青春18きっぷで廻る、北陸地方10日間建築旅の記録

はじめに「春の旅」 2019年3月末から4月にかけて、北陸地方を中心とした建築旅に行ってきました。それまで北陸はあまり行ったことがなく、初めて行く県が多く、見たい建物も沢山ありました。 春という旅のしやすい気候の中で、晴れている日も多く、快適な旅を送ることができました。春というのはなんだか目に映る景色が少し違うような気がするのです。 それをなんと表現したらいいのか分からないでいたところ、村上春樹さ...
建築

思索するための回廊と庭「鈴木大拙館」

はじめに 2019年4月に石川県に行ってきました。建物見学をメインとした旅ですが、石川県には見るべき建物が沢山あります。金沢市然り、かほく市、加賀市にもあります。 中でも金沢市は、金沢21世紀美術館と、この鈴木大拙館が有名です。 鈴木大拙館の設計は谷口吉生さんですが、金沢では谷口吉生さんとその父、谷口吉郎さんの記念館が建設中で、そちらも見ることができました。 表側と裏側でかなりレベル差のある敷地で...
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その場所に恒久的に存在する建物のデザイン「安曇野市庁舎」

はじめに 2019年4月に長野県安曇野市に行ってきました。安曇野にある内藤廣建築と言えば、安曇野ちひろ美術館、そして安曇野市庁舎です。 しかし、美術館に行くということに気持ちが入りすぎて、恥ずかしながら市庁舎もあるということをすっかり忘れていました。 なぜ気がついたかというと、美術館に行き受付の方と話をした際に、「建築でしたら、この後はやっぱり市庁舎に行くんですか?」と聞かれたことがきっかけでした...
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回遊性とシークエンスのある内部構成「富山県美術館」

はじめに「新たな美術館へ」 2019年4月に富山県に行ってきました。 富山県美術館は2017年に開館した美術館で、設計は内藤廣さんです。開館当時からずっと行きたいと思っていました。 この富山県美術館が開館するということは、前川國男さんの設計した富山県立近代美術館が閉館するということでもあり、それは少し悲しくもありました。 富山県美術館は2016年の富山県立近代美術館の閉館にあたって2013年にコン...
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素材が作る空間と価値「TOYAMAキラリ」

はじめに 2019年4月に富山県に行ってきました。 4月の初めとはいえ雪が降ってきたときにはさすが北陸地方だなと実感させられました。 富山駅から徒歩20分ほど南下し、富山城の先にTOYAMAキラリはあります。 隈研吾さんが設計した複合施設で、中には美術館・図書館・銀行・カフェなどが入っています。 富山のエレメントが現れる外壁 雪が降り視界に寒々としたベールのかかった日ではありましたが、TOYAMA...
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多孔質な均質空間とベール「金沢海みらい図書館」

はじめに 2019年4月に石川県にある金沢海みらい図書館に行ってきました。設計はシーラカンスK&Hです。 金沢駅の21世紀美術館などがある方とは反対側、日本海側にこの図書館はあります。 徒歩では遠く微妙な距離であったので金沢のレンタサイクルを利用し、行ってみました。 穴が作り出す同質のベール 特徴的であるのはその表裏一体な外観です。1階部分には大開口がありますが、ほとんどを約6000個もの小さな穴...
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建築もタイルも土の生成物「多治見市モザイクタイルミュージアム」

はじめに 岐阜県にある多治見市モザイクタイルミュージアムに行ってきました。 藤森照信さんが設計し2016年に開館した建物で、雑誌で初めて見たときに実態の掴めなさが衝撃的だったのを覚えています。 多治見市は施釉磁器モザイクタイル発祥の地であり、生産量が全国一でもあります。ちなみにモザイクタイルとはタイルの中でも50㎠以下のものをそう呼びます。 土の壁 JR多治見駅からモザイクタイルミュージアム横のバ...
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街そのものがアプローチであり敷地である「安曇野ちひろ美術館」

はじめに 2019年4月に今までずっと行きたいと思っていた安曇野ちひろ美術館を訪れました。 設計は内藤廣さんで、内藤さんの建築はその周辺にある環境を建物が現れることで引き締める役割を持っているものが多いように感じます。 海の博物館も素晴らしいし、牧野富太郎記念館も素晴らしかったという記憶が今でも鮮明に残っている中、まだ見ていない内藤さんの建物を求めて安曇野の地へ降り立ちました。 街そのものがアプロ...
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滋賀の土着的建築が作る新たな風景「ラ・コリーナ近江八幡」

はじめに 2019年4月に滋賀に行ってきました。 一番の目当ては、このラ・コリーナ近江八幡です。 建築家、藤森照信さんが設計したこの建物は、たねやという和洋菓子店のフラッグシップとして2015年に開店しました。 日本の風土、素材を建築に投影した土着的な建物を作るのが藤森さんの特徴ですが、このラ・コリーナ近江八幡の広大な敷地内ではメインショップを中心とした様々な建物や素材を見ることができます。 草屋...
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考えること、歩くこと、建築と哲学「西田幾多郎記念哲学館」

はじめに 2019年4月に石川県に行ってきました。 西田幾多郎記念哲学館はかほく市にあり、金沢市の北側に位置します。設計は安藤忠雄さんです。 金沢周辺を1日に色々な建物を見て回ろうと計画していたため、金沢駅でレンタサイクルをし、かほく市の方まで行ってみました。 結果として1日に50km以上自転車を漕ぐことになったのですが、安藤建築はたどり着いた時の達成感を一際演出してくれます。 西田幾多郎(187...
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