「遮る壁」によって実現する開放的な暮らし|戸建住宅の設計【ケーススタディNo.3】

設計

はじめに「機能にこだわることでデザインが個性化する」

※まず今回の建物のパースを1カットだけ載せました。この最終形に向かった考え方など、書いていければと思います(平面図や他のパースカットは後ほど載せます)。

これまでケーススタディと称して戸建住宅を2件、仮想で設計してきましたが、今回はそれの「3」になります。1弾、2弾はシンプルな形、考え方で設計をしていましたので、今回は少し違う角度で設計を進めることとしました。

それは「何かに対してこだわりを強くする」ということです。こだわりを実現してこそ注文住宅だと思います。そこで今回のこだわりは、「プライバシーを守りながら開放的な暮らしをする」ということです。

人通りの多い道路に向かって正面に窓が付いていると、どうしても外からの見られ方が気になってしまうものです。そんな点を今回の設計の主題としてみました。その解決策として用いたのが「遮る壁」になります。

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設計の方向性を決める条件設定

先述の設計の考えよりもまず初めに、敷地を設定しました。敷地があって、周辺の環境があってこそ設計が進んでいくので、初めに敷地を決めます。

先ほどの「遮る壁」も周辺環境があってこそ生まれた考えです。(例えば海の前でしたら壁など無くてフルオープンの方が環境を読み取った設計になりますので。)

そして下記に簡単な諸条件をまとめました。

諸条件

敷地面積:135.01m2
用途地域:第一種低層住居専用地域
指定建蔽率:40%
指定容積率:80%
防火指定:なし

この条件によって、建物の建てられる大きさが変わりますので、条件の有る無しは現実に近い設計になっているか否かに関わってくる重要なポイントになります。


条件の読み取り

最大ボリュームを考える上での斜線制限は、天空率を使うことでかわしやすいため、そこまで気になるものではありません。

むしろ今回は第一種低層住居専用地域で、建蔽率が40%であり、角地でもなく、防火指定もないので、建蔽率の緩和がないことの制約が強いです。

以上がざっと、今回の諸条件になります。

機能とデザインを両立させる設計の思想

先ほど、今回のこだわりは「プライバシーを守りながら開放的な暮らしをする」ということだと書きました。

それは街中の建物の多くが、プライバシーを晒しすぎているのではないかということのアンチテーゼから来る考えでもあります。私自身、カーテンの不要な暮らしが理想的だと思っているのもあります。

しかし都内のように、建物の密集した環境ではそれが実現しにくいのも事実です。そういったときによく考えられるのが、「外を閉じて内に開く」という考え方です。

それを今回は取り入れてみます。そして、今回出来上がったパースとプランが次のものになります。

前面接道は南側になります。それでは1階から説明していきます。

こちらが1階のプランになります。南側から敷地内に入ってきて、玄関に向かうのですが、玄関を開けたら目の前が道路という状況は、プライバシー上避けたいです。そのため、玄関の前に壁を設けています。

そして、南側には玄関扉以外の開口部は一切設けていません。南側の窓は陽の当たりを考えると、基本的に必要になります。しかし、BR(ベッドルーム)で落ち着いた生活の場としたいため、道路に面した南側の開口部はやめました。プライバシーを守るためでもあります。それでも2面採光としているので、明るさには問題ないと考えています。

BRに大切なのは、寝るための環境づくりであり、そのためには、朝日の入る東側の窓を大きく取る方がいいのではないかとも思います。そしてBRはプライベートなテラスに開いており、そこは別に他人に見られるわけではないので、無理にカーテンを閉める必要もないです。

そして、こちらが2階のプランになります。窓の位置に関する基本的な考え方は1階と変わりません。人通りのある南側(道路側)は閉じて、内側に開きます。

しかし、1階の玄関扉の真上の位置には南側でもここだけは窓を設けます。ここは正面が壁なので、プライバシー的にな問題はありません。そしてここに窓を設けたもう一つの理由が、通風のためです

日本は原則南北で風が抜けていきますので、南と北で風の抜け道は作った方が、快適な暮らしになるのです。南側の窓と北側のパントリーの窓の間で、一直線で風が抜けていくように考えています。

そうして、外観デザインと絡めながら出来上がった建物が先ほどのパースのようになります(もう一度載せておきます)。

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おわりに「デザインで先走らない」

今回は、少し特殊な回答例としての住宅設計でした。世の中には様々な住宅がありますが、自分の暮らしにとって何を重要視したいかという考えもデザインに変換できます。

しかし、仮にこんな外観にしたいというデザインが先行してしまうとデザインのために暮らしにくく、使いにくくなってしまうようなケースも多々見てきました。「暮らし方があってのデザイン」だということを再認識した今回の設計でした。

自分の家を持つことを考えている人にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。

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