近代建築の五原則を肌で感じる「サヴォア邸(Villa Savoye)」②

建築

近代建築の五原則を肌で感じる「サヴォア邸(Villa Savoye)」①の続きです。

ディテールの豊富な各居室

浴室

各居室には水平窓やトップライトが設けられていて、光が全体に届くようになっています。特に浴室の上から差し込む光が演出的で、思わず長風呂してしまいそうだなと感じました。

リビング

リビングは中庭への大開口があり、シームレスな一体感があります。天井を見ると照明が間接照明になっていて、コルビュジェらしいデザインです。このような間接照明はラ・トゥーレット修道院やラ・ロッシュ邸などでも使われていました。

そしてこのリビングのドアだけガラスドアになっています。一番往来のある居室のためこのような工夫をしているのだと思います。

また暖炉も部屋にあるのですが、柱の円柱とは異なり排気の管が角型になっています。

廊下

建物内を見渡すと柱はRCの円柱です。そこで軽く叩きながら柱の感触を確かめていると、廊下に丸柱ではありますが、カンカンと軽い音がする柱がありました。どうやら丸鋼のようです。そしてわずかに太く感じました。

そのまま外に出てその直上を見てみると案の定管が伸びていて、排気の役割を果たしていました。

直下の1階玄関ホールの柱も丸鋼のようでした。設備が上手く構造かつ意匠的に処理されていました。

子供部屋

個人的に一番のお気に入りは子供部屋です。部屋に入ると正面にクローゼットがあるのですが、これが間仕切になっていて、奥には机があります。

クローゼットによって囲いを作り、机が3方に回され、個室間のある空間でした。空気は繋がりながらも質の異なるスペースで、住宅の設計というスケール感もコルビュジェは持っていたのだなと思いました。

水平連続窓から見える自然

水平連続窓は外観でも一目瞭然ですが、居室内でもそれが隣の部屋と繋がっているのだと感じることが出来ます。敷地は四方を木々で囲まれているので、どの窓のフレームで切り取っても自然を感じることができます。

お風呂に入りながら感じる自然、台所で家事をしながら感じる自然など、様々なシーンに使われます。窓という装置は時間の経過を知らせてくれるものであり、外の様子を知らせてくれるものであり、生のメタファーなのではないかと思います。

おわりに

サヴォア邸は一つの建物の中で学べることがたくさんありました。写真で見る外観はモダニズムのシンボルに過ぎませんでしたが、近代建築の5原則は外観的原則ではなくて、内部の営みを豊かにする方法が外部に反映された原則なのだという個人的結論に至りました。

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