建築と沖縄風土との融合「名護市庁舎」

建築

はじめに

名護市庁舎は沖縄の名護市にあります。1981年に完成した建物で、設計は象設計集団アトリエ・モビルです。

沖縄の名建築の一つとしてこの名護市庁舎は挙げられますが、沖縄という地域性を含み、その時代を感じられるこの建物は希少価値の高いものになっています。

那覇市から離れた名護市は少々辺鄙ですが、それもまたローカルさが残されているということになるのだと思います。それでは紹介していきます。

沖縄的建築のかたち

名護市庁舎は建物の全体的にかかるようなパーゴラと、白・ピンクの2色でストライプ状に構成される柱がぱっと見て分かる特徴です。

パーゴラとは日陰棚のことを指しますが、まさに沖縄という風土ですくすくと成長する木のツルが絡まっています。

自然の自生を許容する、パッシブな空間を作り出す点においてパーゴラは効果的です。

また腰壁には斜め線の入ったコンクリートブロックが使われていますが、それは沖縄の伝統的な「花ブロック」の線要素の強さを、大量に使うために抽象化させたように思えました。

柱と梁の交点に並べられるシーサー

ユニークなのが大通り側(南側)に向けて柱梁の接合部分にシーサーが56体置かれていることです。

それぞれ別の職人さんが作ったシーサーのようですが、さすがに竣工から40年近く経っているので顔が取れてしまっていたり、無くなってしまっている箇所も見られました。

敢えてそのままの形で残しているのは、最後の一体になるまで建物を守り続けるという意味にも感じられました。

回遊性を持つアサギテラス

パーゴラで覆われた下の空間はアサギテラスと名付けられています。

アサギとは神様が降りてくる場所を指します。そのアサギテラスは3階建の建物の端から端までを回遊できるように配置されています。

そしてそこには様々なものが置かれているのです。

植木鉢が並べられているところがあれば、小さな池が設けられて水生植物が植えられているところ、職員さんのであろう自転車や、洗濯機、流しが置かれているところなど様々な使われ方がされています。

その使われ方は集合住宅的な生活感がにじみ出ているのが面白いです。登る階段が急であったりするためか、見学した時に一般の方の姿はアサギテラスには見られませんでした。そこが少し勿体無いかなと思いつつも、職員さんの動線になっていたので活用はされていました。
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おまけ~向かいの名護市民会館~

名護市庁舎に到着した時に気になっていたのが、道路向かいにある名護市民会館です。RC造の建物で、モダニズム建築っぽいのです。

名護市庁舎が「モダニズム+沖縄風土+装飾性」のポストモダン的であるとすれば、名護市民会館は装飾性を剥いだ、モダニズム的建築と言えそうです。

設計は沖縄の建築設計事務所の二基設計で、名護市庁舎の4年後の1985年に完成しました。ここは沖縄で始めてPCa(プレキャストコンクリート)を導入したところです。

向かいの名護市庁舎と近い要素としてパーゴラ(的な庇)、コンクリートブロック、スロープがありますが、道路側ファサードのブリーズソレイユのような作り方はやはりモダニズムよりなのかなと思いました。

おわりに

象設計集団は吉阪隆正さんの系譜を継いでおり、その吉阪さんはコルビュジェのもとで学んだ方です。

そのコルビュジェはオーギュスト・ペレのもとで学んでいたので、ペレから始まるコンクリートの歴史、コルビュジェから始まるモダニズムの歴史が沖縄という場所に降り立って出来たのがこの名護市庁舎なのではないかと思います。

沖縄らしさというのはまだまだ魅力がたくさんありそうです。

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