骨をうずめたくなる「竹林寺納骨堂」

建築

森の中を抜け、納骨堂と対峙する

本堂を中心に小さく祀られた御堂が散らばる中で、端っこの方に堀部安嗣さんの設計した竹林寺納骨堂はあります。

写真で見るのと体験するスケール感は、全く違ったのが印象的でした。

こういう感覚がやっぱり行って体験しないと分からないところで、実物を見ることが大切なのだと思わされます。

そして森の中の静寂と向き合う時間を短いアプローチで作り出し、洞穴のような少しレベルの下がった空間に入ることで気持ちの切り替えは十分に可能になります。

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安心感のある構えと重心の低い空間

RCの構造体に木造の屋根が架けられていて安心感のある構えです。

決して自然と一体しているとか、そういう印象ではないのですが、建築で一旦周辺環境と区切りをつけて別空間としながらも、空気や音や風は自然のものそのものが入ってくるという点で、自然の環境を上手く利用しています。

曇っている時に行きましたが、この建物は雨の時が似合いそうだと感じました。

最奥にある囲まれた空間は4畳ほどの広さで、水が張られていて側にベンチがあります。

故人を思うための空間は日常の時間の流れを感じさせないようにすることで安心して思いを巡らせることができます。

それには晴れていたり曇りの時では重心が高すぎるのかもしれません。

雨だったら水面に落ちる水紋と木々の葉にぶつかるその音が重心を下げて、よりよい空間になっているのだろうと感じました。

そういう意味で雨が似合うと思っています。

一度心の奥底と向かい合ったらとことん助長してくれてなかなか抜け出せなくなりそうで、それを味わうのは次回訪れた際の楽しみとすることにしました。

建設中の建物の正体

敷地を出てみると、「平成の大改修」という名目でどうやら別の御堂の建て替え工事をやっているようでした。

近くにいた警備員の方に話を聞いてみると、これも堀部安嗣さんの設計とのことでした。

その方が話していた言葉で印象的だったのが、建築家が設計するような建物は施工が難しいけれど、それが技術者の技能を底上げしてくれるんだよねという言葉です。

このように肯定的に受け止めてくれる人がいると知って嬉しくなり自分の活力にもなりました。

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