2018

建築

日本風情の再構築「虎屋菓寮 京都一条店」

はじめに「建築空間を味わいに行く」 虎屋菓寮 京都一条店の設計は内藤廣さんです。オープンしたばかりの「とらや赤坂店」に行った数日後にこの京都一条店に行きました。 【建築のポイント】 ・敷地を路地とつなぎネットワーク化する ・南北の開口により視線を通す ・構造材としての木製ルーバー(合理的なデザイン) 路地のネットワーク 場所は京都御所の西側にあり、敷地内は日本庭園的な作りになっています。周囲に開け...
建築

池の下にあるお寺「本福寺水御堂」

本福寺水御堂は、兵庫県の淡路島にあります。設計は建築家、安藤忠雄さんです。 この建物は建築プログラム、それがどういう建築でどう作るのかということがよく考えられ解答されているものだと思っています。 このお寺を作る時に求められたのは、近年の参拝者離れをどう解決するか、この寺に来たくなるような何かが必要で、その一つはこのひんやりとして静まっていて世俗とは切り離された空間を作ることでした。 あとはそこに至...
建築

童心に帰れる場所「ちひろ美術館・東京」

住宅街に現れる赤い建物群 東京のちひろ美術館は練馬区にあります。長野県安曇野市のちひろ美術館と同様に、設計は内藤廣さんです。 建物は分棟配置されていて、一つ一つが周囲の住宅地のスケールと合っていますが、赤色に塗装されたステンレス鋼板の外観は結構目立ちます。 隣のマンションも同じような色合いだったのは偶然なのか意図されたものなのかは分かりませんが、その連続性が色とは区切りのことだということを再認識さ...
建築

なまこ壁の折衷意匠「大和文華館」

大和文華館の設計は吉田五十八さんです。敷地は奈良にある蛙股池(かつらまたいけ)というため池に面して建っています。 蛙股池は日本最古のため池と呼ばれているそうなのですが、行った時は干潟のようになっていて水は所々しか張られていませんでした。もしかしたら平成30年7月豪雨の影響があるのかもしれないと思いました。 外壁は日本の伝統のなまこ壁です。その網状の材料は平瓦に漆喰が塗られたものとなっています。 そ...
建築

空間から時間への変換「海の博物館」

海抜12mの敷地 「海の博物館」は三重県鳥羽市にあります。 鳥羽駅からバスが出ているのですが、一時間半に一本くらいなのでなかなかにアクセスしづらいです。 こういう時は徒歩で行くという選択肢を取ることが多いのですが、地図で計測してみると2時間かかるということなのでさすがにバスにしました。 自然環境を誘い込む分棟配置 この建物の設計は内藤廣さんです。複数ある建物は分棟配置されており、敷地内のレベル差や...
建築

檜に包まれる上品な空間「とらや赤坂店」

はじめに「オープンしたての見学」 「とらや赤坂店」は東京都港区の赤坂にあります。設計は内藤廣さんです。とらやの社長と内藤さんは昵懇の仲らしく、多くの店舗設計を内藤さんが手がけています。 2018年10月1日にオープンしたので、初めて行った時はまだオープンから2週間しか経っていなく新築の状態を感じられました。 扇型の建物形状に内包される「和空間」 構造は地下はRC造とSRC造、地上はS造で、内装には...
建築

軽快と重厚の双璧「法隆寺宝物館」

はじめに 法隆寺宝物館は東京国立博物館の敷地内にあります。設計は谷口吉生さんです。 入場券を買い、博物館本館を正面にして左手に進んでいくと、水面とともにフレームで囲われた建物が現れます。ふと丸亀の美術館を思い出しました。 アプローチのメタファ アプローチに水面を使うと雑念が取り払われるように思います。「水は時間のメタファー」だと建築家の内藤廣さんは言っていましたが、ここで感じたものがメタファーその...
建築

晴耕雨読のひととき「せとうち美術館」

はじめに「建物と敷地の関係を解く」 今回紹介する香川県立東山魁夷せとうち美術館の設計は、建築家の谷口吉生さんです。 モダニズムの系譜が建物の特徴となっています。モダニズムは世界どこでも共通する価値の元に建築が作られていますが、形の解き方が上手い人がより際立っているように思います。そしてダイナミックさの中に繊細さが含まれています。 建築はやっぱり簡単に解くのが一番親しみやすいです。最近は自分で問題設...
まち

文化が集積する場所《大阪 中之島》

今回は大阪の中之島について紹介したいと思います。 大阪のような複雑化した都市で、中之島のような規模の開放的な場所は一際求心力があるように感じます。 大阪といえば御堂筋を都市計画の基本軸として南北が繋がっているわけですが、 この中之島は御堂筋に直交する形で存在する、川に挟まれた島です。 島と言っても、橋が何本も架かっていて対岸との距離も近く、通過動線に当たるのですが、写真のような対岸の乱雑にビルが立...
建築

骨をうずめたくなる「竹林寺納骨堂」

森の中を抜け、納骨堂と対峙する 本堂を中心に小さく祀られた御堂が散らばる中で、端っこの方に堀部安嗣さんの設計した竹林寺納骨堂はあります。 写真で見るのと体験するスケール感は、全く違ったのが印象的でした。 こういう感覚がやっぱり行って体験しないと分からないところで、実物を見ることが大切なのだと思わされます。 そして森の中の静寂と向き合う時間を短いアプローチで作り出し、洞穴のような少しレベルの下がった...
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