街と建築・アートをブレンドする「十和田市現代美術館」

街と建築・アートをブレンドする「十和田市現代美術館」

はじめに「十和田市までのアクセス」

桜が咲いている時期に、建築を見る目的で青森の十和田市に行ってきました。

十和田市は青森や弘前といった主要都市からのアクセスが正直あまり良くないです。

電車でいけるといいのですが、結局は車が必要な距離にあります。私は青森市からバスで1時間弱かけて朝一で十和田市へと向かいました。

十和田市には下記の建築作品があります。

・十和田市現代美術館(設計:西沢立衛)
・市民交流プラザ「トワーレ」(設計:隈研吾)
・十和田市民図書館(設計:安藤忠雄)
・十和田市民文化センター(設計:佐藤武夫)

それに加えて、藤本壮介さんの地域交流センターもコンペで選ばれたので、アート的にも建築的にもホットスポットになってきています。

この記事では西沢立衛さんの設計した十和田市現代美術館について紹介します。

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大小異なる15の箱が立ち並ぶ

4,000㎡の美術館の敷地内には、大小の異なる箱が全部で15個あります。その箱は白いボリュームが角度を振られながら配置されています。

建物は鉄骨造で、外壁にはガルバリウム鋼板が使われています。近寄って見てみると横胴縁がある部分に若干のデコボコができてしまっていますが、ガルバリウム鋼板は平滑葺き(目地幅:3mm)なので、部分的な主張が薄く、1つのボリュームとして全体像が伝わってきます。

街と美術館の境目をなくす

十和田市現代美術館は街と建物との「境目」を払拭するように意図されて設計されています。それが連続的に配置される箱であり、それが集落のような一体性を含みつつ、街に帰属するものになっています。

境目というのは建築的には壁によって作られるものであるので、大開口が通りに面して設けられていたり、道に対してランダムにセットバックさせることによって境目が解消されているように思います。

しかしここの場合、それは建築だけによって解消されているのでは無く、心理的な親和性のあるアートによっても解消されています。

「アートがあるから空間が吸い寄せられ、建物敷地とそこ以外の街の空間が溶け合っていく」と感じました。

展示室の箱を細い回廊で繋ぐ

十和田市現代美術館は大小15個の箱と、そしてそれらを繋ぐ回廊から成り立っています。その回廊は建物の壁とさせないためにガラスで作り、透過性を持たせています。

それによって、通りからは回廊のさらに奥をみることができます。回廊の通り側は街、敷地内側は美術館ではあるのですが、どちらも両方の性質があるように思います。

部分的に2階もあるので連絡橋もあり、それも両側面はガラスでできています。なので美術館の内外で人が現れ、消えるというシームレスな街的な体験ができるのです。

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気になったいくつかのアート

実際には数多くのアーティストによる作品の展示がされていますが、個人的に気になったアートのみ取り上げたいと思います。


「ゾボップ」ジム・ランビー

エントランスホールでいきなり強烈なアートがあります。ジム・ランビーによるゾボップという作品です。床にビニールテープがカラフルに張り巡らされています。


「スタンディング・ウーマン」ロン・ミュエク

4mの女性像です。ロン・ミュエクによるスタンディング・ウーマンという作品です。今にも何か指摘してきそうな威厳のある顔でお出迎いです。地震が来ても倒れないか、重いのか軽いのか等、気になってしまいます。


「ウォール・ペインティング」フェデリコ・エレーロ

階段3層分がペイントされています。フェデリコ・エレーロのウォール・ペインティングという作品です。壁・天井が塗られていますが、さすがに階段の踏面・蹴上は塗られていなかったです。そこまで塗ってしまうと視認性が悪くなり、転びやすくなりそうです。


「フライングマン・アンド・ハンター」森北伸

展示室の箱と箱の間にフライングマンとハンターがいます。森北伸さんの作品です。個人的に気になるのは、アートが先なのか建築が先なのかという点です。

建物間の離隔や角度、繋ぎ梁はアート用のものでしょうが、その調整があったのか、あるいは建築ありきでアートが考えられたのかが気になりました。建築とのバランスが非常にいいアートだなと感じました。

街中のパブリックアート

美術館の道路向かいにもアートが点在しています。アートの街というのは見ているだけで楽しいものです。気になるものも連想することも人それぞれだと思いますが、面白かったのが公衆トイレです。

ここもアートの一つです。トイレ内の天井高が異様に高く、落ち着かないものではありましたが、ここが普通の公衆トイレだったらもったいないですし、白い箱ということで、向かいの美術館の派生物と考えると、「白い箱=アートの象徴」というような視点をこの街ではオリジナリティにしているように感じました。

おわりに「十和田市のB級グルメ」

美術館を見た後、昼食に十和田市のご当地B級グルメであるバラ焼きをいただきました。非常に美味しいので、十和田市に行く時は建築だけでなく、このバラ焼きもお忘れなきを。

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