展示をスキップフロアで繋ぐ「東洋館」

展示をスキップフロアで繋ぐ「東洋館」

はじめに『モダニズム×寝殿造』

上野の東京国立博物館の一つとして「東洋館」があります。設計は谷口吉郎さん(1904-1979)です。

ここでは日本の寝殿造りの意匠をモダニズムの中に取り込んでいます。谷口さんは日本建築も設計をする人で、ディテールと空間の繋ぎ方が上手いです。

寝殿造りのディテール

東洋館は外部に現れる小梁や濡れ縁(簀子)、角の落とされた柱が寝殿造りを思わせます。

濡れ縁は休憩スペースとなっていて、高欄の手前に転落防止のためかガラスパネルが貼られているのですが、それが無い方が眺めを邪魔しないのになと少し残念でした。

スキップフロアで緩く順路を作る

内部に入ります。この建物は長方形が横一列に3ブロックに分けられた構成となっています。

さらにスキップフロアとなっていて、3ブロックの中央がそのリズミカルな空間構成を視覚的にも体験的にも楽しめる吹抜けとなっています。

天井にはトップライトがあり、それに加えて柱に付けられた箱型の上下配光のブラケットライトによって明るさが調整されています。

トップライトと言えど明るすぎることがなく、照明器具は柱へ光を当てているので間接的に届き、全体は淡い明るさに包まれています。また展示物や主動線は個別にスポットライトにより照度が足されています。

人によっては少し暗く感じるのかもしれませんが、そちらの方が展示物を見るだけでなく練り歩くことにも価値が与えられるのではないかと思います。

吹抜けの中央ブロックの両側ブロックは無窓の展示室となっていて、光がダメージとなってしまう展示物に対してのブロックになっています。

谷口さんは設計の要点として展示室を「無窓展示室」「有窓展示室」の二つに名付けて、それらを交互に体験するように順路を組んでいます。スキップフロアであること、中央部が吹抜けであることは気分転換の意味が含まれています。

また吹き抜けを見上げると、表しの梁の間はルーバーで天井が貼られていて、RCの無骨な印象を和らげています。

内部・外部ともに壁には主にボーダータイルが使われていますが、内部の階段部分にある茶褐色のボーダータイルと壁側面から当てられる光によって全体を包むような空間が私は気に入りました。

おわりに『継承』

東京国立博物館には谷口吉郎さんを父に持つ谷口吉生さんの設計した「法隆寺宝物館」もあり、素材の対比性や継承されているものが見て取れるので面白い場所です。

吉生さんは、元々大学では機械工学を学んで卒業したらしいです。ある日家で父の吉郎さんと清家清さんが会談していて、清家さんが建築について吉生さんに色々と話をしたのがきっかけで建築の世界へと転身したようです。

それも実は父・吉郎さんの狙いであったとか、そんな逸話がありました。

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