はじめに「朝早く行動を開始してみる」
休日だと朝からだらだらとしがちなので、思い切って早く起きて上野へ行き、散歩をしてみようと思いました。実は上野は名建築が集中しているので、建築的にホットスポットでもあるのです。
取り上げるのは有名な場所だらけですが、今まで知らなかった側面などをこの記事を通して知ってもらえたら嬉しいです。
まずは散歩前の腹ごしらえとして
散歩の前に、朝食をどこかで食べようと思い探したところ、ホテルのレストランが良さそうだったので、そこに行くことにしました。「ラ・ココリコ」というお店です。
上野駅の入谷改札から出て、鶯谷・入谷方面へと向かいます。歩道は広くインターロッキング舗装されていて、気持ちよく歩けます。こんな裏手の所にハトバスも停まっていました。朝早いと人も少なくて、爽快感が強いです。
そして目的のレストラン「ラ・ココリコ」に到着しました。
店内の内装は洒落ていて、オリジナリティのある照明や家具がありました。また、これでもかというくらい電球が一箇所に使われていて、斬新なインテリアだと思いました。
天井の配管はよくある露出配管でしたが、天井を見ない限り、視界に溶け込んでしまうものだなと改めて感じました。
一応食べた料理も載せておきます。日曜の朝でしたが、お客さんも少なく、優雅な朝を過ごせました。
パンダ橋を通り、上野恩賜公園へ
朝食を終えた後、名建築が多数ある上野恩賜公園の方へと向かいます。朝食で上野駅の東側にいましたが、公園は西側なので、線路を横断して向かいます。その時に通ったのがパンダ橋です。
パンダ橋は線路上の大きな橋です。幅員が広く、端にはベンチ代わりに目隠しフェンスの基礎に人が腰掛けているのが見受けられました。確かに座る場所が欲しくなる広場的な橋です。
まず待ち構えるのはザ・モダニズム建築の「東京文化会館」
パンダ橋を渡ると東京文化会館がお出迎えです。設計は前川國男さんです。RC造のモダニズム建築が紅葉付いた樹木の景色と調和していて、とても迫力があります。
橋からの真正面には東京文化会館のホールのフライタワー部分がそびえます。フライタワーには舞台装置が隠されます。
なのである程度の高さが必要になり、劇場建築を見る時にボコっとした部分があったらそこがフライタワー(舞台上)であることが多いです。
ファサードを構成する船底のような庇は、京都ロームシアターにも共通しているデザインです。実は内観にも前川さんの師匠であるコルビュジェ的要素が入っていて面白いのですが、今回は朝早かったので入ることはできませんでした。
リニューアル工事中の上野駅公園口
以前に来た時から、上野駅公園口の駅舎の様子が変わっていました。どうやらリニューアル工事をしているようです。駅舎内に店舗を新たに設け、駅前ロータリーも作られるようです。
上野駅の改札口はたくさんありますが、ここも広々として玄関口としての特徴を持った改札口となったのでいいなと思います。
和風なスターバックスのある「竹の台広場」
東京文化会館と国立西洋美術館の間を抜けると、大きな広場があります。ここは竹の台広場といいます。見渡す限り自然の豊かさに溢れているのですが、その中にスターバックスがポツンとあります。
ですが場所柄その空間に調和するように和風な設えとし、木造かつ切妻屋根で構成されています。公園の休憩所と思いきや、実はスターバックスだったというような主張を抑えた建物です。
展示物や建築の見所の多い「東京国立博物館」
そして都市の軸線のように伸びている竹の台広場の先には東京国立博物館があります。真正面にあるのは渡辺仁さんの設計した本館です。
その右手には谷口吉郎さんの設計した東洋館があり、写真には見えませんが左手には谷口吉生さんの法隆寺宝物館もあります。
この谷口さんは親子であり、吉郎さんがモダニズム時代の建築家、息子の吉生さんはモダニズムの系譜の中に現代的なシャープさを含ませ表現する、今も活躍される建築家です。
この谷口親子の2つの建築は実際に見に行った時に感嘆するような素晴らしさであったので、別の記事でもまとめています。よかったら見てみてください。
レンガ調タイルの建物「東京都美術館」
東京国立博物館の向かい、上野恩賜公園内には東京都美術館があります。ここは先ほどの東京文化会館と同じ前川國男さんの設計です。
レンガ調タイルの外壁なのですが、裏手の側面は熊本県立美術館ともそっくりです。
ですがもっと面白いのは、高低差のある立体的な敷地に対する建物の作られ方や、外の景色を見られる内部のガラス空間や家具であったりします。
東京都美術館も別の記事で詳しく書いていますので、よかったら見てみてください。
公園を抜けた先にある「黒田記念館」
上野恩賜公園を抜けると、道路を挟んだ向かいに黒田記念館があります。ここも東京国立博物館の建物の一つです。
面白いのが上島珈琲店が入っているところで、テラス席があったりしてかなりお洒落な設になっています。場所的に穴場かと思いきや、お客さんは結構いました。ここはいつ通っても毎回混んでいる印象があります。
さらに奥へ進んだ先にある「国立国会図書館国際子ども図書館」
先ほどの黒田記念館の裏手には、国立国会図書館国際子ども図書館があります。実はここの増築を安藤忠雄さんが担当していて、ファサードのガラスの箱はその部分です。
さらに中には、もっと安藤さんの設計らしい空間がありますので、ぜひ見に行くことをおすすめします。無料で入れるので、満足度の高い見学ができます。
道の突き当たりには寛永寺の霊園
道をさらに進んでいくと、霊園に突き当たります。ここは寛永寺の霊園です。霊園沿いの道路は人通りも少なく、散歩コースにはもってこいかと思います。車もほとんど通らないからか、タクシーがしばし休憩していたりします。
終着地、山手線らしくない駅舎の鶯谷駅南口
そして散歩の終着地として鶯谷駅の南口に着きました。上野駅から上野恩賜公園を通ってここまで歩いて約15分くらいです。
鶯谷駅の駅舎は山手線の駅かと疑うほどノスタルジックな風貌が残っています。以前にそんな鶯谷が将来どうなっていくのか気になって調べてみたことがあります。
再開発などの計画はあるのかなどといった点です。詳しくは以下の記事にまとめているので、よかったら読んでみてください。
おまけ「鶯谷駅北口を散策」
せっかく鶯谷に来たので、北口側も行ってみました。北口はいわゆるホテル街です。道の両側にレジャーホテルがびっしりと並んでいます。
駅前であるにも関わらず、再開発は行われていないので道幅が狭いです。車はすれ違えないところがほとんどです。
台東区のHPで調べてみたところほとんどが建築基準法上の「2項道路」でした(※2項道路とは4m以下の道路を指します)。
新築をする際には、道幅を4m確保するように立てなくてはならないのですが、現状の幅員からすると、4m無いので新築はほとんど行われていないようです。
少し駅から歩くと新築計画中の物件を発見しましたので、何を建てようとしているか気になり看板を見てみました。予想はしていましたが、案の定用途はホテルでした。需要はそれだけあるということなんでしょう。
その他、細長のレジャーホテルもあったりして、この猥雑さは鶯谷ならではなので、非常に興味深いです。
以上、最後には鶯谷周辺の建築というよりは街的な面白さが垣間見れましたが、上野駅から鶯谷駅までの建築散歩でした。
※この記事は散歩と言いつつも、建築的な内容が多めで書いていきます。