2018-10

建築

立体的な楽しさの高揚「東京都美術館」

はじめに『公園は多様なアクティビティを内在させる』 東京都美術館は上野恩賜公園にあります。この公園一帯はなかなかに都市文化の密度が高い場所だと思います。休日だろうと平日だろうと人が集まってくる場所というのは素敵です。 様々に利用できるため、小さな野外コンサートを開いていたり、保育園の園児たちが集まって遊んでいたりしていて、公園というのは人間活動になくてはならない場所だなとつくづく気付かされます。余...
建築

展示をスキップフロアで繋ぐ「東洋館」

はじめに『モダニズム×寝殿造』 上野の東京国立博物館の一つとして「東洋館」があります。設計は谷口吉郎さん(1904-1979)です。 ここでは日本の寝殿造りの意匠をモダニズムの中に取り込んでいます。谷口さんは日本建築も設計をする人で、ディテールと空間の繋ぎ方が上手いです。 寝殿造りのディテール 東洋館は外部に現れる小梁や濡れ縁(簀子)、角の落とされた柱が寝殿造りを思わせます。 濡れ縁は休憩スペース...
建築

公園との接続を考える「世田谷美術館」

はじめに『世田谷の緑豊かな街並』 世田谷の街並みには緑が多いように感じられます。特に個人邸宅での樹木の割合が多いです。歩いていたら住宅の間に15mくらいの背丈の木があったりして驚きました。 そしてそこで発見したのが、その樹木という緩衝領域に向けた窓が透明ガラスで、かつカーテンも閉められていない住宅があったことです。 木のおかげで、通常気にする隣人へのプライバシーが緩和されるというとても理想的な形で...
建築

都市の軸線を考える「平成知新館」

はじめに 平成知新館は京都国立博物館の敷地内にあります。設計は谷口吉生さんです。 設計のPoint ・碁盤の目を踏襲した場所の軸線 ・水平横長のルーバー ・ライムストーンの壁 ・吹き抜けのホワイエ 敷地について 博物館全体のエントランスは南側にある三十三間堂からの南北の軸線上にあります。その延長線上に横に長い「平成知新館」が直交するように構えているので、縦と横の方向性がかなり強調されています。 ち...
建築

日本風情の再構築「虎屋菓寮 京都一条店」

はじめに「建築空間を味わいに行く」 虎屋菓寮 京都一条店の設計は内藤廣さんです。オープンしたばかりの「とらや赤坂店」に行った数日後にこの京都一条店に行きました。 【建築のポイント】 ・敷地を路地とつなぎネットワーク化する ・南北の開口により視線を通す ・構造材としての木製ルーバー(合理的なデザイン) 路地のネットワーク 場所は京都御所の西側にあり、敷地内は日本庭園的な作りになっています。周囲に開け...
建築

池の下にあるお寺「本福寺水御堂」

本福寺水御堂は、兵庫県の淡路島にあります。設計は建築家、安藤忠雄さんです。 この建物は建築プログラム、それがどういう建築でどう作るのかということがよく考えられ解答されているものだと思っています。 このお寺を作る時に求められたのは、近年の参拝者離れをどう解決するか、この寺に来たくなるような何かが必要で、その一つはこのひんやりとして静まっていて世俗とは切り離された空間を作ることでした。 あとはそこに至...
建築

童心に帰れる場所「ちひろ美術館・東京」

住宅街に現れる赤い建物群 東京のちひろ美術館は練馬区にあります。長野県安曇野市のちひろ美術館と同様に、設計は内藤廣さんです。 建物は分棟配置されていて、一つ一つが周囲の住宅地のスケールと合っていますが、赤色に塗装されたステンレス鋼板の外観は結構目立ちます。 隣のマンションも同じような色合いだったのは偶然なのか意図されたものなのかは分かりませんが、その連続性が色とは区切りのことだということを再認識さ...
建築

なまこ壁の折衷意匠「大和文華館」

大和文華館の設計は吉田五十八さんです。敷地は奈良にある蛙股池(かつらまたいけ)というため池に面して建っています。 蛙股池は日本最古のため池と呼ばれているそうなのですが、行った時は干潟のようになっていて水は所々しか張られていませんでした。もしかしたら平成30年7月豪雨の影響があるのかもしれないと思いました。 外壁は日本の伝統のなまこ壁です。その網状の材料は平瓦に漆喰が塗られたものとなっています。 そ...
建築

空間から時間への変換「海の博物館」

海抜12mの敷地 「海の博物館」は三重県鳥羽市にあります。 鳥羽駅からバスが出ているのですが、一時間半に一本くらいなのでなかなかにアクセスしづらいです。 こういう時は徒歩で行くという選択肢を取ることが多いのですが、地図で計測してみると2時間かかるということなのでさすがにバスにしました。 自然環境を誘い込む分棟配置 この建物の設計は内藤廣さんです。複数ある建物は分棟配置されており、敷地内のレベル差や...
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檜に包まれる上品な空間「とらや赤坂店」

はじめに「オープンしたての見学」 「とらや赤坂店」は東京都港区の赤坂にあります。設計は内藤廣さんです。とらやの社長と内藤さんは昵懇の仲らしく、多くの店舗設計を内藤さんが手がけています。 2018年10月1日にオープンしたので、初めて行った時はまだオープンから2週間しか経っていなく新築の状態を感じられました。 扇型の建物形状に内包される「和空間」 構造は地下はRC造とSRC造、地上はS造で、内装には...
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