文化が集積する場所《大阪 中之島》

まち

今回は大阪の中之島について紹介したいと思います。

大阪のような複雑化した都市で、中之島のような規模の開放的な場所は一際求心力があるように感じます。

大阪といえば御堂筋を都市計画の基本軸として南北が繋がっているわけですが、

この中之島は御堂筋に直交する形で存在する、川に挟まれた島です。

島と言っても、橋が何本も架かっていて対岸との距離も近く、通過動線に当たるのですが、写真のような対岸の乱雑にビルが立ち並ぶ風景とはまた違った様相を示します。

中之島には美術館、図書館、歴史建築物など文化施設が多く立ち並び、このような文化的な情報発信地は集積すると相乗的にパワーを増すように思います。

このような場所が各都市に点在するだけでアイデンティティは確立され、グローバル化させた現代でも残るものの価値がより一層強く感じられるように思います。

場所は変わりますが、先日電車に乗っていた時に、おばあちゃんが娘さんと思われる子に「ここは昔から残っているんだよ」と嬉しそうに語っていたその表情が忘れられません。

それは「残す価値」について強く思った瞬間でした。日本に限らず最近は近代化による開発・更新が進んでいますが、今までに染み込んできた愛着は今後も残していくようにしたいです。

 

閑話休題、中之島にある建物をいくつか紹介します。

こちらは大阪府立中之島図書館です。こちらは近くにある辰野金吾の日本銀行大阪支店と同じくルネッサンス様式の建築です。

外観のイメージは内部において大階段の装飾などでも繋がっていますが、主用途である図書スペース部分は、本棚が味気なくずらりと並び、ひっそりとした印象を受けました。

こちらは大阪市中央公会堂です。こちらもルネッサンス様式が基調ですが、辰野金吾のスタイルが加わっています。

辰野金吾は東京駅の設計で有名ですが、この建物も同じような雰囲気を持ち合わせています。

 

その他にも市役所(設計は日建設計で顧問として村野さんが入っていたそうです)だったり、シーザー・ペリの美術館があったりします。

島という立地によって周辺から切り離されたこれらの文化的軸線は都市の表情をより豊かにするものだと思います。

やっぱり建築は一つで存在するよりプログラムが相互に影響しあって、そしてそれらが同じ方向性を持つとより魅力的になるものだと感じました。

中之島では、安藤忠雄さんが桜の木を植樹するプロジェクトをやっています。

途中で紹介した公会堂も実現こそされませんでしたが、確か安藤さんが耐震改修手法として卵型のコアを中に入れるという、通称アーバンエッグを試みた場所でもあります。

また訪れたくなる空間でした。

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