はじめに
ノーガホテル上野に行ってきました。2018年にオープンしたホテルです。
行った目的は宿泊ではなくてランチをするというものでしたが、日ごろ設計業務をする建築士としての視点でも見学してきました。
結果として、人にもおすすめしたい素晴らしいホテルでしたので、この記事にて紹介していきたいと思います。
ディープな上野という街の外れに佇むホテル
ノーガホテル上野は、上野駅から稲荷町駅の方へ5分程歩いたところにあります。上野はアメ横や上野公園・動物園、国立西洋美術館、東洋館など様々な特色を持ち合わせた場所です。
このホテルは、そんな上野の特徴的な空気感とは少し違って、人通りも少ない穴場的な場所にあります。
道を歩いていると緑が豊かな庭が現れました。それは思わず入りたくなるような雰囲気でした。
ホテル概要を建築的におさらい
ノーガホテル上野の建築主は野村不動産で、設計・施工は清水建設です。インテリア共用部はフォワードスタイルが、客室はエンネデザインが担当しています。
建物構造と規模は、鉄骨造で地上10階建、延床面積は約5,000㎡で客室は130室あります。
客室は18㎡から64㎡までで構成されています。64㎡の客室、通称ノーガスイートはとても魅力的な部屋です。
大まかなフロア構成としては、1階にレストランがあり、2階以降が客室で、2階にはライブラリーラウンジとフィットネス、ソファの置かれたテラスが併設してあります。
建物計画を設計者的な視点で捉える
許容容積率は8mの前面道路に対する低減があり480%のようですが、計画容積率は479.98%でほぼ容積消化できています。
駐車場は条例により15台設けられているように見受けられ、一部昇降式の機械式駐車場となっています。
建物前の地上部に昇降式の駐車場がありますが、天空率計算では無視できるので設計の解き方としてはありだと思いました。
エントランスの入り方は長いアプローチで特別感が演出されていて良かったです。風除室に入った瞬間、アロマのいい香りがしてきてグッと空間に引き込まれました。
また、植栽計画が今風で魅力的でした。多種多様な樹種が植えられていて、時折メジロが集まってきている様子が室内のレストランから見えたりして非常に落ち着けました。
全体計画を少し設計者的な話に踏み込んで考えてみると、高さの31mラインが最上階のフロア1/2ラインを超えるか超えないかのギリギリのらへんです。(※ちゃんと計算すれば分かりそうですが、割愛します。)
おそらく条例の特別避難階段の規定の条文がかかってきますが、屋外避難階段の設置+100㎡区画により緩和ということにしていると思われます。
1階にはその区画+竪穴区画+厨房区画のシャッターレールがちらほら見受けられました。
また階段に注目すると、2階から屋外避難階段の形状が変わり道路側に向かって伸びてきていて、その階段から2mのラインには原則大開口は設けられないので、レストランのガラス面をうまく避けたような計画になっていました。
法的な屋外避難階段を演出的に使っているいい例だと思いました。
エレベータは全部で3基ありますが、宿泊者用が2基でスタッフ用が1基あるようです。
スタッフ用は見ることができませんが、動線を分ける意味でもきちんと1基設けられているのはしっかりしたホテルだなと思います。たまにスタッフも宿泊者用を兼ねているホテルもありますので。
レストランで食事を体験してみて【ランチコース】
レストランは入った瞬間に雰囲気の良さを感じました。というのもガラス張りの壁面に外の植栽が見え、建物がその植栽に取り囲われているために安らぎが感じられるのです。
内装は木の床に木の壁(柱周り)で、天井はEP(ペンキ)です。床には無垢のタモが使われているらしく、2018年オープンのホテルですが、早くも年季のあるようないい味を出してきていました。
レストランは中央が吹抜けになっていて、その吹抜けを繋ぐ階段が象徴的に構えています。
先の2階がどうなっているのか気になって登ったところただのラウンジで、レストランとして使えればもっと魅力的だろうと思いました。
そして肝心の料理はというと、ランチは全てコースとなっていて、前菜や主菜、デザート、食後のドリンクがそれぞれいくつかの候補の中から選べました。
3500円のコースでした。そのどれもがこだわりのある料理で見た目も味も素晴らしくて感動しました。上野の外れにひっそりあるのが勿体無いくらいでした。
気温が暖かければ外のテラスでも食べることができるのかもしれませんし、ディナーもきっと素晴らしいのだと思います。
まだ行ったことがない方はぜひ。穴場スポットなのでおすすめです。
NOHGA HOTEL UENO TOKYO(ノーガホテル上野東京)
※ちなみにこのアロマは近くの調香師に頼んで作ってもらっているという話をスタッフの方から伺いました。