日本と台湾の建築展《2018実構築 in新竹公園》

展示

はじめに「台湾で建築展を見る」

台湾の新竹市にある新竹公園で、日本の建築家の参加する建築展がやっているという情報を入手したので行ってきました。会期は2018/10/20~12/16で、ギリギリ会期内に行くことができました。

新竹公園へ

新竹公園はHSR(高速鉄道)の新竹駅から徒歩5分ほどで着きます。新竹駅のSOGOという百貨店がない側(栄えていない側)にあります。台北から新竹まで電車で行ったのですが、HSRは自由席と指定席の料金差が15元(≒60円)程度なので、気兼ねなく指定席を取りやすいです。

公園の構成は日本にもありそうではありましたが、唯一台湾感があったのはタイワンリスがいたことです。木の上で木の実を齧っていました。

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公園内の屋外展示

公園内には台湾の建築家による屋外展示がありました。すべて自分が中に入ったりして体験できるもので、それぞれの素材が異なっていて面白かったです。しかし中国語が読めないので、設計意図は詳しくは分かりませんでした。

O

8個人的に気に入ったのは「O」というポリカ波板で円形に囲まれ、階段で登ることができる展示物です。ポリカの半透明のレイヤが公園内に溶け込んでいて、木が中に入り込んでいたり風が抜けたり、建物がバラックであるからこその粗雑さが自然に対抗しすぎず良かったです。

台湾の建築

公園内にある「LIVE HOUSE 風」の中で建築展は行われていました。誰でも無料で見ることができたのが嬉しかったです。インテリアには木毛セメント板が使われていて程よく質感がありました。

台湾の建物で気になったのはZhuangwei Duneという丘のような建物です。設計はフィールドオフィスアーキテクツです。実際に見に行ってはいないのですが、台湾の建築というのは日本よりも複雑性を求めているような印象を受けました。日本とは実物としてアウトプットするタイミングが違うのかなと思いました。

日本の建築

やっぱり明確な建物が好きなのかもしれません。内藤廣さんの建物はこの展示会場で一番明確でした。建築は他の何かが入り込む余地があることが大切なのだと思います。簡潔で明確なものはその余地を入りやすくするのに効いてきます。

反対に複雑な形態を求めて建物で完結してしまうと、そこに余地が生まれないためどこか人から離れてしまうのだと思います。安曇野ちひろ美術館海の博物館、そして最近竣工した福井県年縞博物館が展示されていて建物が根を下ろす強さが感じられました。

他にも妹島和世さんの荘銀タクト鶴岡と進行中のSANAAの台中の美術館も展示されていました。

そして平田晃久さんの「ひだ建築」は台湾にも存在する事をここで知りました。その富富話合という建物は写真や模型で見たことはありましたが、懐疑的だったのはコンテクストの解釈が分からなかったからでした。

しかし台北にあるということで見に行ったら上手く解かれていたことが分かりました。ボックスと庇が増殖的に積層しているのですがそれはまさに台湾的スケールで街の路面店が積み重なったような馴染みのあるスケールなのです。

おわりに

展示作品一覧

日本の建築家として妹島さん・内藤さん・平田さんが紹介されていましたが、そのチョイスが海外目線で日本を多角的に上手い具合に捉えているなと思いました。台湾の建築も台湾という国をもっと知ると「らしさ」が分かってくるのだと思います。非常に楽しい展示会でした。

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