はじめに
2019年4月に石川県にある金沢海みらい図書館に行ってきました。設計はシーラカンスK&Hです。
金沢駅の21世紀美術館などがある方とは反対側、日本海側にこの図書館はあります。
徒歩では遠く微妙な距離であったので金沢のレンタサイクルを利用し、行ってみました。
穴が作り出す同質のベール
特徴的であるのはその表裏一体な外観です。1階部分には大開口がありますが、ほとんどを約6000個もの小さな穴によって壁が構成されています。
その外壁はGRCにガラスブロックをはめたパンチングウォールとなっています。
近寄ってみると、穴には複数のサイズがありますが、そのサイズは200φ、250φ、300φの3種類から成っています。
その数々の穴が開けられたGRCパネルは横2m×縦4mの大きさで、目地が入っていることがわかります。
その凸型のパネル目地があたかもレゴブロックで作られているようなオモチャ的親しみやすさを醸し出しているようでもありました。
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図書館という空間が持つべきものとは
この金沢海みらい図書館は建築関係の方もよく見学に来られるようで、受付で申請をする事で内部の写真を取ることもできます。
空気感の伝わってくる写真がたくさん撮れたのですが、原則的にインターネットに載せることは出来ないとのことだったので、今回の記事は内部写真は抜きで内部の様子を記します。
(正式に使用許可を取ることもできるようですが、一個人のブログに過ぎないので控えておきました。)
建物は地下1階、地上3階の構成で、鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)です。
1階の受付と児童コーナーの間にある螺旋階段を登ると多くの穴から入ってくる優しい光に包まれた大空間が出現します。
とにかく空気の容量が大きく、視界のほとんどが外壁で埋め尽くされます。その45m×45mの閲覧空間を高さ12mを25本の300φの鉄骨柱と外壁で支えます。
非常にこの空間が心地良く感じたのはその柱が細いということもありますが、柱を細くできるのも外壁が開口だらけに見えて実は鉄骨の構造体をパネルでサンドイッチした合理性も兼ね備えているからというのもあります。
シーラカンスの堀場弘さんは「図書館らしい魅力は大きな空気のボリュームと質感なのではないか」と述べていますが、この図書空間には繊細で優美な質感が広がっているように感じました。
おわりに
内部の写真を載せることはしませんでしたが、実際に体験すると写真で見る以上に独特な質感が伝わってくる図書館でした。
自分が今まで見てきた図書館の中でも指折りの「その空間に居たくなる」ところでした。金沢に行かれる際は是非この図書館の見学をしてみることをお勧めします。