空間に調和した虎屋らしいディテール|虎屋菓寮 御殿場店

建築

はじめに「御殿場に2つあるとらや」

虎屋菓寮 御殿場店を見学してしました。御殿場には2つのとらやがあり、1つ目が今回紹介する虎屋菓寮 御殿場店、2つ目がとらや工房です。

虎屋菓寮では和菓子を購入するだけでなく、店内で飲食ができるようになっています。

※今回は虎屋菓寮 御殿場店を建築視点で紹介していきたいと思います。見学ついでに庭を眺めながら羊羹もいただいてきました。

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とらやの設計と言えば、内藤廣

虎屋菓寮 御殿場店は2006年にオープンしました。設計は内藤廣さんです。

内藤廣さんはとらやの店舗の設計を多く手掛けています。中でも私が好きなのは東京にある「虎屋菓寮 赤坂店」と京都にある「虎屋菓寮 京都一条店」です。

とらやでも、それぞれ建物や空間の印象は異なっていて面白いです。ちなみに同じ御殿場にあるとらや工房も内藤廣さんの設計です。

オープンしたのは2007年ですが、とらや工房は御殿場観光マップにも載っているくらい、多くの人が訪れる名所となっています。

天井の高く広々とした店内

建物は平屋で、軒の水平ラインが強調されています。屋根は寄棟になっていますが、外周部に水平の軒が出ているので、屋根の勾配が感じられません。

そして天井高も高く設定されていて、奥の庭まで見通しがきくようになっています。天井にはダウンライトが配列されていますが、トップライトも設けられています。

航空写真で見ると一目瞭然ですが、全部で5つのトップライトがあります。店内は側面の窓からの光で十分に明るいですが、それに加えてトップライトが光に満たされた空間としています。

建築を構成するディテールを見つける

建物をじっくりと見ていると、細かな工夫が随所にあることが分かります。ここでは私が発見したディテールを紹介したいと思います。


十字の押出鋼材

こちらは誰もが目に止まると思いますが、エントランスの柱です。十字になっているのですが、こちらは押出の型材であり、内藤廣さんの建築にはよく見られます。

近くのとらや工房も然り、「ちひろ美術館・東京」などにも見られます。


壁面の木材

壁面には木材が貼られています。よく見ると木材は小割りになっていて、一定のピッチで目地が入っています。このピッチにも内藤廣さんらしさが感じられます。

北海道の旭川駅や、山口県の周南市立徳山駅前図書館で使われていた木材も同じようなピッチで目地が入っていました。

もちろんそれらも内藤廣さんの設計です。デザイン思想の芯のようなものが感じられます。


ピンクの壁

トイレやバックヤード側の壁・天井はピンクの塗装がされていました。非常にセンスのいい色合いで、彩度を少し落としたピンクでした。

なぜだか分かりませんが、妙に親近感のあるピンクでした。「とらや」という和菓子店らしさも感じられる色です。


白い軒

軒が高いため、白い軒天が際立っています。外の軒天が内部の天井と連続しているため、一枚の板が建物にかぶさっているような印象を受けます。

そのシャープさを作り出しているのはなんだろうかと考えた時に、軒の小口にその理由があると分かりました。

軒天の薄い板の小口は白であり、屋根の鼻隠しがダークグレーであるために、軒板の薄さが強調されているのです。

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おわりに「御殿場らしい羊羹をいただく」

虎屋菓寮 御殿場店は建築的にも勉強になるところでした。せっかく来たのだからと思い、羊羹もいただくことにしました。

メニューを見ると富士山の羊羹がありましたのでそちらを注文し、縁側のある庭を見ながら優雅なひと時を過ごしてきました。

御殿場の観光名所である、とらや工房もいいですが、こちらの虎屋菓寮も近いので是非両方行ってみることをお勧めします。

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