「法隆寺宝物館」

はじめに 法隆寺宝物館は東京国立博物館の敷地内にあります。設計は谷口吉生さんです。 入場券を買い、博物館本館を正面にして左手に進んでいくと、水面とともにフレームで囲われた建物が現れます。ふと丸亀の美術館を思い出しました。 アプローチのメタファ アプローチに水面を使うと雑念が取り払われるように思います。「水は時間のメタファー」だと建築家の内藤廣さんは言っていましたが、ここで感じたものがメタファーその...
建築

晴耕雨読のひととき「せとうち美術館」

はじめに「建物と敷地の関係を解く」 今回紹介する香川県立東山魁夷せとうち美術館の設計は、建築家の谷口吉生さんです。 モダニズムの系譜が建物の特徴となっています。モダニズムは世界どこでも共通する価値の元に建築が作られていますが、形の解き方が上手い人がより際立っているように思います。そしてダイナミックさの中に繊細さが含まれています。 建築はやっぱり簡単に解くのが一番親しみやすいです。最近は自分で問題設...
まち

文化が集積する場所《大阪 中之島》

今回は大阪の中之島について紹介したいと思います。 大阪のような複雑化した都市で、中之島のような規模の開放的な場所は一際求心力があるように感じます。 大阪といえば御堂筋を都市計画の基本軸として南北が繋がっているわけですが、 この中之島は御堂筋に直交する形で存在する、川に挟まれた島です。 島と言っても、橋が何本も架かっていて対岸との距離も近く、通過動線に当たるのですが、写真のような対岸の乱雑にビルが立...
建築

骨をうずめたくなる「竹林寺納骨堂」

森の中を抜け、納骨堂と対峙する 本堂を中心に小さく祀られた御堂が散らばる中で、端っこの方に堀部安嗣さんの設計した竹林寺納骨堂はあります。 写真で見るのと体験するスケール感は、全く違ったのが印象的でした。 こういう感覚がやっぱり行って体験しないと分からないところで、実物を見ることが大切なのだと思わされます。 そして森の中の静寂と向き合う時間を短いアプローチで作り出し、洞穴のような少しレベルの下がった...
建築

コンテクストの解読「牧野富太郎記念館」

弧を描く切妻形状の屋根 牧野富太郎記念館を設計したのは内藤廣さんです。 内藤さんといえば切妻屋根のイメージを持つ人が多いようです。 ご本人もそのイメージを持たれていることを自覚しているようですが、「形態は重なる検討の結果であり、形態ありきで作っていないため切妻が多くなっているのはたまたま」と言っていました。 ただ、日本という風土と日本人のDNAに刻まれているものが切妻屋根を安定の形態の象徴と捉えて...
海外

道中の宝庫《ヴェネチア》

最も有名なのがサンマルコ広場だと思います。コの字型に囲まれたこの広場には回廊があり、そこにはお店が連なっています。 外壁のアーチの連続性が力強いです。 回廊はさらに奥の路地とつながり、ここは街の回遊の出発点でもあり、終着点でもあります。 ヴェネチアの街の魅力は、水上都市として親水空間が豊かなこと、街中を流れる用水路のような狭さの川と同じようなスケールで路地が組まれていることにあると思います。 そし...
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